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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

彼は変われるのか?リシャルリソンの復活を見ながら「ラシュフォード不要論」について思うこと。

トッテナムに移籍した昨シーズン、プレミアリーグ27試合1ゴールと絶不調に陥ったリシャルリソンは、ポステコグルーとスタッフのサポートを受けて、今季はプレミアリーグ22試合10ゴールと完全復活。彼のゴールセレブレーションを見るたびに思います。マーカス・ラシュフォードは、どうすれば最高の自分を取り戻せるのだろうか…。

2022-23シーズンのプレミアリーグは、35試合17ゴール5アシスト。クリスマスを過ぎてからの10戦10発は圧巻で、ハーランドに次ぐビッグチャンスミス22回を気にする人は、さほどいなかったでしょう。しかし今季は、25試合5ゴール2アシスト。昨季のシュート数108本は4位でしたが、今季は55本で16位。オンターゲットの率は46%から33%に激減しています。

マンチェスター・ユナイテッドを3位に押し上げる原動力となったシーズンは、左足で3ゴール、ヘッダーで3ゴール。6位に停滞する元凶となっている今は、5ゴール全てが右足です。3-0完勝のエヴァートン戦は、譲られたPK。アーセナル、ノッティンガム・フォレスト、スパーズ、ウルヴスの4試合のゴールシーンをチェックすると、不振の理由の一端が見て取れます。

4つとも、打ったエリアはボックス入り口付近のやや左からで、インフロントにかけて右隅に収めています。言い方を換えると、「得意の形でしか決められなくなっている」。現在のプレミアリーグにおける「ラシュフォードがっかりあるある」は、インステップでバーの上、左足でニアポストの外、GKを見ずに焦って打って正面。左から縦に出たときは、決まるとは思えません。

不甲斐ないパフォーマンスにストレスを溜めたマンチェスター・ユナイテッドサポーターの多くが、「ラシュフォード不要論」を唱えています。単調で強引なドリブル、運動量が少ない、周囲と連携していない、守備に戻らない、奪われても追わないといったあたりが、売却したほうがいいという声の論拠でしょう。

しかし、ゴール&アシストの数字だけ見ると、マルティネッリはプレミアリーグ24試合5ゴール3アシスト、ルイス・ディアスは25試合6ゴール3アシスト、ジェレミー・ドクは2ゴール5アシスト。ラシュフォードとさほど変わりません。一定の評価を受けている彼らとの最も大きな違いは、チームの戦術にはまっているか否か、チームのために走っているか否かでしょう。

こう書くと、「その違いが大きいのではないか」という声が聞こえてきそうです。私も、そう思います。ただし、理由がチームのコンセプトに対するフィット感とコミットメントなら、指揮官とスタッフの問題も大きいのではないかと思います。エリック・テン・ハフは、ロナウドやサンチョと袂を分かち、アントニーやカゼミーロを改善できずにいる監督です。

過去2年で活躍したニューフェイスは、最初からはまっていたリサンドロ・マルティネス、初年度はうまくいったカゼミーロ&エリクセン、経験を重ねるうちにプレミアリーグに慣れたホイルンドぐらいで、不振の選手の問題を解決した事例は見当たりません。マクトミネイのゴール量産は、スコットランド代表からの逆輸入でしょう。彼とて、最適なポジションは未だ不明です。

いいたいのは、こういうことです。不振にあえいでいる10番も、適切なコーチングと継続的なモチベートがあれば、復活するのではないか。アルミロンとジョエリントンがベストな持ち場とスタイルを得て、ダルウィン・ヌニェスの表情が晴れやかになり、レオン・ベイリーがムサ・ディアビとのポジション争いを制しつつあるように。

前年のハイパフォーマンスとの落差、高い期待を裏切られた怒り、名門といわれたクラブの10番といった要素も、不要論を激しくさせているのだと思われます。ベルファストのナイトクラブ問題を謝罪しつつも、メディアの批判に反論した10番がマインドとプレースタイルを変えられなければ、私もいずれ売却やむなしに傾いていくのでしょう。

それでも今は、リシャルリソンの自信に満ち溢れた笑顔を見ながら、彼も変われるはずと思い続けています。そして、もうひとつ。メイソン・マウントやアムラバト、アントニーが何もできずに終わり、中盤を改善できないままCL出場権を取り逃すなら、不振の選手を救い出して戦力を十全に活かせる指導者の招聘を望みます。今季の停滞は、選手だけの問題ではないはずです。


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