偏愛的プレミアリーグ見聞録

ドログバ、ミルナー、グレン・ジョンソン、フラミニ、フラール、バートン、カンビアッソ…壮観です。イギリス紙「デイリー・メール」が、プレミアリーグでこの夏フリートランスファーとなる選手をリストアップしています。大きく分けると、単年契約に切り替わった30代のベテラン選手、戦力外となった選手、移籍をにらんで所属チームと契約を結ばなかった選手、クラブがプレミアリーグ残留できるかどうか様子見の選手といったところでしょうか。移籍が確実視されている大物では、まずはジェームズ・ミルナーに注目です。マンチェスター・シティの便利屋という立ち位置に納得していないミルナーの目線に見えているのは、キャリア最高のシーズンを送り、イングランド代表の中心選手として活躍している自らの姿でしょう。

リヴァプールとアーセナルの一騎打ちムードのなか、ミルナーが常時出場を求めるのであれば、リヴァプールのほうが満足いく待遇となるのではないかと思われます。ラムジー、ウィルシャー、ウォルコットらとのポジション争いに勝たなくてはならないアーセナルに対して、レッズならヘンダーソンの脇と右サイドのいずれかはミルナーのものになる可能性大。アーセナルもリヴァプールも、そろそろ30歳になるベテランMFが加入すれば中盤が相当安定しそうです。夏の移籍市場では、彼の選択が国内組最大のニュースになると思われます。

移籍確実といえば、イタリアに渡るという噂があるグレン・ジョンソンと、出ていくと語っていたロン・フラール、降格決定のバーンリーで活躍したダニー・イングスも、その行き先が話題になりそうです。オランダ代表CBのロン・フラールは、アストン・ヴィラがFAカップを獲ってヨーロッパリーグ出場権を手に入れれば、残留も視野に入るかもしれません。アストン・ヴィラといえば、マンチェスター・ユナイテッドからレンタルされているトム・クレヴァリーは、そのまま残るのでしょうか。ダニー・イングスはリヴァプールかマンチェスター・ユナイテッドといわれておりましたが、ファン・ハール監督の下でレギュラーポジションを獲得するのは難しそうです。来季のチャンピオンズリーグが確実となっているマン・ユナイテッドは、既にデパイを獲得。ファン・ペルシとファルカオの処遇は不透明ながら、ルーニーがいてジェームズ・ウィルソンが契約延長をするとなれば、ダニー・イングスの主戦場はキャピタルワンカップなどということにもなりかねません。

フラミニ、コロ・トゥレは、プレミアリーグに残るとなれば、中堅・下位クラブに活躍の場を求めることになるのではないでしょうか。逆にステップアップする可能性があるのは、レスターでレベルの差を見せつけたカンビアッソ。34歳の大ベテランは、プレイを見る限りではあと2年ぐらいは第一線でやれそうな雰囲気です。レスターは全力で引き留めにいくのだと思われますが、ソングやシュナイデルランの去就次第でウェストハム、セインツなどから声がかかるかもしれません。ジョン・ウォルタースやオデムウィンギーをストークが手離すとは思えませんが、市場に出れば中堅クラブの争奪戦が始まりそうです。

【プレミアリーグ・フリートランスファー選手一覧】
■チェルシー/MFカクタ、FWドログバ
■マンチェスター・シティ/GKライト、DFマイカ・リチャーズ、MFミルナー、FWグイデッティ
■アーセナル/GKマルティネス、MFフラミニ、MFディアビ
■マンチェスター・ユナイテッド/GKエイモス、MFクレヴァリー、FWジェームス・ウィルソン
■リヴァプール/DFコロ・トゥレ、DFグレン・ジョンソン、DFフラナガン、
　　　　　　　FWジェローム・シンクレア
■トッテナム/GKフリーデル（引退発表）
■サウサンプトン/GKボルツ
■スウォンジー/GKトレメル、GKコーネル
■ストーク/GKセーレンセン、DFウィルキンソン、MFパラシオス、
　　　　　FWジョン・ウォルターズ、FWオデムウィンギー
■ウエストハム/GKヤースケライネン、DFデメル、FWカールトン・コール、FWネネ
■エヴァートン/DFディスタン、DFアルカラス、DFガーバット
■クリスタル・パレス/DFデラニー、DFハンゲランド、MFジェローム・トーマス、
　　　　　　　　　　MFガーバン、FWアメオビ
■WBA/GKマイヒル、DFベアード、DFマコーリー、MFムルンブ、MFジャコブ
■アストン・ビラ/DFロン・フラール、DFハード、DFスティーブンス、FWダレン・ベント
■レスター/GKローガン、DFアップソン、DFコンチェスキー、DFバシレフスキ、DFバカヨゴ、
　　　　　MFカンビアッソ、MFハモンド
■サンダーランド/DFウェズ・ブラウン、DFレベイエール
■ニューカッスル/GKウッドマン、DFテイラー、MFグティエレス、FWアメオビ
■ハル・シティ/GKハーパー、DFローゼナイアー、DFマクシェイン、DFブルース、
　　　　　　　DFフィゲロア、DFダジョン、MFクイン、FWサグボ
■バーンリー/DFリード、DFダフ、MFマーニー、MFウォレス、FWダニー・イングス
■QPR/GKマーフィー、DFリオ・ファーディナンド、MFジョーイ・バートン、
　　　DFリチャード・ダン、DFヒル、MFショーン・ライト・フィリップス、
　　　MFヘンリー、MFファウルリン、FWボビー・ザモラ

あらためてリストを見ると、昨日引退を発表したフリーデルをはじめ、セーレンセン、ヤースケライネン、ボルツなど名物GKの名前が多いですね。フリーデルに続いて引退発表があってもおかしくないのは、リオ・ファーディナンド、ディスタン、ショーン・ライト・フィリップスあたりでしょうか。ドログバは、チェルシーであれだけやれればもうしばらくは現役を続行するつもりだと思われますが…。

プレミアリーグにぜひ、残ってほしいのは、精巣がんを克服してピッチに戻ってきた元アルゼンチン代表DFホナス・グティエレスです。仮にニューカッスルに残れなくても、以前にレンタルでプレイしていたノリッジの昇格などがあれば、小さくてもいいのでもうひと花、咲かせてもらえればと思います。

さて、もうひとり、ジョーイ・バートンという男が気になっているのですが、彼について語り出すと優に2000字は書いてしまいそうなので、別な機会とさせていただきます。何しろ景気がいいプレミアリーグですので、この夏の移籍市場も相当盛り上がるのではないでしょうか。