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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【QPR×Arsenal】 開始22秒のゴールは苦戦を告げるゴング。アーセナル、何とか勝ち点3

先週のマンチェスター・ユナイテッド戦のリプレイを観ているかのような先制点でした。スルーパスを出したのが、ロシツキからアルテタに変わっただけ。抜け出したのは同じウォルコット。シュートを打った位置も、弾道も、GKの手を弾いたことも、ゴールインした角度もすべて一緒。先週は2分でしたが、今日は開始わずか22秒!アーセナルの先制点は、大量得点を予感させる見事なコンビネーションから生まれたものでした。しかし実際は、追加タイムを含む90分以上の時間を、サポーターはハラハラ、アーセン・ヴェンゲル監督はイライラしながら過ごすことになります。アーセナルが悪かったというより、思いのほか最下位チームががんばった、というほうが妥当でしょう。

GKジュリオ・セーザル。DFトラオレ、ボシングワ、ファビオ・ダ・シルヴァ。MFパク・チソン、ショーン・ライト・フィリップス、ジャーメイン・ジェナス。FWロイク・レミー。これだけの選手がいて、なぜ最下位なのか不思議でもあり、これだけの人数が全員、期待を裏切るかケガで沈黙するかの二者択一を強いられたというのもすごい話ではあります。サッカーはカードゲームのようにはいかない、という真理を証明するかのように沈んだ今季のQPRでしたが、しかしアーセナル戦は、主力としてもっと活躍するはずだった選手が意地を見せました。特に、パク・チソンとロイク・レミー。FWボビー・ザモラを交えた中央からのショートパス攻撃が、アーセナル守備陣を苦しめました。28分にパク・チソンがペナルティエリア内で右に抜けて放ったシュートと、83分にペナルティエリア左隅、右45度のいわゆる”デル・ピエロゾーン”からレミーが放ったシュートはまさに1点もの。それぞれ、DFの速い寄せとGKシュチェスニーのビッグセーブが最悪の事態を回避しましたが、今季の不遇への怒りをぶつけるかのような迫力のあるプレイでした。

アーセナルの苦戦理由は「気合が入りすぎたこと」だと思います。前線のロシツキやカソルラは、その気合ゆえに前からプレスをかけようと執拗に走りますが、最終ラインのコシルニーとメルテザッカーは、セーフティに守ろうとします。前線と最終ラインの思惑の違いが中央に広大なスペースを作ってしまい、ここをアルテタとラムジーだけでは埋めることができなかったのです。QPRの前線はテクニックがある選手が多く、いい中央突破を仕掛けてましたが、ゴール前でのボール処理のスピードが今ひとつでした。もうひとつダイレクトプレーを効果的に使えれば、アーセナルを崩せたかもしれません。逆に、アーセナルの最終ラインは、飛び込みたくなるところを我慢してシュートコースをつぶし、後半はコシルニーがパスコースを読んで再三いいインターセプトを見せるなど、冷静でよく守ったと思います。たびたび縦への突破を許したナチョ・モンレアル以外は合格点だったのではないでしょうか。

苦戦の前半をリードで終え、後半はウォルコットやカソルラのいいシュートがあり、追加点の匂いがし始めたアーセナルでしたが、攻めか守るかのイーブンな二択なら基本的には攻めを志向するアーセン・ヴェンゲル監督は、珍しく「守り優先」「現実主義」の采配をしました。いつもなら早い時間で代えたくなるポドルスキを85分まで引っ張り、運動量が多かったロシツキより調子が今ひとつだったカソルラを先に代え、終了1分前からウィルシャー、ヴェルマーレンを投入して守るというメッセージを明確にします。これは、トップの意志が伝わり、戦術が徹底される非常にいい采配だったと思います。

かくして、苦戦はしながらも、最近好調な守備陣の奮闘でクリーンシート。本日のマンチェスター・ユナイテッドVSチェルシー、水曜日のチェルシーVSトッテナムの結果次第では、自力3位がめざせるところまできました。

アーセナルは、大変な時期に変に動かず、無理をしなかったことが現在の好調につながっているように感じられます。トレーナーとしてもさることながら、マネージャー・管理者として優秀なヴェンゲル監督らしい最後の追い込み。老婆心ながら、この方を失うのはクラブとしてとても大きな損失ですので、「タイトルが獲れない=解任」という短絡に走らないほうがよいと思います。タイトルを獲れるほどの補強をせず、CL出場権を諦めたのかと疑うくらいの選手放出を繰り返してきたにも関わらず、この16年、リーグでトップ4に入り続けているのですから。

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