イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

1試合あたり17.5本は欧州5大リーグで下から2位…マン・ユナイテッドがシュートを打たれ続ける理由。

フットボールもバスケットボールも好きという人は、マン・シティVSアーセナルよりも楽しめたかもしれません。エティハドの決戦は、両者合わせてシュート18本。スタンフォード・ブリッジに乗り込んだマンチェスター・ユナイテッドは、これを上回る19本を放っており、97分からの奇跡的な2発で勝ったチェルシーは28本です。

今季のマンチェスター・ユナイテッドは、1試合あたり17.5本も打たれています。この数字は、欧州の5大リーグで下から2番め。プレミアリーグで最下位に沈むシェフィールド・ユナイテッドの18.5本がワーストで、スペインやフランスの下位クラブよりやられています。彼らはなぜ、簡単に打たせてしまうのか。チェルシー戦のピンチを振り返ると、根本的な理由が見えてきます。

最初の失点は4分。ダロトが持ち場を離れ、コール・パルマーに中途半端なプレスをかけたのがきっかけでした。左サイドにフリーの選手が2人いたため、ヴァランが外に出て対応しますが、マロ・グストのクロスのコースを切れず、ボールはかかとに当たって中央に転がります。最大の問題は、むやみに下がったカゼミーロがコナー・ギャラガ―をフリーにしてしまったことです。

「相手を見ずに下がりすぎる」…この悪癖でCLを失ったチームは、シーズンの終盤になっても修正できずにいます。コナー・ギャラガーのダイレクトショットはカゼミーロの股間を抜け、オナナが伸ばした手の下を潜ってネットを揺らしました。前節のブレントフォード戦で、終了間際に喫した同点ゴールも問題の本質は同じです。

ボックス右のイヴァン・トニーに浮き球が出て、体をぶつけたリサンドロ・マルティネスは折り返しに触れず。この瞬間、アウェイチームは中に4人いたのですが、メイソン・マウント、マクトミネイ、ダロトは誰にも着いておらず、アイエルはどフリーでした。チェルシーに先制されたマン・ユナイテッドは、その後も左を崩されてニアから打たれるシーンを繰り返します。

コール・パルマーにPKを決められて2-0となり、25分にコナー・ギャラガーのFKがボックス左に上がりました。ここでもダロトがディサシに気づいたのは、ヘディングで打たれる寸前でした。メイヌーがコナー・ギャラガーに奪われた28分に、カウンターが成立してしまったのは、カゼミーロがニコラス・ジャクソンのドリブルを遅らせることすらできなかったからです。

次のピンチは37分。カイセドの致命的なミスパスをガルナチョがさらって決め、追い上げる雰囲気になってからでした。エンソ・フェルナンデスをチェックしていたブルーノは、右のコール・パルマーに出されると、8番を手離してSBに加勢しようとしました。しかし彼が寄せる前に、ボールはニアに走り込んだ8番へ。フリーのシュートは、オナナがかろうじて右に弾き出しました。

ピンチの連続だった前半は、2-2の追加タイム4分にも決定機を創られています。カゼミーロがハーフライン付近でニコラス・ジャクソンに奪われ、またもカウンター。エンソ・フェルナンデスと絡んだヴァランが足を痛めて戻れなかったこともあり、ゴール前は5対3になっていました。ニアに入り込んだコナー・ギャラガーの決定的な一撃を阻んだのは、ゴールポストでした。

58分にコール・パルマーにきわどいミドルを打たれた際も、対峙したダロトは外から上がったマロ・グストを気にしなければならず、シュートコースはガラ空きでした。カゼミーロが守らないシーンがあまりにも多く、上がったメイヌーをフォローする選手もいない状態で、終盤まで2-3は上出来です。75分にマクトミネイが入り、改善されたと思ったのですが…。

守備の連動と受け渡しがないチームは、最後に弱点をさらけ出しました。ノニ・マドゥエケがドリブルを始めたのは97分。ダロトの脇にいたブルーノは、1対2で奪おうとしているのかと思いきや、あっさり抜かれて後ろから倒してしまったSBを見ているだけでした。3-3となった1分後、ショートコーナーから決められたのも、守備における責任の所在が曖昧だったからです。

「テレグラフ」のレポートに掲載された1枚の画像を見ると、ブルーノ、マクトミネイ、メイソン・マウントがニアで空いていたコール・パルマーを指差しています。誰かいけ…しかし誰もいかず。中央にいたメイソン・マウントが、これはまずいと駆け寄った瞬間、28本めとなる強烈なシュートがマクトミネイに向かって飛んでいきました。

最後の2失点は、不運でも悲劇でもありません。前半から明確に存在した守備の綻びが、同じように顔を出しただけです。ドリブルで持ち込まれてもスプリントしないカゼミーロ。守備の意識はあるものの、ときどきウォッチャーになってしまうキャプテン。相手の意図を読まず、とにかく下がるマクトミネイ。失点の多さをCBとオナナに押し付けるわけにはいきません。

かくして、マンチェスター・ユナイテッドのTOP4奪還は絶望的になりました。次なるテーマは、ヨーロッパリーグ出場権を死守すること。リヴァプール戦のCBは、マグワイアとカンブワラでしょうか。中央を守る選手ばかりが話題になっていますが、ダロト、カゼミーロ、メイヌー、ブルーノらが意識と戦い方を変えない限り、似たようなピンチと失点が繰り返されるはずです。


おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“1試合あたり17.5本は欧州5大リーグで下から2位…マン・ユナイテッドがシュートを打たれ続ける理由。” への1件のコメント

  1. ヒノアキヒロ より:

    カゼミロの不調が表面的かつ実質的な問題であることは間違いないように思います。
    ただカゼミロだけに責任を負わせるのも違うように思います。
    ビルドアップできる、チームへの献身性、ディフェンスラインを叱咤・鼓舞するCB、、それが今のユナイテッドには欠けているのかなと。
    今のグダグダな個に走る中盤を見ていて、縁の下の力持ちスコールズや玄人ファン向けだったフレッチャー・キャリックコンビなどの黄金時代をつい思い出してしまいました。
    今のユナイテッドにはこういった日陰で咲く花的な選手が必要なのではないかと思います。(スコールズ、フレッチャー、キャリックも素晴らしい選手で日陰花ではないですけどっ!!)

コメントを残す