イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

観客100名弱、こんなところに日本人…本ブログ特派員が「エンケティアのハットトリック」を現地で観ていた!

マンチェスター・シティ、ブラッドフォード、チェルシー、サウサンプトン、シェフィールド・ウェンズデー、サウサンプトン…。最近4シーズンでFAカップを3回も制しているアーセナルですが、リーグカップのほうはヴェンゲル体制になってからの優勝はゼロ。近年は「1月に2試合増やしたくない」と駄々をこねているかのような早期敗退続きです。2010-11シーズンのファイナルでバーミンガムに敗れて以来、3回戦~5回戦でいなくなるのが恒例行事。冒頭で並べたのが直近6シーズンで敗れた相手ですが、プレミアリーグのクラブだけでなく、下部リーグ所属チームにもたびたび足をすくわれています。今季はヨーロッパリーグ出場となり、例年以上に大胆にターンオーバーしているチームは、カラバオカップと呼ばれるようになった大会も若手を出していつも通りに敗れ去るものだとばかり思っていました。

一昨日は、そろそろ負け頃の4回戦。マンチェスター・ユナイテッドの試合をライブで観ながら、エミレーツではノリッジが先制したという報を聞いたとき、私は2年前の10月27日に開催されたシェフィールド・ウェンズデーとのひどい試合を思い出していました。同じ大会の同じラウンド。ポゼッションが71%もあったのに、シュートが6本しかなかったのもさることながら、プレミアリーグのクラブがチャンピオンシップに3-0はやられ過ぎです。一昨日の試合も、ドビュッシー、エルネニー、ホールディングの3バックが盛大にカウンターを喰らっており、一気に0-3になってもおかしくない展開でしたが、アーセナルは何とか持ちこたえて最少得点差で終盤に突入しました。

とはいえ、残り時間が5分となれば、多くのサポーターが敗戦を覚悟したでしょう。「スカイスポーツ」もまた、新しいスターが誕生したときの状況について、「Arsenal were heading for Carabao Cup defeat at home to Championship side Norwich City before his intervention. (彼が介入する前、カラバオカップのアーセナルはチャンピオンシップのノリッジ・シティ相手にホームで敗れようとしていた)」と表現しています。85分、ネルソンに代わって登場したのは背番号62、エディ・エンケティア。ピッチの感触を確かめてからわずか15秒後、左からの低いCKをコクランがバックヘッドで中央に送ると、18歳のストライカーはファーストタッチでゴールに押し込みました。大歓声のエミレーツ。怒っているかのような表情で何かを叫びながらチームメートの祝福を受けるエンケティアに、ゴールゲッターらしい気の強さを垣間見たような気がしました。

ロンドンで生まれ、チェルシーユースにいたエンケティアは、2015年にクラブからリリースされてしまいました。今季はスワンズにレンタルされてプレミアリーグ9試合4ゴールと順調に結果を出しているタミー・アブラハムが2歳年上におり、190cmの逸材よりも15cmも低い細身のFWがファーストチームでは難しいとジャッジされるのも無理はなかったのかもしれません。しかし、チェルシーはもう1年我慢すべきだったようです。チェルシー退団の数日後にアーセナルに加わったエンケティアが頭角を現したのは、2015-16シーズンでした。U-18のチームで28試合24ゴールという出色の数字を残したストライカーは、続く2016-17シーズンにはU-23チームに抜擢されて26試合12ゴール。かけもちで参加していたU-18でも16試合15発と類まれなるゴールセンスを発揮しました。

2016年11月のレスター戦でハットトリックを決めたエンケティアは、2017年3月にイングランドU-18代表として戦ったカタール戦でもハットトリック。アーセン・ヴェンゲル監督は若きタレントを放っておかず、プレシーズンにはオーストラリアと中国に帯同させていました。プレミアリーグには顔を出せていないものの、ヨーロッパリーグではBATEボリゾフ戦の89分に自己紹介のような欧州デビュー。ゴールを期待されてピッチに送り出されたのは、カラバオカップのノリッジ戦が初めてでした。

エンケティアの衝撃は、土壇場の同点ゴールだけではありませんでした。96分にも左CKを狙い、今度は打点の高いヘディングでファーサイドのネットに突き刺します。2-1、アーセナルは逆転勝利。2016年2月、ヨーロッパリーグラウンド16のミッティラン戦で2ゴールデビューを果たしたマーカス・ラシュフォード以来のサプライズ!「持っている男」には、特別な何かが備わっているのでしょう。彼はプレミアリーグのデビュー戦でもやってくれるかもしれません。ヴェンゲル監督には、今後はワトフォード戦のように追い込まれたら、ジルーではなくエンケティアのほうを出すようにおすすめ…いや、失礼、これは釈迦に説法。ボスが起用したからこそ、劇的な勝利が実現したのでした。いささか興奮しすぎたようです。

最後に…実はエンケティアについては、本ブログの特派員が「未来のスターを発掘せよ!アーセナルU23観戦記」という記事を昨年末に寄稿しております。「レスター戦のハットトリック」の現場に、100人にも満たない観客のひとり(すなわち相当物好きな外国人)として居合わせたわけですね。これは、ニッポンで最初の「エンケティアのライブ写真入りレポート」です。昨日、カラバオカップのレポートを書いた後に気がつきました。現地の雰囲気がわかる迫力のレポートですので、グーナーのみなさんはぜひ、目を通していただければと思います。(エディ・エンケティア 写真著作者/ed g2s)

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“観客100名弱、こんなところに日本人…本ブログ特派員が「エンケティアのハットトリック」を現地で観ていた!” への2件のフィードバック

  1. りっきー より:

    アーセナルからこうした若い選手の衝撃デビューというのはすごく久しぶりな気がします!
    恥ずかしながら名前も知りませんでした!
    ユースからストライカーで活躍してる選手はアーセナルではしばらくいなかったと思うので非常に楽しみです(^^)
    願わくばラッシュフォードのようにファーストチームに定着して底上げしてほしいですね!

  2. makoto より:

    りっきーさん>
    そうですね。ラシュフォードのようなプロセスで上がっていってもらえればと期待してます。

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