イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

F.トーレス、テベス…高すぎた移籍金や年棒に翻弄される選手の未来

この夏の移籍市場は、プレミアリーグとセリエA、そしてスペインの白いユニフォームが何かと話題をふりまいています。モウリーニョ監督が復帰するチェルシーでは、F.トーレスの去就が話題となっており、マンチェスター・シティがエル・シャーラウィを獲得するためにテベスを放出するのではないか、とイタリアの専門紙「ガゼッタ・デロ・スポルト」が報じています。

テベスはプレミアリーグで34試合出場、11得点。2列目での起用が多かったことをふまえて数字を見れば、32試合で14得点のジェコや、30試合で12得点のアグエロと比べても遜色ない活躍ぶりですが、来年の2月に30歳を迎えるため、高く売るなら今がラストチャンスというチームの思惑もあるのでしょう。また、彼の年棒が高いことから、どうせお金をかけるなら若いFWのほうがいい、という判断もあるかもしれません。いずれにしても、マンチーニ監督時代にトラブルでしばらく現場を離れたことがある気難しいFWが、チームにとってより扱いにくい存在になりつつあるのは間違いありません。

マンチェスター・シティはエル・シャーラィを獲得するためにテベスを放出し、差額の移籍金を払う用意があるといわれています。テベスからすれば、新天地で出場機会が増えるのであれば、この夏はマン・シティを離れる絶好のタイミングでしょう。ユヴェントスもテベスに興味ありという報道がありますが、ジョレンテの加入が決まっており、多くのクラブが注目しているヨベティッチにも色目を使っているビアンコ・ネロより、バロテッリの相棒にすっぽり収まりそうなロッソ・ネロのほうがテベスの希望には合致するのではないでしょうか(もし実現すれば、この破天荒なCFコンビをOKというミランの懐の深さもスゴイ)。気になるのは、ガゼッタ・デロ・スポルトが、「高額な年棒がネックとなる可能性がある」と書いていることです。今、ACミランがテベスを諦めてしまえば、彼らよりも気前よくテベスを迎え入れそうなチームは見当たりません。多少の減俸を飲んでもミラノ入りしたほうが、1年後に半ば投げ売り状態で望まないクラブに行かざるをえなくなるよりもいいのではないかと思います。

さて、F.トーレスですが、モウリーニョ監督はヨベティッチかカバーニの獲得を望んでおり、トーレスは構想外とスペインのメディアに書かれています。昨季はヨーロッパリーグでは大事なところで得点を重ね、リヴァプール時代の彼を彷彿とさせるプレイを見せていましたが、プレミアリーグでは36試合で8ゴール。29試合出場と休ませながら使われていたランパードが15ゴールで、2列目のマタが12ゴール、サイドのアザールが9ゴール。ワントップでありながら、彼らよりも少ないゴール数しか挙げられなかったのは事実で、来季、今以上によくなる見込みもありません。彼をよく知るラファエル・ベニテスの指揮下においても大きな改善があったとはいえず、放出候補になるのもやむなしですね。3年前のケガは思いのほか致命的で、スペイン代表の絶対的なエースからスピードとフィジカルコンタクトの強さを奪ってしまったのでしょう。彼もまた、来年3月に30歳を迎えます。チェルシーが「出すなら今」と考えているであろうことも想像に難くありません。

しかし、どこへ?今のF.トーレスに、どのクラブが高額な移籍金を払うのでしょう。FWに課題を感じていないマンチェスター・ユナイテッドや、トーレスよりも安い価格でいいFWを獲得できそうなアーセナルが振り向くとは思えず、ドイツやイタリアから獲りに来ることも考えられません。となるとスペインの中堅クラブか、もしくはスアレスが出て行った際に古巣が獲得するか。いずれのケースも「安ければ」ということになるでしょう。私はF.トーレスについて「高額な移籍金に見合う活躍はできなかった」とは思うものの、CL優勝を争うようなトップクラブではなく、CL出場権を争うようなレベルのクラブであれば、充分貢献してくれると見ています。しかしそれでも、一度高値がついた選手が値崩れするときは、相当敏腕な代理人が一世一代のいい仕事をしない限り、選手が望む未来は得られず、クラブ同士の綱引きによってあらぬ方向へキャリアが歪んでしまうこともあったりするわけです。

「ベイルはトッテナムに残るだろう」という観測もありますが、高すぎる移籍金や年棒はクラブやサポーターの期待値を不必要に引き上げ、選手に多大なプレッシャーを強いてしまい、その実力以上に高騰した要求に応えられなかったときは、獲ったクラブにとっても選手にとっても残念な末路を辿りかねません。お願いですから、1億ユーロ(約130億円)などというとてつもない値付けはやめてください。5月の会長選は無風で切り抜けたのですから、ただのパフォーマンスやアドバルーンでしかない選手獲得よりも、地道なチームづくりで結果を出すことのほうが大事じゃありませんか、フロレンティーノ・ペレス会長。伝統あるマドリードに輝かしい未来が待っているかどうかは、あなたの冷静さにかかっているといっても過言ではありません。(写真著作者/Alfonso Jimenez)

—–

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


コメントを残す