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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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今季は未だゴールもアシストもゼロ。テン・ハフ監督はアントニーの空転を解決できるのか?

「1年めは問題なかった。プレシーズンも問題なかったと思う。最初の4試合はとてもよかった。彼は離脱し、その後復帰したけど、われわれが期待していたパフォーマンスを発揮できなかった」

プレスに応じたコメントが、サンチョのトラブルのきっかけとなってしまったテン・ハフ監督は、相当気を遣っているのでしょう。アントニーに対する指揮官の言葉と、実際のスタッツの間には大きなギャップがあるように感じられます。初年度のプレミアリーグは、25試合4ゴール2アシスト。失敗とはいわずとも、問題ないといえるスタッツではありません。

巻き返しを期した2年めは、スキャンダルによってつまずきました。離婚の原因となった交際相手がDVを告発し、母国ブラジルで捜査が始まったために3試合欠場。無実を主張し続けたアントニーは、復帰後も冴えないパフォーマンスが続いています。プレミアリーグ16試合、CL4試合でゴールもアシストもゼロ。彼の不振は、ホイルンドが決められない理由のひとつになっています。

アントニーがいかに機能していないかをわかりやすくするために、ブカヨ・サカと比較してみましょう。今季プレミアリーグで19試合6ゴール6アシストという数字を残しているアーセナルのウインガーは、シュート49本、オンターゲット19本。対するマンチェスター・ユナイテッドのレフティは、24本を放って枠に飛んだのは6本のみです。

シュートよりも圧倒的な差を感じるのは、チャンスメイクに関する数字です。サカのクロス本数113本は前線ではリーグNo.1で、そのうち29本を味方に通しています。クロス14本のアントニーは、成功が3本のみ。逆サイドのガルナチョは30本、ラシュフォードは26本で、右サイドを担うウインガーは明らかに空転しています。

サカのチャンスクリエイトは50回、アントニーは16回。ドリブル成功数も31対15と大きく引き離されています。プレミアリーグ屈指のヤングスターと比べるのは…という声には、「出場時間が250分少ないトロサールより、オンターゲットもクロス成功も少ない」という事実を伝えておきましょう。あちらの移籍金は2100万ポンド、アントニーは8500万ポンドです。

右サイドでボールを受けると、必ず足元に収めて前に出ようとするフェイントを入れるため、攻撃がスローダウンするシーンが目立ちます。ドリブルはSBを抜き去るほどの切れ味がなく、中央に進路を取ってコントロールショットという得意技は読まれるようになりました。中盤やSBとの連携が少なく、しばしば孤立してしまうのも修正ポイントのひとつです。

ロドリが持つと迷わずボックス右に走るマン・シティのウインガーや、サカにボールが入るとすかさずフォローするウーデゴーア、ベン・ホワイトを見ていると、アントニーの空回りは指揮官の責任でもあると感じます。ブルーノが持ったときの動き方、カットインのタイミング、ホイルンドとの連携など、プレイのベースとバリエーションを明確にするのが改善の第一歩でしょう。

ウイングの顔ぶれを見ると、サンチョ、アントニー、ラシュフォードが総崩れで、元気なのはハングリーなガルナチョのみ。揃って不振に陥っている現状は、戦術が不明瞭であることを明快に物語っています。巻き返しは難しそうですが、プレミアリーグ2023-24シーズンは折り返し地点を過ぎたばかり。手持ちのタレントを活かす指揮官の策に期待するしかありません。


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