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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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泥沼化するマフレズの練習ボイコット問題…やはり気になる移籍騒動の損得勘定。

ここまで泥沼化するとは想像できませんでした。レスターとのコンタクトを絶ち、練習を休み続けているリヤド・マフレズのお話です。2014年1月、フランスのルアーブルから、当時はチャンピオンシップ所属だったレスターに加わったアタッカーは、移籍金40万ポンド(約6000万円)というバーゲンセールでした。チャンピオンシップで19試合3ゴールという数字を残したマフレズは、クラブがプレミアリーグ昇格を果たした2014-15シーズンも30試合4ゴールとレギュラーとして活躍。翌シーズン、クラウディオ・ラニエリ監督を招聘したレスターが奇跡的なプレミアリーグ優勝を実現すると、37試合17ゴール11アシストという素晴らしい戦績でチームに貢献したマフレズは、PFAの年間最優秀選手に輝きました。

同じく優勝の立役者といわれたエンゴロ・カンテは、在籍わずか1年でチェルシーに移籍。2016年の夏にアーセナルからオファーがあったと報じられたマフレズは、結局クラブに残りましたが、今季こそはビッグクラブから声がかかれば認めてもらえると考えていたはずです。最初の2ヵ月はノーゴールながら、10月からコンスタントに得点を重ねてプレミアリーグ8ゴールまで積み上げたサイドアタッカーに、マンチェスター・シティからオファーがありました。アレクシス・サンチェス争奪戦から撤退したクラブは、やはりサイドから仕掛けられる選手が必要だったようです。彼らのオファーは6000万ポンド(約91億円)と選手の譲渡という申し分のないもので、レスターがイエスといえばデッドラインデーの駆け込み移籍は成立していました。

ところがレスターは、トランスファーリクエストを提出したMFの移籍について、9500万ポンド(約144億円)という法外な金額を要求。さすがのマンチェスター・シティもこれを呑むわけにはいかず、話は破談に終わりました。この結果を知ったマフレズは怒りと落胆が収まらず、クラブの練習をボイコットしたと伝えられました。これに対して、レスターは20万ポンド(約3100万円)の罰金を科すことを検討していると報じられましたが、1週間以上経っても本人と連絡が取れず、練習不参加は続いています。「BBC」は、PFA(プロフェッショナル・フットボーラーズ・アソシエーション)がこの問題の仲介に入ろうとしていると報道。チーフのゴードン・テイラー氏は、「(解決が)早ければ早いほど、全員にとってベターだ」と語っており、スアレスやオデムウィンギーのケースと同様のサポートを約束しています。

このお話は、分があるのはどこまでいってもクラブで、「マフレズは契約を全うしなければならない」といい切ってしまえば反論の余地はどこにもありません。「移籍を容認してくれたではないか」と、選手が口約束の存在を主張するケースもありますが、オファーの内容によって呑めないケースがあるのは前提です。6000万ポンドというオファーは好条件にみえますが、あくまでも決めるのはレスター。彼らが9500万ポンドはほしいと考えれば、それが選手のお値段となります。高いタグをつけるかどうかは、売る側の裁量です。

かようにクラブに正当性があっても、こういう揉め方をしたときに釈然としないものが残るのは、多かれ少なかれクラブが実害を被ってしまうからでしょう。それがわかっているクラブやサポーターは、「ロイヤリティを失った選手は売ってしまったほうがよい」という論に傾きます。この冬も、何人かの選手がそうだったように。

「選手とクラブが揉めたら経済的に損をするのは、悪しきイメージがついてまわるクラブと、選手を見られなくなるシーズンチケットホルダーやテレビ視聴者」という構図は、何らかの形で変わってほしいと思います。プレミアリーグは、移籍市場の締め切りを開幕前に設定しようとしているようですが、それでも冬のマーケットでは「移籍騒動の渦中にある選手が大事な試合を欠場」という微妙な状況が残り続けます。ここはテレビやチケットにお金を払っているプレミアリーグファンが、声を揃えていわないといけないのでしょうね。「マフレズ、あなたのサラリーを払っているのは、私たちなのだ」と。

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“泥沼化するマフレズの練習ボイコット問題…やはり気になる移籍騒動の損得勘定。” への9件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    マフレズの行動がプロとして失格なのは当然ですがよほど腹に据えかねたのでしょうね。
    ここ数年のマフレズを見ていると90億の移籍金は十分すぎるほどの額に思えますが、レスターとしては冬の段階ではELに出れる範囲であり後釜が確保できないために売らなかったのでしょうね。
    結果は完全に裏目に出てしまいましたが。

    優勝して以来FWに高い移籍金を払いながらもヒットしたのはDFのマグワイアのみ。
    この先絶対的なエースであるヴァーディを失えば数年以内の降格もあると思っています。

    個人的にはレスターは残留を第一目標にして有望な若手を育てて高く売る育成クラブを目指すべきだと思いますがやはり一度優勝やヨーロッパの味を覚えてしまうと初心に帰るのは難しいんですかね。

  2. ルニキ より:

    今回のケースについては完全にマフレズが悪いと思っています。トランスファーリクエストを出したといっても遅すぎますし、一年前に契約延長したのは自分ですから。
    対策としては全ての選手の契約に、契約解除金の設定を義務付ける等でしょうか。

  3. もろ より:

    移籍を認めてくれない→契約下なので当然
    練習拒否→正当性なし。ただのサボり。

    契約を結んだのは本人なので、移籍を認められなくても自業自得どころか当然のことですね。
    なんでこんな当たり前のこともわからないんですかねぇ。マフレズみたいに、こういう感情論で動く残念な人がファン、選手含め多いのは悲しいですね。直近だけでもコウチーニョ、オーバメヤン、マフレズ。
    サッカー界でこんな不義理が横行してるのはほんとに残念ですし、ゴネ得は良くないので毅然として対応してほしいところ

  4. どーん より:

    難しいところですよね…
    今回の破談でマフレズは3回目ですからね…移籍が出来なくなるのは…気持ちはわかる気がします。
    本当がどうか分かりませんが、一部報道では正当なオファーが来たら移籍させてくれるという条件で契約延長をしたという話もありますから、もしそうなのであれば最初から契約解除金を設定して延長すれば良かったのでは?どのみちマフレズに非があるのかなとも思います。
    来夏ステップアップする為にも早く復帰して試合に出ることが大事だと思うので早く帰って来てほしいですね。

  5. プレミアリーグ大好き! より:

    マフレズが悪いのはその通りですがレスターも微妙ですよね
    中途半端な金額でヴァーディーの相方探してことごとく失敗してるし
    もう一度クラブの立ち位置を再確認した方がいいと思います

  6. 一介の法学生 より:

    マフレズほど給料をもらっていればいいのかもしれませんが、その他一般のサッカー選手にとって、ボスマン判決以降の契約期間を買い取るタイプの移籍スタイルはかなり不平等なのでは思います。

    サッカー選手であろうとも、クラブと契約を結んで働く労働者なのですから、EU労働法の適応を受けますし、労働者である以上、より権力を持ってるクラブ側(雇用主)からの適切な保護が必要です。

    現状の移籍システムが、EU労働法によって守られるべき、労働者の自由な移動の権利に逆行するような形なのは明白で、それはサッカー業界外からしきりに言われてきたことです。もしこれが会社員と会社の関係だったら、他の会社に行きたいのに行かせない、なんてことになったら明白な違法行為でしょう。

    コウチーニョの件もマフレズの件も、氷山の一角で、"有名税"的に不自由を受け入れろと言われてるのかもしれませんが、そういうごく一部の有名プレイヤー以外にもたくさんの普通の選手がいるわけで、現状の極めてクラブ側に有利な移籍システムは問題だと思いますね。

    ご参考まで:https://gclaw.wordpress.com/2014/05/13/player-contracts-football-transfers-v-european-union-law-analysis/

  7. プレミアリーグ大好き! より:

    近年の一部選手たちの移籍間近の行動にはやはりちょっと残念だなと思ってしまいます。マフレズに関してはレスターにも非がないとは言えないので微妙なところですが…。ただ、もうそういう時代ではないのかもしれませんが、クラブへの忠誠心が高い選手が減ったなとは感じます。そういう点で言うと意外とアザールはチェルシーへの忠誠心が高く見えるので個人的にはそういう意味でも凄く好きな選手です。(意外と言ったら失礼かもしれませんが)

  8. プレミアリーグ大好き! より:

    シティーのオファーは金銭プラス選手の総額6000万のパッケージオファーなのでは。金銭6000万プラス選手なら流石に売るでしょ

  9. voo より:

    一回の法学生さんの意見に賛成です。大前提として選手とクラブでは選手の方が圧倒的にリスクも高く稼げる期間も短く不利な立場であり、それを強い立場であるクラブがいいようにできないようにどう保護するかを第一の優先順位で考えるべきだと思います。

    その上で今回の件でもこの記事でも私はこれらの経緯の中にいわゆる「契約延長をしなければ干して高い移籍金出すクラブにしか移籍を許可しない」的な圧力が過去にあったか、またそういう圧力をかけてよいと思っているかどうかで評価が変わる感じです。
    というのは最近原口などの件で契約延長しなければ干すのが当たり前みたいな意見が散見されているのに不快感があるからです。その選手は結んだ契約を最後までまっとうしようとしているのに延長しないから干す!これを肯定したうえでの現状なのかどうか、また論者もそれらを肯定した上での論なのかどうかで私は評価が違うなあと思います。

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