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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

圧勝、連勝…スールシャール新監督がマンチェスター・ユナイテッドにもたらしたもの。

カーディフに5-1で大勝した後、ハダースフィールドに3-1、ボーンマス4-1、ニューカッスル2-0。就任以来のプレミアリーグ4連勝は、1946-47シーズンに5連勝スタートを切った伝説の指揮官サー・マット・バスビー以来73年ぶり2人めの快挙でした。ノルウェーのモルデからレンタルという異例の抜擢となった、マンチェスター・ユナイテッドの新監督オーレ・グンナー・スールシャール。1999年5月26日にカンプ・ノウで開催されたチャンピオンズリーグ決勝で、追加タイムに決勝ゴールを突き刺してトレブル達成の主役となった「Baby-faced Assassin(童顔の暗殺者)」は、2007年までの11年をオールド・トラフォードで過ごしたクラブOBです。

2008年から2年間、マンチェスター・ユナイテッドでリザーブチームの監督を務めた元ストライカーは、知名度は抜群なのですが、指揮官としての実績は今ひとつ。2014年1月にカーディフに招聘されるもプレミアリーグ残留を果たせず、翌シーズンのチャンピオンシップでもチームを17位に低迷させ、わずか9ヵ月で解任の憂き目に遭っています。

成功体験がない新指揮官に、多くのサポーターはさほど期待していなかったのではないでしょうか。マンチェスターダービーで完敗した後、クリスタル・パレスやサウサンプトンに引き分けて1勝3分1敗と停滞していたため、「これ以上は悪くならないだろう」「モウリーニョ時代に燻っていた選手の復活はあるかもしれない」といった程度の見立てが過半だったのではないかと思われます。就任直後は、ジダンやポチェッティーノなど次期監督予想の記事が飛び交いました。彼は暫定監督、長くても5月まで。クラブを知っているから呼ばれたのであって、チーム作りや戦術を買われたのではない。カンフル剤にはなるかもしれないとしか思っていなかったサポーターや評論家にとって、プレミアリーグ4試合14ゴールという攻撃的なチームの出現は、絶大なインパクトだったのではないかと思います。

カーディフ戦の前に「全員にチャンスを与える」と語っていた指揮官は、5発圧勝の緒戦について、こう振り返っていました。「ワッザ(ルーニー)からのメールに助けられたね。彼は選手たちにフットボールを楽しませるべきといっていた。私が選手たちに求めたことだ」。戦術的に大きく変わったのは、「SBのポジションをより前に」「運動量の増加」の2点。前に出るフットボールを掲げる指揮官の下で、前線からのプレスが機能し、3トップの動きも流動的になりました。ポグバ4発、ラシュフォード3発、リンガード2発、ルカクは交代直後に2連発、マルシアル、エレーラ、マティッチと7人がゴールをゲット。ポグバが2戦連続の2ゴールでヒーローとなったボーンマス戦の後、リンガードが残した言葉が、戦い方の明確な変化を物語っています。

「ポール(・ポグバ)はフットボールを楽しんでいる。彼が好きな中盤の左。自由にやらせてもらっている」
「オーレは素晴らしい。マンマネジメントに優れている。1対1で話し、何をすべきかいってくれる」
「右ウィングでプレイしたとき、もっと中に入ってプレイを生み出せといってくれた」
「試合開始からペースを上げろといわれている。12分~15分で先手を取るのが重要だ、と」

前にいる選手たちの自由度を高めたことで、攻撃にバリエーションが生まれ、中盤の選手たちがシュートレンジに入りやすくなりました。守備には相変わらず課題があるものの、ポグバがゴールライン際まで戻って守るシーンが目立つなど、中盤とサイドの運動量が増えたことで最終ラインの負荷が減ったのも改善ポイントです。3失点はPK、FK、CKで、セットピース以外では失点を喫しておらず、最終ラインの混乱は確実に減りました。

次節はいよいよトッテナム戦ですが、アグレッシブに戦うことが求められるようになったチームは、攻め勝つことができるでしょうか。最大の懸念は、ニューカッスル戦の前に指揮官が語った言葉のなかにあります。「自分たちのプレイに集中すべきだ。相手の映像を1~2試合分は見るけど、結局はわれわれ次第。マンチェスター・ユナイテッドらしいプレイをすべきだね」。前任者のハードマネジメントによるストレスから解放され、自由を得た選手たちに、緻密な戦術が授けられたわけではありません。信念をベースにした個人力担保のサッカーで相手を振り回すのか、ポチェッティーノ戦術によって短期間で積み上げた自信を打ち砕かれて瓦解するのか。「5月にクラブを去ることを望んでいない」と続投を志願するスールシャール監督を応援してはいるものの、プレミアリーグの上位クラブや欧州の強豪に勝てるレベルになったのかどうかは、これから問われることになります。期待と不安は、未だ半々です。(オーレ・グンナー・スールシャール 写真著作者/Кирилл Венедиктов)

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“圧勝、連勝…スールシャール新監督がマンチェスター・ユナイテッドにもたらしたもの。” への1件のコメント

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    あとはビッグ6相手にどれだけできるのかCL権獲得はできるのかとても楽しみです

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