偏愛的プレミアリーグ見聞録

「Kane’s not turned up for training and we call him a saint, Pogba’s never said he wanted to leave and he’s getting abuse」

発言の主はマイカ・リチャーズ。取り上げたのは「マンチェスターイブニングニュース」に寄稿したフットボールライター、タイロン・マーシャル氏です。ハリー・ケインはトレーニングに来なくてもセイント（聖人）と呼ばれ、ポグバは退団したいといったことがないのに叩かれる…。おっしゃるとおり、28歳になったフランス代表MFは、クラブに対してネガティブなアクションを取ったり、非難したりしたことは1度もありません。

記事のタイトルは「Manchester United midfielder Paul Pogba has set an example to Harry Kane（マンチェスター・ユナイテッドのMFポール・ポグバは、ハリー・ケインにお手本を示した）」。パリ・サンジェルマンへの移籍が叶わなくても、プレミアリーグの開幕戦に出場して最高のパフォーマンスを披露したことを称えるレポートです。

リーズ戦のパスワークは圧巻でした。30分にマクトミネイのパスをダイレクトでラインの裏に浮かし、ブルーノ・フェルナンデスの先制ゴールを生み出すと、1-1の52分には左からスプリントしたグリーンウッドに完璧なロングスルーパスを通して勝ち越しゴールを演出。その2分後には、右にまわってブルーノ・フェルナンデスに柔らかい縦のスルーパスを転がして3点めを決めさせ、68分にはフレッジの足元に美しいグラウンダーを合わせました。

プレミアリーグにおける1試合4アシストは、ノースロンドンの独占市場で、ベルカンプ、レジェス 、セスク、アデバヨル（スパーズ時代）、カソルラ、ハリー・ケインの6人が記録しています。ポグバは7人めで、プレミアリーグ史上初の開幕戦4連発。契約延長交渉の不調を忘れさせてくれる完璧なパフォーマンスでした。地元メディアで記事を配信したライターは、マイカ・リチャーズさんの言葉に同意しながら、ポグバの姿勢を絶賛しています。

「ポグバはトレーニングをさぼったこともなければ、試合を棄権したこともない。彼は2年前に新しいチャレンジをしたいといっていたが、未だ実現していない。しかし、ユナイテッドの誰と話しても、彼についていいことしかいわないだろう。彼のプロフェッショナリズムは常に称賛されている」

昨年の4月に、「真剣にリハビリに取り組んでいない」とポグバを非難したグレアム・スーネスは、「誰かわからない。偉大な選手だったと聞いたことはある。顔はわかると思うけど、名前までは知らないね」と返されたことを根に持っているのでしょう。「スカイスポーツ」のディスカッションで今回の4アシストについて聞かれた際に、「1億ポンドの男に期待されることにすぎない」「昨日のスターはグリーンウッド」と発言し、マイカ・リチャーズに冒頭の言葉でたしなめられています。

お金をもらえずにユヴェントスにさらわれ、8900万ポンドで取り戻した後、今度はフリーでレアル・マドリード…!?　契約が切れる1年前に売却するのが当たり前になっている今、ポグバを失う見返りがないと聞くとがっかりしますが、マンチェスター・ユナイテッドとの約束を果たして出ていこうとしていると理解して、最後まで応援したいと思います。

ラストシーズンでプレミアリーグ制覇を果たせば、忘れえぬ選手として胸に刻まれるでしょう。…いや、本人は出ていくとはいってないですよね？スールシャール監督とのリレーションは問題なし。ブルーノ・フェルナンデスとのコンビネーションはワールドクラス。マン・ユナイテッドに希望を見出し、年が明けるまでに契約延長してくれると信じましょう。リーズ戦後の晴れやかな気分を、もう1度もたらしてくれればと期待しています。今度は1試合5アシスト…！