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【Tottenham×Arsenal】 今までとは違う2失点。狙われたCBの裏

絶対に負けられなかったノースロンドンダービーで、アウェイのアーセナルはトッテナムに2-1で完敗。マンチェスター・ユナイテッド戦、マンチェスター・シティ戦、チェルシー戦、リヴァプール戦に続き、またもや2点を先に奪われ、ビハインドを埋められないままタイムアップを迎えてしまいました。ただし、今までと違うのは、自滅ではなく完全に崩されての失点だということ。過去の上位対決では、DFラインがうまく試合に入れず敵の攻撃への対応に問題があったり、ミスをフォローしきれなかったりと「自滅型」で失点を重ねていたのですが、今回はメルテザッカーとヴェルマーレンの連携が悪く、背後を突かれると弱いことを見抜かれ、完全に狙われました。自分たちのやり方に問題があれば修正すればいいし、ミスであれば撲滅のための改善策を明確にすればよいのですが、これは能力とチーム戦術の問題。短期間で修正するのは難しそうです。アーセナルは、EL出場権止まりで終わってしまうのでしょうか。


(アンドレ・ヴィラス・ボアス監督/著作者:Vladimir Maiorov アーセン・ヴェンゲル監督/著作者:Paul Blank)

36分にシグルスソンのスルーパスをベイル、38分にはスコット・パーカーのスルーパスをレノンに通され、いずれも完全にフリーになり、GKとの1対1をあっさり決められています。1点めについては、メルテザッカーは敵の侵入をみて下がり、ヴェルマーレンは逆に前に出てシグルスソンのパスのインターセプトを狙いつつ、オフサイドを取りにいきました。CBふたりの意思疎通ができず、真逆の対応をしてしまえば、裏を取られるのは必至です。パスが出た瞬間、ヴェルマーレンはスライディングしながら手を上げてオフサイドを主張したのですが、これに対していちばん異をとなえたかったのはメルテザッカーかもしれませんね。「聞いてないよ」と。

その2分後、2点めを奪われるわけですが、左サイドからパーカーが中央に斜めのグラウンダーを出し、右サイドから斜めに走り込んだレノンが裏に抜ける、というプレイであっという間にどフリー。マーカーのモンレアルはレノンに対応できず、ヴェルマーレンはレノンが視野に入らず。これはショックだったでしょうね。たったふたりの攻撃に、DFラインを完璧に崩されたのですから。ゴールが決まった後、腰に手をやり沈むCBふたりの表情が、その落胆ぶりを物語っていました。斜めに走ることでDFの対応を難しくし、ヴェルマーレンの裏を取るこの攻撃は、アーセナル対策としてかなり練習してますね、間違いなく。この試合のMVPは、アンドレ・ヴィラス・ボアス監督でしょう。

後半、メルテザッカーが1点返しましたが、攻撃的な選手交代も、さほどゲームを支配することができず。2-1の結果は妥当でしょう。試合後、アーセン・ヴェンゲル監督は「我々の頑張りを考えると、この結果を受け入れるのは難しい。自分たち自身で試合を難しくしてしまった。相手は枠内シュートが全然なかったのに、2点ビハインドで折り返したんだ」と語りましたが、明らかな作戦負けであることを認識しているのでしょうか。コンセプチュアルでシンプル、明瞭なヴェンゲル・サッカーは、選手の受けはいいのですが、対戦相手の戦力や戦術に合わせた個別チューニングが足りないのではないかと以前から思っていました。モウリーニョの分析力と執念を目の当たりにして学んだヴィラス・ボアスには、相手の嫌なところを執拗に突こうとする意志が感じられます。ことこのゲームに関しては「差は将にあり」だったのではないでしょうか。トッテナムに7差、チェルシーに5差。追いつくには敵のエラーを待つしかない状況ですが、それ以前にこれから勝ち続けられるのか…。ここ数年、前半戦のビハインドを後半の追い込みでひっくり返してきたアーセナルですが、今までになかったピンチを迎えています。

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“【Tottenham×Arsenal】 今までとは違う2失点。狙われたCBの裏” への2件のフィードバック

  1. ピント より:

    裏を取られたDF陣の対応より中盤のボールホルダーに対するチェックの甘さが問題じゃないですかね。
    どちらの失点も誰も潰しに行かずフリーでドリブルされラストパスを出されてます。
    あれではベイルやレノンのようなスピードスターに裏を狙われればDF陣はひとたまりもないでしょう。
    アーセナルの中盤は技術の高い選手が多いですが守備を締める選手がいません。
    かつてのシウバやフラミニのような選手がいればそれだけでも随分変わるでしょうね。

  2. makoto より:

    ピントさん>コメントありがとうございます。確かにそうなのですが、2本とも「ボールを奪われた直後」なんですよね。ボールを奪われた直後にチェックできてない時間が発生することはどのチームも多少なりともあることなのですが、そのたびにあんなにキレイに裏を抜かれはしないですよね。アーセナルには、「全体的に守備のチェックが他クラブより緩く、いわゆるダイアゴナルの動きやボール(=これがあるとマーク受け渡しやカバーリングが必要となる)にてきめんに弱い」「ヴェルマーレンがカバーリングの意識が高くない」というこのチームならではの要因があるように思います。

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