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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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1年8ヵ月ぶりの欠場と3年ぶりのフル出場…アスピリクエタ&ウィルシャー、それぞれの軌跡

片や1年8ヵ月ぶりの欠場、もう一方は2年4ヵ月ぶりの先発復帰。カラバオカップ3回戦では、ロンドンのクラブに在籍する2人の選手の出場記録が話題になりました。チェルシーのCBセサル・アスピリクエタと、アーセナルの10番ジャック・ウィルシャー。2012年8月にプレミアリーグの門を叩いたアスピリクエタは、最初の2ヵ月こそベンチを温めていたものの、11月になると右サイドのレギュラーに定着。翌シーズン、イヴァノヴィッチが右にまわると、世界最高の左SBといわれたアシュリー・コールからレギュラーポジションを奪ってチェルシーの最終ラインを安定させました。

当時の指揮官だったジョゼ・モウリーニョが「アスピリクエタが11人いれば、チャンピオンズリーグを勝てる」という極端な賛辞を送ったのは、一瞬たりともさぼらない献身的なプレイと集中力の高さがあまりにも魅力的だったからでしょう。チームがピンチを招いても決して慌てず、完璧なポジショニングで対応するデイヴがいたからこそ、モウリーニョ監督は第二次政権でもプレミアリーグ優勝を成し遂げられたのだと思います。スランプに陥る選手が続出し、チームが10位に沈んだ2015-16シーズンも、ひとり崩れず37試合2ゴール。2016年1月31日、今は懐かしいオスカルがハットトリックを決めたミルトン・キーンズ・ドンズ戦を休んだアスピリクエタは、次のワトフォード戦から連続出場記録をスタートさせました。コンテ監督のチームでは公式戦全試合出場を成し遂げ、プレミアリーグ優勝とFAカップファイナル進出に貢献しています。

カラバオカップ3回戦のノッティンガム・フォレスト戦は、リュディガー、ケーヒル、クリステンセンにポジションを譲りました。奇しくも前回の欠場時と同じ5-1でチェルシーは快勝。今回ハットトリックを決めたのは、好調のミヒー・バチュアイでした。チェルシーにとって、アスピリクエタを休ませることができるのは、選手層に厚みができた証拠でしょう。チームの弱点となるポジションを埋め続け、5シーズンにわたってレギュラーポジションをキープし続けてきた28歳のDFは、サッカーセンスの塊です。彼がいなければ、異なる指揮官による直近の2度の優勝はなかったかもしれないとすら思います。

2015-16シーズンはプレミアリーグ出場3試合のみ。2016-17シーズンは途中出場で2試合。エミレーツのサポーターが、スタメンとしてピッチに登場するジャック・ウィルシャーを最後に観たのは2015年5月15日でした。今年の4月に「スカイスポーツ」が発表した「2011-12シーズン以降の負傷欠場日数ランキング」では、あのアブ・ディアビを37日も引き離す895日でぶっちぎりTOP。16歳でプレミアリーグデビューを果たし、18歳のときにはリーグ戦35試合出場と既に主力として活躍していた早熟の天才は、いつしか「悲運」という形容が似合う選手になってしまいました。

1-0で辛勝したカラバオカップ3回戦のドンカスター戦では、イオビかウィロックに代えられるかと思いきや、予想外のフル出場。10番が90分間ピッチにいたのは、2014年9月23日のキャピタルワンカップ3回戦のサウサンプトン戦以来となります。エミレーツで1-2と敗れた試合には、彼と同様に負傷に泣かされ続けたロシツキとディアビが出場していました。

ウィルシャーがボーンマスで常時出場する感覚を取り戻そうとしている間に、アーセナルは3-4-2-1にモデルチェンジしています。この夏、ヴェンゲル監督はウィルシャーに移籍を許可したといわれており、ジャカ、ラムジー、コクラン、エルネニーがいるセントラルMFには、彼の居場所はないものと思われていました。「ジャックが自信を取り戻すためには理想的な場だった。90分間プレイできることがわかった」。歯切れのいい言葉でウィルシャーの復活を称えた指揮官は、今後どんな形でレフティを起用するのでしょうか。ジルーに送った浮き球を見て、チームの主軸だった頃のことを思い出しましたが、エジルやジャカからもこれは出るとも思いました。守備を考えればジャカ、ボックスへの攻め上がりはラムジーのほうが期待値が高く、3-4-2-1の前線となるとアレクシス・サンチェスやエジルと勝負することになります。

アーセナルのファーストチームに昇格して10年め。クラブを長く見続けているサポーターにとっては、イングランド代表を背負って立つ存在になるといわれたMFは忘れえぬ存在なのだと思われますが、「やっぱり彼が必要だ」と再確認するまでにはもう少し時間が必要でしょう。サッカーセンスの塊という言葉は、アスピリクエタにもウィルシャーにもふさわしいと思いますが、この5年間の軌跡は光と影といっても大げさではないコントラストを描いています。「最も重要な選手のひとり。世界屈指のCB。ボールのオン・オフに関係なくクオリティが高い」とコンテ監督がベタ褒めするCBは、今日のストーク戦でも当たり前のようにピッチに顔を出すでしょう。一方のウィルシャーは…。7節のブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン戦なら、プレミアリーグでは2年半ぶりとなる10番のスタメンがあるのではないかと密かに期待しています。

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“1年8ヵ月ぶりの欠場と3年ぶりのフル出場…アスピリクエタ&ウィルシャー、それぞれの軌跡” への2件のフィードバック

  1. B より:

    本当に大好きな選手です、デイヴ
    あとでリプレイを見返すと、そのポジショニングの正しさを認識させられます 他の選手が点を取った時も、1番喜びながらその選手を祝福する姿も大好きです

  2. makoto より:

    Bさん>
    そうですよね。彼のさりげないプレイは、リプレイを見るといつも輝いてます。

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