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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Chelsea×Arsenal】 修正できなかった弱点

珍しく、試合延期の話が出るくらい雪のふるロンドン。直前のゲームで修正すべき課題を抱え、決して万全とはいえない状態でこの試合に臨む両者。とりわけアーセナルは、アルテタが抜けた穴が埋まっていません。中盤で全体を見ながらうまく球を散らし、ペースに緩急をつけてチームを落ち着かせるアルテタのプレイは、チームのサスペンションであり、ここがいなくなるとこのチームは一本調子になります。プレイもさることながら、苦しいときにチームを鼓舞する役割は、彼とヴェルマーレンに委ねられています。そして、劣勢に立った時の打開策の少なさ。交代選手が効果的な働きをして試合をひっくり返す、ということが今季はほとんどといっていいほどありません。

一方、チェルシーは、ベニテス暫定監督の就任後、より攻撃的なサッカーを志向しています。前線から強いプレッシャーをかけ、豊富な運動量で相手を囲い込んでボールを奪取すると、マタが前線に配球し、アザール、オスカルが仕掛けて点を獲りにいくチェルシーのサッカーは、スピーディで効率的。観てて惚れ惚れします。彼らの課題は、ガソリン切れでこのスタイルが90分続かないこと、そして、モーゼス、ミケルをアフリカネーションズカップ2013に取られている今、アーセナル同様に中盤の選手層が薄いことです。MFができる控え選手はバートランドとマルコ・マリンしかおらず、選手交代で状況を動かそうとしても、できることは限られます。

さて、先の試合で、前半に2点のアドバンテージをとったチェルシーと、前半の混乱で2点のビハインドを背負ったアーセナルでしたが、昨日もまったく同じ結果でハーフタイムを迎えました。チェルシー、2-0。4分にウォルコットの完璧なスルーパスをジルーが外したのがアーセナルのケチのつき始め。その1分後には、中盤でコクランが奪われたボールをすぐに前線につながれ、ガラ空きの右サイドにいたマタに長いクロス。サニャが慌てて戻ったものの、芸術的なトラップからニアサイドを抜かれ、先制点を許します。

今までのアーセナルは「パスはまわすが1対1の勝負をしない」という印象でしたが、この日は真逆!無理なドリブルでつっかけたところを奪われて、逆襲を食らうシーンが頻発していました。ウォルコット、コクラン、カソルラ、ウィルシャー、ディアビと中盤全員、「ドリブル大好き」であったことに加え、チェルシーの寄せが早く、パスコースを見つけられなかったこともあるでしょう。また、右サイドのディフェンスが完全に崩壊していました。これはひとえに、サニャのモチベーションの低さによるものではないでしょうか。彼は守りもさることながら、オーバーラップして上げたクロスの質が悪く、1回も味方を競らせることすらできませんでした。来季の契約云々が理由なのか、明らかに見てとれるぐらい、やる気が感じられません。アーセナルの右は、ウォルコットの守備力もあまり高いとはいえず、ディアビやメルテザッカーのカバーリングも遅いので、当然のように狙われます。

2点めも、1点め同様、空いた右に出た絶望的なラストパスからの失点。ラミレスがゴール前でフリーになり、彼をシュチェスニーが倒したとしてPK。ランパードが悠々と決め、大量点を返せるようなチーム状態ではないアーセナルにとって、これは致命傷。ハーフタイムでいくつか修正し、後半は巻き返しましたが、前節同様、中盤の混乱を修正するのに45分もの時間を必要としたのです。「1点めはラミレスのコクランへのアフターチャージを採ってもらえなかった」「2点めはラミレスがGKに引っかかりにいった」という抗議もしたくなる、微妙なプレイが絡んだゴールシーンでしたが、全体的にはこの2点差は妥当なところでしょう。

さて、後半ですが、サウサンプトン戦同様、チェルシーがペースダウンし、前半とは全く別な試合になります。
前半、オフサイドを採られまくっていたウォルコットがようやく裏に抜け、1点返しましたが、結局そこまで。チェルシーは、オスカル、アザール、トーレスを代え、バートランド、マルコ・マリン、デンバ・バへ。アーセナルはラムジー、アルシャヴィンを投入。チェルシーはその選手層ゆえ、これしかない、というカードの切り方だったのですが、キープ力のあるデンバ・バが前線の守備として機能した以外は、あまり大きな効果はなかったように思います。そしてアーセナルは完全に不発。ラムジーはコクランのケガによる交代で、実質、勝負カードはアルシャヴィンのみでしたが、彼を使った有効な崩しはありませんでした。終了直前、コーナーキックに次ぐコーナーキックで必死にゴールに迫ったシーンは見ごたえありましたが。

かくして、修正すべき課題はこれといって改善せず。前回、風向きが変わっても、追いつかれるまで選手交代をしなかったベニテスが積極的に動いた、というぐらいでしょうか。両者とも、劣勢に立ったときどうテコ入れするのか、巻き返しのオプションを用意しないと、下位から寝首をかかれるようなことになりかねません。アーセナルは、ウエストハムとの延期試合をはさんで次節はリヴァプール。ふんばりどころです。

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