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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Tottenham×MAN.UTD】香川、ルーニーを封じて勝てたはずのトッテナム、自らのミスで痛いドロー

プレミアリーグ前節でマンチェスター・シティに6-0の大敗を喫したトッテナム。ミッドウィークのヨーロッパリーグ、トロムセ戦に勝ってショックは和らいだものの、ここで無惨に負けようものなら先の見えないトンネルに入ってしまうことも考えられます。対するマンチェスター・ユナイテッドも、先週のカーディフ戦では終了直前に追いつかれ、連勝ストップ。チャンピオンズリーグで香川真司、ルーニーの活躍でレヴァークーゼンに0-5と圧勝した余勢をかって、ここはぜひとも勝ち点3を獲得して、背中が遠くに見えるアーセナルを追走したいところです。この日の布陣は、ルーニーのワントップで香川真司がトップ下。左右にウェルベックとバレンシアです。香川とルーニーの連携が楽しみですが、センターMFのクレヴァリー、フィル・ジョーンズ含め、左右と後ろにいい配球ができる選手がいないのが気がかりです。

試合開始から、トッテナムは気合いたっぷりです。負けられないゲームであるという危機感が、出足の早さと当たりの強さににじみ出ています。10分過ぎまでは完全なるトッテナムペース。レノンとシャドリの両サイドがSBエヴラ、スモーリングを翻弄。マンチェスター・ユナイテッドは香川やルーニーにいいボールが入りません。14分に、最近不安定なトッテナムDFが自陣深いところでルーニーにボールを奪われるミスがあり、バレンシアのセンタリングから波状攻撃を仕掛けますが、ここはホームチームが必死のブロック。この後のマンチェスター・ユナイテッドは、再びトッテナムの運動量とフォアチェックに悩まされることになります。

すると、18分に先制したのはトッテナム。ゴール左に持ち込んだパウリーニョをジョニー・エヴァンスがひっかけ、FKを献上。これを直接叩き込んだのはカイル・ウォーカーです。壁がジャンプした足元を強シュートで抜かれては、いくら横のボールに強いデ・ヘアでもノーチャンスです。25分にもトッテナムがカウンター。パウリーニョが左サイドからドリブルで上がり、右のソルダードへスルーパスを通しますが、シュートは角度がきつすぎたために枠を捉えず。追加点こそ入らないものの、マンチェスター・ユナイテッドが追いつくイメージが全くありません。

押していたトッテナムが先に2点めを奪えば、ゲームは違う結果になっていたでしょう。しかし、31分にトッテナムに痛恨のミスが出てしまいました。バレンシアのクロスがゴール前を横切り、不発に終わろうとしていたところを、先制点を挙げたカイル・ウォーカーが意図もなく右足に当て、中央に折り返してしまいます。これに反応したのがウエイン・ルーニー。いっぱいに伸ばした右足で放ったシュートはGKロリスの左手の先を越え、同点。マンチェスター・ユナイテッドは相手のミスに救われ、ギリギリのところで息を吹き返します。

トッテナムはレノンが絶好調。縦への突破でエヴラの攻め上がりを完全に止め、縦をケアすると斜めにゴール前に斬り込んできます。左サイドを失ったマン・ユナイテッドは、香川真司もデンベレに完全に抑えられ、右のバレンシアのドリブルにしか活路を見出せません。バレンシアの難点は、パスのアイデアが貧弱なこと。37分のシーンが象徴的でしたが、バレンシアが右サイドでフェルトンゲンをかわした瞬間、香川真司がDFの裏に抜け出たのを彼は感じられず、結局、チョイスは平凡なマイナスのグラウンダー。エジルやダヴィド・シルヴァなら間違いなく出していたでしょう。スコールズが引退し、フレッチャーの体は戻らず、残ったギグスの出場時間が減り、さらにキャリックがケガで休むと、マンチェスター・ユナイテッドにはタイミングのいいパスを出せる選手が全くいなくなります。この日、ルーニーも香川真司も、後半入ったチチャリートも消えてしまったのは、アイデアに乏しいセンターMFとサイドアタッカーが、凡庸なパスしか出せなかったからでしょう。

後半、モイーズ監督はマークが厳しい香川真司を左サイドにコンバートし、ウェルベックにルーニーとのコンビを組ませますが、劣勢は変わらず。勝ち越し点はトッテナムでした。53分のサンドロの一発は、今季プレミアリーグで5本の指に入るスーパーゴール。ドリブルで2人をかわし、ペナルティエリア左外から打ったブレ球は、右に流れながらゴール直前で急激に内側に進路を変え、全く動けないデ・ヘアを尻目にサイドネットに突き刺さります。これでトッテナムが勢いにのるかと思われましたが、その2分後、カウンターから縦パスに抜け出したウェルベックをロリスが右手で倒してしまい、ルーニーがPKをど真ん中に決めて2-2。この後は、ホームチームはFK以外にチャンスを創れず、マン・ユナイテッドは終始サイドを封じられ、スコアは動かず。勝者にふさわしかったのは間違いなくトッテナムでしたが、彼らは2度のリードをその都度自らのミスで帳消しにしてしまい、勝ち点1を分ける結果となりました。

リヴァプールを除いてプレミアリーグ上位がすべて勝ったので、この結果は「両者痛み分け」ですね。マンチェスター・ユナイテッドは、これで11試合負けなしですが、プレミアリーグで2試合続けて2点を失っているので、守備の改善が必要です。トッテナムは、好調レノンとタウンゼントをどう使うのか、ソルダードと誰の連携を高めるのか、抜かれる場面が多いドーソンの是非をはじめ、DFラインをどう固めるのか、などなど課題が山積しています。今週はミッドウィークにもゲームがあるため、コンディション優先で選手を使わざるをえませんが、今後巻き返すのか、落ちていくのか、ヴィラス・ボアス監督もモイーズ監督もここが正念場です。(アーロン・レノン 写真著作者/James Boyes)

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“【Tottenham×MAN.UTD】香川、ルーニーを封じて勝てたはずのトッテナム、自らのミスで痛いドロー” への3件のフィードバック

  1. スパーズ推し より:

    モイとボアス
    どっちが先にクビを切られるか、地味に楽しみにしてるんですがww

    痛み分けに終わりましたね

    スパーズは勝てた試合だったと思います
    ウォーカーは素晴らしいFKの後に凡庸なミス(^^;
    ロリスのあれは、致し方なかったかな、と
    とりあえず、デヘアのこの2失点はかなり可哀想ですww

    スパーズはやはりディフェンスが課題
    トップ下にはそのうちエリクセンが帰ってきてくれるとして、
    ディフェンスは重要な補強ポイントの一つだと思います
    フェルトンゲンは頑張っていましたが、彼をCBで使いたいのも事実
    となると、補強かレンタルバックか……

    後半しか見ていないのですが、ユナイテッドはルーニーが心臓ですね
    彼が絡まないと得点の匂いを大して感じないのは僕だけではないはずです

    付け加えるなら、スパーズ同様、守備もお粗末なものであったように感じます
    何処かで改善しなければ、累積でスタメンが出場停止
    あるいは大事な試合途中で人数が減るという事態は
    今日を見る限り、容易に想像されました

    去年、同じような試合では、確かスパーズが勝利しています
    日本人なら忘れない、香川のゴールの試合
    あの試合でスパーズが勝ち、今日は分けた
    香川のゴールばかりがフォーカスされましたが、あの時のベイル無双もまた凄まじいものでした
    今日と比較して、やはり彼の存在がいかに大きなものだったかを改めて感じた次第です(^^;;

    マンチェスターの2チームに6失点から、互角の引き分けなら、よしとするしかないですかね^_^;

    総括:負けなくてよかった(笑)

    長駄文失礼しました

  2. makoto より:

    スパーズ推しさん>
    あまり話題になりませんが、マンチェスター・ユナイテッドも、実はケガ人多くてやりくりに苦労しているんです。両SBは守備が不安で、センターMFは攻撃のビルドアップができません。攻撃力のあるセンターMFがいれば、フィル・ジョーンズを最終ラインに下げられるのですが。

  3. makoto より:

    どこのチームもけが人はいるから
    けが人を言い訳にはできない
    攻撃の可能性がルーニーだけで
    これからが心配…

    —–
    通りすがりさん>
    心配ですね。香川とヤヌザイがもう一段機能することと、キャリックの復帰しか、考えられるプラスがありません。フレッチャーも読めないし、移籍は水ものですからね。

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