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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Fulham×Tottenham】チームを絶望の淵から救った、新加入CBキリケシュのスーパーボレー!

プレミアリーグでは4試合勝利がないトッテナムと、3勝1分け9敗の18位と下位に沈み、マルティン・ヨル前監督を解任したばかりのフラムの対戦。トッテナムのゴール欠乏症は深刻で、最近はセットプレイかカウンターにしか活路を見出せず、ポゼッションを前提とした連動性が高いサッカーをめざしていたはずのアンドレ・ヴィラス・ボアス監督の理想からはどんどん離れていっている感があります。この日も試行錯誤を感じさせるメンバー構成で、カプエとラメラがスタメン、トップのソルダードを外してデフォー。中盤センターはパウリーニョとサンドロ、好調レノンが右サイドという布陣です。今まで我慢して使ってきたソルダードはいよいよベンチです。それなりに計算できそうなタウンゼントやシグルズソンを温存したのは、厳しいプレミアリーグの年末スケジュールを見越してのことでしょうか。

北と西が争うロンドンダービーは、前半0-0。デフォーが決定機を外し、相変わらずゴールが遠いトッテナム。後半頭から、さっそくカプエをホルトビーにチェンジするなど、これといったいい組み合わせが見つからず、苦しいやりくりが続きます。しかも後半、先制したのはフラムです。57分、ドーソンの気の抜けたパスがカットされると、左サイドのベルバトフにボールが出ます。ヨル監督解任とタイミングを同じくして「フラムを出たがっている」と報じられたベルバトフですが、ピッチの上ではトラップの柔らかさと判断の早さ、正確なキックは健在。この日も前半から、何度かGKロリスをあわてさせるうまいシュートを放っておりましたが、ここでもホームのサポーターに最高のロングパスを披露します。右サイドをひとり走るデヤガの足元にピタリと合わせる完璧なボールが出ると、デヤガはそれに応えるように絶妙のトラップで一気にペナルティエリアに侵入し、ロリスの足元を抜くシュートが決まります。

アウェイとはいえ、降格ゾーンにいるチームに敗れて5試合勝利なしとなれば、モイーズ監督がおつき合いしてくれて監督解任のゴシップを引き受けてくれたとしても、ヴィラス・ボアス監督への非難はかわし難いものになるでしょう。もう後がありませんが、打つ手もさほどありません。サンドロをシャドリをに代えて攻めのポイントを増やしますが、残り時間はいよいよ20分しかありません。

サッカーでは、一発のシュートが世界を変えてしまうことがときどきあります。下位の抵抗にあえぐトッテナムを救ったのは、CBヴラド・キリケシュ。73分、CKのクリアボールがペナルティエリアの外に上がると、彼は迷うことなく左足のボレーでミドルシュート。決して強いキックではなく、上にふかさないようにコンパクトに叩いたシュートでしたが、ボールは左ポストに向かってきれいな弾道を描き、ポストの内側に当たってゴールイン。ステケレンブルクが一歩も動けなかったスーパーゴールで、同点です!トッテナムはこの一発で、ようやく息を吹き返しました。

78分、ヴィラス・ボアス監督は、その爆発力に賭けてタウンゼントを投入。勝ち点3をめざす姿勢を鮮明にします。思いが実ったのは4分後でした。右サイドからカイル・ウォーカーが仕掛けてホルトビーに落とすと、ホルトビーはレノンとポジションをスイッチしながら中央へ持ち込み、ゴール右上に左足のミドルシュート。46分に交代で入ったドイツ人が、ここにきてやっと彼らしい思い切りのよさを見せて、チームをプレミアリーグでは5試合ぶりの勝利へと導きました。

ドーソンの集中力を欠いたプレイ、チャンスに詰めが甘いCF、連動性のない中盤など課題は残りますが、そういう状況のなかでも苦しい試合で勝ち点3を取れるかどうかが重要です。同じようにポストをめがけて飛んだシュートがオールド・トラフォードでもありましたが、マンチェスター・ユナイテッドのルーニーのシュートはピッチのなかへ跳ね返り、キリケシュのそれはゴールにおさまりました。たった10センチの違いですが、しかしそれが勝負の分かれ目です。

ピンチをしのいだトッテナムは、この後、リヴァプール、サウサンプトンと難敵が続きます。いや、その前に、週末のサンダーランドとのアウェイ戦がやっかいですね。彼らは昨日、チェルシーから3点獲ってます。プレミアリーグからの降格を回避すべく、死にもの狂いで向かってくる手負いの最下位チームをどうさばくのか。4位リヴァプールとの差は勝利ひとつ分しかありません。ここをしのげば、ヴィラス・ボアス監督とトッテナムにも光が差してきますが、果たして…。(写真著作者/Ralf Roletschek)

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