彼は嫌とはいっていない…「エジルがペイカット拒否」の報道に対して思うこと。
アーセナルが選手たちに求めた12.5%のペイカットに対して、メスト・エジルが拒否したと伝えられたとき、「誰かが言い出すだろうな」と思いました。「プレミアリーグでトップクラスの週給35万ポンドを得ている選手が、サラリーの減額に応じないとはどういうことだ」と。案の定、火の手が上がったのは21日でした。発信源は、グーナーのジャーナリスト、ピアース・モーガン氏。TwitterとTV番組を通じて浴びせかけた痛烈な非難の言葉を、「ザ・スコティッシュ・サン」が紹介しています。
「恥ずべきことだけど、驚かない。2017年以降、エジルは何もしないのに週給35万ポンドをもらっている」
「はるかに安い給料の若い選手が、ペイカットを受け入れている。あなたにとっては海に投げ入れた小さなドロップのような金額だろう。クラブの財政状況を見たいから受け入れたくないというけど、実際にフットボールをする以上に毎晩プレイステーションをしている人間が…マジか?」
何とまあ、感情的な。同じトーンでお返ししても仕方がないので、事実ベースで今回の話を整理しましょう。まずは、エジルの代理人であるドクター・エルクト・ソグトの言葉を紹介します。彼らは、ペイカットに反対しているわけではありません。「クラブは、ペイカットの必要性や12.5%の根拠を具体的に説明すべき」「選手は、自らが得たお金を妥当な目的に対して使う権利がある」と主張しているだけです。
「 クラブがテレビ放映権料やスポンサーフィーを得られるのか、リーグが開催されるのかどうかがわからないのに、今すぐペイカットに同意するのを勧められない。クラブへの財政的影響は、3~6ヵ月後に把握することができるが、今は無理だ。クラブは、依然として昨年と同じ利益を得る可能性がある。延期というオプションがあるなかで、削減に同意すべきではない」
「政治家は、選手たちに自らの役割を果たせというが、NHS(国民保健サービス)のスタッフさえも守れない彼らの言葉は、慰めにすぎない。『強欲なプレミアリーグのプレーヤー』とターゲットにするのは簡単だけど、彼らの多くは多大な額をチャリティーに費やしている」
4月上旬、プレミアリーグの選手たちは、マット・ハンコック保健相の「選手たちは、クラブのスタッフの給与をサポートするためにサラリーを減額するべきだ」という批判に対して反発。リーグから求められたサラリーの一律カットを拒否しました。彼らの言い分は、「ペイカットは、クラブの財政に貢献するだけで、自分たちのお金を社会に役立てるわけではない」。ジョーダン・ヘンダーソンが、各クラブのキャプテンたちと話し合って発足したコロナウイルス対策支援の基金「#PlayersTogether」は、イギリス全土に150以上あるNHS慈善団体の全国組織「NHSCT」と連携して医療システムをダイレクトにサポートしています。
エジルと代理人の選択は、ジョーダン・ヘンダーソンらと同じほうを向いています。プレミアリーグで7シーズンを過ごしたプレーメイカーは、これまでどれほどのチャリティーを行ってきたことか。2014年のブラジルワールドカップの際には、当地で病気に苦しむ子どもたちの手術費用として35万ポンドをフィード。2019年の結婚式の際には、発展途上国の子どもたち1000人の手術費用を寄付すると発表し、披露宴で供されたディナーをシリア難民などホームレス16000人に送っています。年俸1820万ポンドの12.5%は、228万ポンド(約3億円)。これを返上してクラブに貢献するべきか、誰かを助けるために使うべきかを、状況を把握したうえで判断したいと申し入れているのです。
半年後、メスト・エジルは、他の選手よりも多額のペイカットを行うかもしれません。物事は、目の前にある出来事だけでなく、その向こう側にある背景や意図を踏まえて論じられるべきでしょう。こんな状況下では、平時以上の冷静さが求められます。「エジルがペイカット拒否」というニュースだけで事の良し悪しを判断せず、ドクター・エルクト・ソグトのコメントに辿り着いて理解を深められたことを、自分に対してよかったと思っています。
「恥ずべきことだけど、驚かない。2017年以降、エジルは何もしないのに週給35万ポンドをもらっている」
「はるかに安い給料の若い選手が、ペイカットを受け入れている。あなたにとっては海に投げ入れた小さなドロップのような金額だろう。クラブの財政状況を見たいから受け入れたくないというけど、実際にフットボールをする以上に毎晩プレイステーションをしている人間が…マジか?」
何とまあ、感情的な。同じトーンでお返ししても仕方がないので、事実ベースで今回の話を整理しましょう。まずは、エジルの代理人であるドクター・エルクト・ソグトの言葉を紹介します。彼らは、ペイカットに反対しているわけではありません。「クラブは、ペイカットの必要性や12.5%の根拠を具体的に説明すべき」「選手は、自らが得たお金を妥当な目的に対して使う権利がある」と主張しているだけです。
「 クラブがテレビ放映権料やスポンサーフィーを得られるのか、リーグが開催されるのかどうかがわからないのに、今すぐペイカットに同意するのを勧められない。クラブへの財政的影響は、3~6ヵ月後に把握することができるが、今は無理だ。クラブは、依然として昨年と同じ利益を得る可能性がある。延期というオプションがあるなかで、削減に同意すべきではない」
「政治家は、選手たちに自らの役割を果たせというが、NHS(国民保健サービス)のスタッフさえも守れない彼らの言葉は、慰めにすぎない。『強欲なプレミアリーグのプレーヤー』とターゲットにするのは簡単だけど、彼らの多くは多大な額をチャリティーに費やしている」
4月上旬、プレミアリーグの選手たちは、マット・ハンコック保健相の「選手たちは、クラブのスタッフの給与をサポートするためにサラリーを減額するべきだ」という批判に対して反発。リーグから求められたサラリーの一律カットを拒否しました。彼らの言い分は、「ペイカットは、クラブの財政に貢献するだけで、自分たちのお金を社会に役立てるわけではない」。ジョーダン・ヘンダーソンが、各クラブのキャプテンたちと話し合って発足したコロナウイルス対策支援の基金「#PlayersTogether」は、イギリス全土に150以上あるNHS慈善団体の全国組織「NHSCT」と連携して医療システムをダイレクトにサポートしています。
エジルと代理人の選択は、ジョーダン・ヘンダーソンらと同じほうを向いています。プレミアリーグで7シーズンを過ごしたプレーメイカーは、これまでどれほどのチャリティーを行ってきたことか。2014年のブラジルワールドカップの際には、当地で病気に苦しむ子どもたちの手術費用として35万ポンドをフィード。2019年の結婚式の際には、発展途上国の子どもたち1000人の手術費用を寄付すると発表し、披露宴で供されたディナーをシリア難民などホームレス16000人に送っています。年俸1820万ポンドの12.5%は、228万ポンド(約3億円)。これを返上してクラブに貢献するべきか、誰かを助けるために使うべきかを、状況を把握したうえで判断したいと申し入れているのです。
半年後、メスト・エジルは、他の選手よりも多額のペイカットを行うかもしれません。物事は、目の前にある出来事だけでなく、その向こう側にある背景や意図を踏まえて論じられるべきでしょう。こんな状況下では、平時以上の冷静さが求められます。「エジルがペイカット拒否」というニュースだけで事の良し悪しを判断せず、ドクター・エルクト・ソグトのコメントに辿り着いて理解を深められたことを、自分に対してよかったと思っています。
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このように一つの記事にしてくださってありがとうございます。
エジルをある程度見てきた人間ならば「ペイカット拒否という報道の裏には何か事情があるはず」というのはすぐに勘づくのですが、そうでない方には今回の記事によって知った事実も多いでしょう。
そのくらい情報というのは「自分に興味の無いことは入ってこない」ものだし「自分の意見とは違うものは聞こえなくなる」ものだと思います。
エジルを嫌いな人、クラブから追い出したい人にとっては「ペイカット拒否の高給取りドケチ野郎」が未来永劫事実のままなのでしょう。
ですがこのような記事一つで「ああ、エジルってこんな人だったの」と気付く人も少なくない数できっといるはずです。
いつもならスキャンダラスで眉唾な飛ばし記事を楽しむのもサッカーの醍醐味なのですが、世界中がこれだけギスギスしている状況下ならば、せめて情報を発信する側はその情報がどれだけ精査されたものなのかもう一度考えてから発信してもらいたいものです。