偏愛的プレミアリーグ見聞録

キックオフから5分、マルコス・アロンソのスルーパスでボックス左からゴールに迫ったカイ・ハヴェルツが、左足の強引なシュートをダヴィンソン・サンチェスの足に当てながら先制。34分には、右からのFKをクリアしようとしたタンガンガのヘディングが、ベン・デイヴィスの頭にヒットしてゴールに飛び込んでしまいました。ロンドンダービーとなったカラバオカップ準決勝のファーストレグは、ホームのチェルシーが2-0でスパーズに完勝しました。

かつてはビッグ6と呼ばれたプレミアリーグの強豪クラブは、3＋3に分かれた感があります。優勝をめざすのは、昨季プレミアリーグ王者のマンチェスター・シティ、2019-20シーズンにトロフィーを獲得したリヴァプール、チャンピオンズリーグを制したチェルシー。セカンドグループにマンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、トッテナムという構図です。

スタンフォード・ブリッジのゲームは、シュート数19対5。エリック・ダイアーとレギロンを休ませただけで、ほぼベストといえるメンバーを揃えたコンテ監督は、2点差をひっくり返すという厳しいミッションを持ち帰ることになりました。プレミアリーグで5勝3分とチームを立て直したコンテ監督は、チェルシーの層の厚さを痛感しているのではないでしょうか。

スパーズに足りないのは、ルーカス・モウラやソン・フンミンとは違うタイプのアタッカーと、展開力があるセントラルMFでしょう。最重要ターゲットは、夏にミランとの契約が切れるフランク・ケシエ。移籍金を下げたいスパーズは、タンギ・エンドンベレを差し出すスワップを持ちかけたようですが、ミランが拒否したと伝えられています。

ユーヴェをよく知るファビオ・​パラティチSDとコンテ監督は、古巣から引き入れたい選手が異なるともいわれています。ウイングやトップ下で機能するデヤン・クルゼフスキを推すSDに対して、指揮官がほしがっているのは運動量とハードマークがセールスポイントのウェストン・マッケニー。より現実的なのはパラディチ案ですが、チーム強化という観点でいえば、23歳のアメリカ代表のほうが納得感があります。

そのほか、名前が挙がっているのは、ウルヴスが2000万ポンドまで値段を下げたと伝えられたアダマ・トラオレと、バルセロナを出る可能性が高いフィリペ・コウチーニョ。デル・アリやエンドンベレが輝かないのが悩みとなっているクラブにとっては、元リヴァプールのアタッカ―は相当魅力的なのではないでしょうか。アストン・ヴィラやニューカッスルとの競合なら、チャンピオンズリーグをめざせるというアピールポイントで引き寄せられるはずです。

プレミアリーグではしばらく負けていないスパーズに、攻め上がりを得意とするセントラルMFや、前線を動かせるアタッカーが加わったら脅威です。さほどお金は使えないと思われるクラブは、コンテ監督を納得させる補強ができるでしょうか。イタリアやスペインから飛び込んでくる続報に注目しましょう。