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ヨーロッパリーグで評価を高めてレギュラー奪取!吉田麻也を愛する地元紙の記事をチェック

プレミアリーグのニュースをマメにチェックされている方なら、「リヴァプール・エコー」「マンチェスター・イブニング・ニュース」といった地方紙の名前を目にしたことがあるのではないでしょうか。私は、これらのメディアの記事をチェックするのが好きで、思い立ったときにサイトを訪れるのですが、スポーツやフットボール、プレミアリーグなどのタブとは別に、「リヴァプール」「エヴァートン」「マン・ユナイテッド」「マン・シティ」と個別クラブへの入り口があるのが地方紙ならではのよさだと思います。掲載されている記事は、プレビューと試合結果、地元クラブをよく知る名物記者がレポートするチーム情報や、選手の声、サポーターアンケートの結果など。チームが悪いときは厳しい意見が並び、いわゆるゴシップも遠慮なく掲載されるのですが、選手に対する愛が感じられる記事も多く、ほっこりした気分にさせられます。

「デイリー・エコー」という新聞はご存じでしょうか。フットボール、クリケット、ラグビーなどスポーツの種目別タブの横に「Saints」と入っているサウサンプトンの地元紙です。これがまた、セインツの選手たちのことをよく見ているメディアで、たとえば1月末にはこんな記事が掲載されています。「How Maya Yoshida tried to help Jack Stephens through a difficult time at Saints(セインツが困難な時間を過ごしている間、吉田麻也はいかにジャック・スティ-ブンスを支えようとしてきたか)」。フォンテがウェストハムに移籍し、ファン・ダイクが負傷離脱したセインツは、プレミアリーグ22節のレスター戦の後半から吉田&スティーブンスという急造CBコンビで戦っています。記事では、2012年にセインツに入団した古株の日本代表CBが23歳の若い選手をケアしながら戦っている様を、吉田自身の声を交えながら紹介しており、取り上げるテーマの細やかさが現地紙らしいなとあらためて思いました。

最近の吉田絡みの記事では、こんなものもあります。「Southampton will not rush the return of Virgil van Dijk from injury(サウサンプトンは、ファン・ダイクの負傷からの復帰を急ぐつもりはないだろう)」。プレミアリーグ屈指のCBの不在は、セインツにとって最大の悩みではあるものの、「クラブは、ファン・ダイクがさらなるダメージを負わないように慎重に戻すつもり」というレポートとともに、「吉田麻也とスティーブンスがファン・ダイクとフォンテの穴を埋めており、急遽獲得したカセレスとガルドシュが控えている」として、不必要なリスクを冒すことはないと主張しています。ファン・ダイクはシーズン中に戻ってくる見通しですが、暖かくなるまでは吉田麻也とスティーブンスのコンビでいくとピュエル監督は腹をくくっているようです。

開幕の頃、「吉田麻也が不動のレギュラーになる」と予想できた人はいないのではないでしょうか。ライバルはユーロ2016優勝国のCBと、プレミアリーグNo.1とも称される大黒柱です。右SBとして多少出してもらい、EFLカップやFAカップで下部リーグのクラブ相手に数試合出られれば御の字というのが、多くのメディアの見立てだったと思われます。そんな選手が、年末からプレミアリーグでフル出場を続け、EFLカップファイナルのマンチェスター・ユナイテッド戦で聖地ウェンブリーのピッチに立てたのは、フォンテが移籍したからというだけではないでしょう。半分は、「ヨーロッパリーグで活躍した吉田麻也でいけるとピュエル監督が判断したから、フォンテを出した」のだと思います。吉田がレギュラーとなってからのプレミアリーグ8試合は14失点で、それまでの25試合20失点より数字は悪化していますが、メディアからの評価は悪くありません。「デイリー・エコー」のいくつかの記事を読むと、吉田は愛され、理解されているのだなと感じます。

海外に活躍の場を求めたわが国の選手たちがレギュラーポジションを獲れないと、「ダメだ」「無能だ」などと激しく非難する向きがあり、熱狂的なファンと「いい」悪い」の二択の議論となってメディアのコメント欄が変に盛り上がるのをときどき見かけます。私は、「基本姿勢は応援、いいときは称賛、悪いときは理由探し&心配&激励」といったスタンスです。変化が激しいサッカーの世界は、数ヵ月で状況が激変するもの。岡崎慎司と吉田麻也の立ち位置と評価が鮮やかに入れ替わるなどとは想像できなかった方も多いでしょう。「何が何でも擁護VSダメといったらとにかくダメ」というような論戦は、コミュニケーションすることのおもしろさを削いでしまい、ビギナーの方がフットボールの素晴らしさに辿り着く道を狭めてしまうのではないでしょうか。「愛って大事だろ」と問いかけてくれているようなイギリスの地方紙に、このスポーツを好きになった頃の気持ちを確認させてもらえるのはいいことだなと思ったりします。

私は今、吉田麻也の復活を誇らしく感じるとともに、マンチェスター・ユナイテッドで素晴らしいハットトリックを見せてくれた香川真司のドルトムントでの不振を憂いています。応援するクラブで泣きそうになるぐらいの興奮を感じさせてくれた選手は、いつまでも気になるものです。一昨日のチャンピオンズリーグにおけるバルセロナが素晴らしかったのは確かですが、1対1でマスチェラーノと接触したシーンで決められていれば…惜しかった、ディ・マリア!

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“ヨーロッパリーグで評価を高めてレギュラー奪取!吉田麻也を愛する地元紙の記事をチェック” への3件のフィードバック

  1. グッチ より:

    地元紙だからこその勢い任せじゃない記事って良いものですね。他国のケースは知りませんが日本の、特にネット上では「応援したら信者、批判したらアンチ。」とレッテルを貼り、その割合だけが選手の調子で変わるだけということが多いと思います。今回の記事の中の心配する。という部分を見てハッとさせられた人は決して少なくないと思います。

  2. だべ より:

    私も、基本姿勢は応援、そして心配です。母のような気持ちでみているのかもしれません。(当方男ですが笑
    私は海外という生活するだけでも大変な場所で「サッカーで活躍しよう」とJから海外サッカーに移籍する選手達のメンタリティに感銘を受け、サッカーファンになりました。
    なので、「試合で活躍できないからクソ」だとか「さっさとJに帰れ」などの書き込みを見ると少し心が痛みます。もっと他の視点でみてほしいと感じます。
    そして、日本は二現論になりがちです。
    だから、第三の視点の重要性を説くこの記事に共感しました。全てのサッカーファンに読んでほしい…
    とりとめのない文章で申し訳ないですが、言いたいのはとにかく素晴らしい記事ですね!ってことです。
    初コメ失礼しました。毎日楽しく拝見してます、いつも良質な記事ありがとうございます。

  3. makoto より:

    グッチさん>
    いいですよね。「心配」…私がいちばん伝えたかったことを、ズバリと射抜いていただき、とてもうれしいです。知識がなくても「にわか」などといわれず、サッカーを楽しみたい気持ちとクラブへの愛があれば楽しめる空間が増えるといいですよね。

    だべさん>
    ありがとうございます。
    母のような気持ちでみているのかもしれません。(当方男ですが →一緒です!
    日本は二現論になりがちです →ホントにそう思います!
    「香川は好きだけど、最近のプレイは彼らしくないよね。セントラルMFとの連携が今イチなんだよね」
    「香川はキャラ的に好きじゃなかったんだけど、こないだのゴール、あれメッシみたいだったよね!」
    「どうしたんだ香川⁉クロップ監督とやってた頃はあそこはシュートだったよね。自信をなくしてるのかなあ。打ってほしいなあ」といった会話を心おきなくできる場が増えると楽しいですよね。

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