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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Arsenal×Saints】これを勝てるから今季は強い!首位攻防戦は、老練ヴェンゲル監督の貫録勝ち。

リヴァプールはグディソン・パークでの花火大会のような打ち合いを見た後だったので、ロンドンのプレミアリーグ首位攻防戦のシブさがさらに引き立つこととなりました。首位アーセナルと3位サウサンプトンの対戦は、このゲームの前までの失点の少なさでは立場が逆となり、トップがサウサンプトンで、チェルシー、リヴァプールと並ぶ3位がアーセナルです。守備が安定しているチーム同士の対決ゆえ、ゴールがなかなか入らない神経戦になるだろうと予想しておりましたが、先制点は、あまりにもあっけないものでした。

前半開始から、ペースを握っていたのはセインツのほうだったと思います。アーセナルボールになった瞬間のプレスが速く、中盤のワニヤマ、シュナイデルランが効いており、アーセナルはいつものようなボールポゼッションをとれません。それでも、決定機の数はガナーズに軍配が上がります。11分、右サイドをドリブルで斬り込んだウィルシャーがチップキックの(おそらく)シュートを左ポストに当て、18分には右からエジルが出した柔らかいグラウンダーにラムジーがヒールキックで合わせると、これもまた左ポストを直撃。単発ではあり右サイド偏重ながら、エジルにボールが集まるとDFラインの裏に攻撃的なパスが再三出され、ガナーズの仕掛けが活性化します。

しかしそれでも徐々に、セインツがゲームを掌握し始めていたのですが、事件は22分に起こります。この試合の趨勢を決めてしまったのは、以前にストークGKベコヴィッチにゴールキックを直接決められてしまった「セインツディフェンスの最大の弱点」、GKボルツの痛恨のミスでした。バックパスがGKに出ると、ジルーがチェイシングをかけますが、最初は彼も「ゴールキックのコースを限定させるお約束のプレイ」を忠実にしていただけでしょう。しかし、出しどころに迷ったボルツがトラップしてボールをこね出すと、ジルーがギアチェンジしてこれをカットしようとします。ボルツがセーフティに外に蹴り出せば、このシーンは終わりだったのですが、何回も切り返しを入れているうちにジルーが奪取に成功。後は無人のゴールに流し込むだけです。セインツ、痛恨の失点!アーセナルは優位に立ち、落ち着いて守ってサイドから着実に攻める「大人のサッカー」を徹底します。

セインツのチャンスは、アルテタのクリアミスをさらったララナのミドルと、途中出場のオズバルドの左足シュートぐらいで、メルテザッカー、コシールニーを中心としたアーセナルの守備は盤石。とりわけ、サニャの鋭いヨミからのインターセプトがさえていました。この試合の2大トピックスは、先制点の後、ボルツにボールが出るたびに囃し立てていた執拗なグーナーのプレッシャーと、70分にカソルラの代わりに入った久しぶりのウォルコットです。まだトップフォームにはほど遠く、チャンスを創ることはできませんでしたが、彼の復帰でアーセナルの攻撃のオプションは増え、次戦以降、戦い方がラクになるでしょう。

73分にアルテタが負傷するというアクシデントはありましたが、ロシツキが入ると却ってアーセナルの攻撃が活性化され、いよいよセインツは追いつめられます。80分を過ぎると、野球でいえば「クローザー」、もはや定番と化したモンレアルの左MF投入で、ギブスとの二段重ね弁当となったアーセナルの左サイドは破られる気配すらありません。焦るセインツにとどめをさしたのは、またもや味方でした。86分、ロシツキのCKにヘッドで対応しようとしたメルテザッカーを引っ張ったDFフォンテが、ダメ押しとなるPKのジャッジとイエローカードをもらってしまい、ジルーがこれを簡単に沈め、2-0。「ユニフォームを引っ張るくらいでPKとは」という声もあろうかとは思いますが、数秒間に渡ってあれだけ開けっぴろげにユニフォームが歪めば、レフェリーも吹くしかなくなってしまいます。かくしてセインツは一度としてDFラインを完全に崩されるシーンのないまま、自滅によって3位のポジションを手放すこととなりました。

「後半も0-0だったらわからなかった」のかもしれませんが、その場合はもっと早くロシツキがピッチに現れ、試合を決めてくれていたでしょう。彼が入るだけで、アーセナルの攻撃には迫力が出ます。セインツには敵地エミレーツでアーセナルを倒す地力はまだ付いていない、というのが妥当な評価ではないでしょうか。これで2位以下に4勝ち点差としたアーセナルは、マンチェスター・シティ、チェルシーと続く年末の難敵対決の前に、カーディフとハル・シティから勝ち点を稼ぎつつ主力のコンディション調整ができればいいですね。この勢いは、どこまで続くのでしょうか。いよいよ「年内首位」が現実的になってきました。

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“【Arsenal×Saints】これを勝てるから今季は強い!首位攻防戦は、老練ヴェンゲル監督の貫録勝ち。” への3件のフィードバック

  1. ウィルシェア より:

    MVP ボルツ

  2. makoto より:

    そうですね。ちなみに昨日のマンチェスター・シティは「MVP 2得点のロリス」でした。

  3. What a neat article. I had no inkling.

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