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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

フェネルバフチェ移籍決定!あれから7年半、メスト・エジルの光と影を振り返る。

プレミアリーグ184試合33ゴール54アシスト、FAカップ16試合2ゴール6アシスト、リーグカップ5試合1アシスト、コミュニティシールド1試合、チャンピオンズリーグ28試合7ゴール6アシスト、ヨーロッパリーグ19試合2ゴール6アシスト。2013年9月2日に、クラブ史上最高額の4250万ポンドでノースロンドンにやってきたプレーメイカーは、8年めとなる最後のシーズンにスタッツを更新しませんでした。「Thank you, Mesut」「Ozil joins Fenerbahce」。アーセナルの公式サイトが、公式戦253試合に出場したメスト・エジルに対する別れの言葉を配信しています。

「アーセナルに、多大な貢献をしてくれたメストに感謝する。250試合以上に出場。エミレーツFAカップ決勝では3試合でプレイし、優勝を遂げた。2013年に入団して以来、ファンとクラブ全員に多くの素晴らしい瞬間を与えてくれた。直近の交渉の間も、プロフェッショナリズムを発揮してくれたメストとチームに謝意を述べたい。アーセナルに関わるすべての人が、メストと家族がキャリアの次章で健康、成功、そして幸せを手にすることを願っている」(エドゥTD)

「アーセナルにおけるメストの功績に、議論の余地はない。彼とともにプレイし、最近になって指導までできたのは特権だった。アーセナルのシャツを着て発揮した彼の創造性とヴィジョンは、多くのゴールを導いた。 FAカップの3度の優勝など、何年にもわたってこのクラブが迎えた多くの素晴らしい瞬間の中心にいた。これらの成功は、いつもわれわれの歴史の一部となっている。 メストに感謝する。フェネルバフチェで、全力を尽くしてほしい」(ミケル・アルテタ)

入団初年度の2013-14シーズンからFAカップ連覇。2015年の夏にコミュニティシールドを制すると、2015-16シーズンはプレミアリーグレコードにあとひとつに迫る19アシストを記録し、チームを11年ぶりの2位に引き上げました。レスターを追撃できなかった無念のシーズン。ペップがやってくる来季からは、優勝をめざすのは難しくなるかもしれないと思いながらも、アレクシス・サンチェスとメスト・エジルは、将来レジェンドと呼ばれる存在になると信じていました。

アーセン・ヴェンゲル、アレクシス・サンチェス、メスト・エジルの素晴らしい関係に暗雲が垂れ込めたのは、2016-17シーズン。リヴァプールと1ポイント差の5位に終わり、チャンピオンズリーグ出場権を逃してしまったチームは、アレクシス&エジルの移籍とヴェンゲルOUTのゴシップに苛まれるようになりました。このシーズンのFAカップ制覇は、3人にとって最後の輝き。2017年の夏には、アレクシスがペップと再度タッグを組むという話が盛り上がり、破談となった5か月後の2018年1月にマンチェスター・ユナイテッドに移籍することになりました。

ヴェンゲル監督と強い信頼関係でつながっていたエジルは、アレクシスが去った10日後にプレミアリーグ最高額の週給35万ポンドという新契約を締結。騒がしかった2017-18シーズンは6位フィニッシュとなり、今度はボスがクラブを追われました。ともに戦ってきたジルー、ウォルコット、ウィルシャー、メルテザッカーも次々にいなくなり、プレーメイカーは孤独感を強めたのではないでしょうか。

2018年のワールドカップロシア大会も、エジルの心に深いダメージを刻んだイベントでした。2019年3月に、トルコのエルドアン大統領と撮った写真がドイツ国内で物議を醸し、本大会ではチームでNo.1のチャンスメイク数を記録しながらグループリーグ敗退の戦犯と非難されました。「勝てばドイツ人、負ければ移民」。DFBに対して強い抗議の言葉を残したエジルは、秋になる前に代表チームに別れを告げました。

何のために戦うのか。誰のために戦うのか。以前にも何度か書かせていただきましたが、エメリ体制以降の10番は、メンタルに問題を抱えていたか、あるいはモチベーションを高められなかったのではないかと思います。不本意なゲームばかりだった2年半を経て、美しいパスを繰り出し続けた左足は錆びついたのか、実は健在なのか。その問いに対する答えは、フェナルバフチェの本拠地シュクリュ・サラジオウルで見ることができるでしょう。

眩い光を放ち続けた4年と、曇天の2年と、土砂降りの1年、そして暗黒の6ヵ月。光と影のコントラストがくっきりとした彼のプレミアリーグを、アーセナルは、グーナーは、われわれファンは、どのように捉えればいいのでしょうか。トルコでの彼とご家族の幸せを祈りつつ、しばらくはせつなすぎる別れの寂しさをもてあますことになりそうです。ああ、あのとき、レスターに勝って2ポイント差に迫った後、ラシュフォードにやられなければ…!(何いってるんだ?ジブン)


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