偏愛的プレミアリーグ見聞録

「Manchester United has this morning initiated appropriate steps in response to Cristiano Ronaldo’s recent media interview.We will not be making further comment until this process reaches its conclusion.（マンチェスター・ユナイテッドは今朝、クリスティアーノ・ロナウドの最近のメディアインタビューを受けて、適切な処置を開始しました。プロセスが完了するまでは、これ以上のコメントは控えさせていただきます）」

11月18日20時に配信されたステートメントは、瞬く間にメディアを通じて拡散しました。「クラブはロナウドに対して、カタールでのワールドカップでポルトガル代表としてプレイした後、キャリントンのトレーニングベースに戻らないように指示した」と報じたのは「ガーディアン」。マンチェスター・ユナイテッドは弁護士を立て、法的措置を講じる準備をしていると伝えています。

「Talk TV」が2夜連続で放映したピアーズ・モーガンのインタビュー。「クラブに裏切られた」と主張するストライカーは、「4月に息子が亡くなったとき、経営陣は共感を欠いていた」「オーナーのグレイザーファミリーは、クラブを気にかけていない」「テン・ハウ監督は、自分に対するリスペクトがない」と、ありとあらゆるものを批判しました。

無傷だったのは、マンチェスター・ユナイテッドの黄金時代をともに築いたサー・アレックス・ファーガソンと、オールド・トラフォードに集うサポーターぐらいです。自らの言い分を広めるために、チームメイトを巻き込む必要があったのでしょうか。ラファエル・ヴァランは、「明らかにわれわれに影響を与えている。何が起こっているのか、どんな発言があるのかを追ってしまう」と率直に吐露しています。

ロナウドが望むゴールは、チャンピオンズリーグの出場権を有するクラブに移籍すること。プレミアリーグで5位のクラブの目論見は、週給50万ポンドといわれるサラリーの支払いをストップするだけではないかもしれません。

「CNN」によると、プレミアリーグにおけるスタンダードな契約書には、「選手はクラブオフィシャルの合法的な指示には、すべて従って行動すること」「故意またはみだりに、クラブやフットボールの評判を落とすようなことを執筆したり発言したり、何らかの形で表現したりしてはいけない」と明記されているとのこと。今回のロナウドは、「パブリックメディアに出演する際には、クラブに通知する義務がある」という規定にも違反しています。

クラブと選手の関係は、もはや修復不可能でしょう。マンチェスター・ユナイテッドに課せられたタスクは、プレミアリーグが再開する前に彼の処遇について明確にすること、できるだけ速やかに問題を解決すること、冬のマーケットにおける戦力強化のプランを立てることです。

ジェイドン・サンチョ、アントニー、ラシュフォード、マルシアル、ガルナチョ、エランガ。現在の前線は伸びしろはあるのですが、「2022-23シーズンをTOP4で終える」というミッション達成を必須とすると、やや不安があります。経験値が高い選手を獲得するのか、若手の成長を促しつつ他のポジションを強化するのかは、ディレクターとマネージャー次第です。

こんなときは、「1億5000万ポンドでキリアン・ムバッペを獲得」という「ミラー」のゴシップに癒されます。「オシムヘン…いや、ナポリは出さないでしょう」などと、微妙にリアルな話に心を動かされるより、「宇宙人が攻めてくるぞ！」的なフィクションを無心に楽しめるほうがありがたかったりします。

プレミアリーグのゲームがない時期も、あの手この手で盛り上げようとするメディアのみなさん、ありがとうございます。ムバッペが来たら、アーセナルに迫れちゃうかもですね。クラブや指揮官と話すべきことを、マスコミにぶちまけたストライカーに思うところはしばし脇に置いて、まずはワールドカップを楽しむこととしましょう。大丈夫ですかね？日本代表…！