イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Sunderland×New Castle】熱狂のスーパーゴール!ダービーの大歓声に泣いていたデフォー!

何しろ16世紀からの確執、ピューリタン革命時には武器をとって戦った間柄です。ウェア川河口のサンダーランドVSニューカッスル・アポン・タイン。ホームのサンダーランドは降格ゾーンに足が触っている状態の17位、ニューカッスルはTOP10にも降格ゾーンにも縁がなさそうな13位。記録だけ見れば、勝利への渇望が強いのはプレミアリーグに残りたい赤白のほうに見えますが、この試合に限ってはそんなことは関係ないでしょう。スタジアム・オブ・ライトで行われるタインウェアダービーは、試合開始前から凄い歓声。ノースロンドンやマージーサイドに負けず劣らず、両クラブのサポーターのテンションは上がり切っています。

年が明けてからわずか1勝。2月以降は勝ち星がないサンダーランドは、ポジェ監督のクビが飛び、3月17日に67歳のアドフォカート監督がやってきました。オランダやセルビアなどの代表をはじめ、数々のチームを率いた経験豊富な新監督は、降格候補をプレミアリーグに残すことができるのでしょうか。昨季の急成長株コナー・ウィッカム、元イングランド代表のジャーメイン・デフォー、スコットランド代表のスティーヴン・フレッチャーという強力なFWを抱えながら、3人で10ゴールも挙げられていないという数字に、今季の彼らの窮状が見てとれます。

試合開始から押しているのはサンダーランド。攻撃のキーマンは、正確なクロスをゴール前にフィードするセバスティアン・ラーションです。アウェイのニューカッスルは、全体的に低い陣形。ムサ・シソコや、前節のアーセナル戦でモンレアルを苦しめたカベラのサイドアタックに活路を見出そうとします。ダービーのテンションだからか、互いのボディコンタクトの強さが目を引きます。前半30分までは、両者のチャンスの多くがセットプレー。ラーションが放り込む質の高いボールに、ウィッカムやフレッチャーがしばしば空中を制するものの、シュートはGKクルルを脅かすに至りません。

サンダーランドの攻撃は前の3人に連携がなく、ただ張っているだけなので、ニューカッスルは守りやすいでしょう。直近のプレミアリーグ6試合でわずか1ゴールというのもうなずけます。ホームチーム最初の決定機は、37分にデフォーが抜け出したシーンでしたが、フィニッシュ手前のドリブルが大きくなってコルバックにクリアされます。これといったクライマックスもなく、スタンドだけが盛り上がって0-0のまま終わろうとしていた前半終了間際。昨日、クルトワ相手に60メートルのロングシュートを決めたストークのチャーリー・アダムに勝るとも劣らない素晴らしいゴールが決まりました。

GKパンティリモンの長いFK。競りにいったスティ-ブン・フレッチャーが勝ったものの、チャンスにはなりそうにない高く浮いたルーズボール。しかし…落下点で左足を振り抜き、ゴール右上に決めたのはジャーメイン・デフォー!これは、凄い弾道でした。信じられないスーパーゴールを決めたストライカーを、チーム全員が折り重なって祝福します。地鳴りのような大歓声、勝利が決まったかのようなベンチ。ハーフタイムの笛が鳴り、引き上げてくるデフォーは泣いています。サンダーランドのストライカーのゴールは、スウォンジー戦でデフォー自身が決めた一発以来、2ヵ月ぶり。リードを奪ったのもこの試合以来となるホームチームのサポーターは、後半に入るとさらにギアを上げてチームを盛り立てます。

ニューカッスルがより前に出るようになったセカンドハーフは、力と力のぶつかり合い。「いいサッカー」という形容ができるシーンはないものの、攻守がめまぐるしく変わり、激しいチャージが目立つスピーディーな試合です。チャンスが多かったのは、サンダーランド。68分、左サイドに流れたデフォーがファン・アーンホルトを浮き球で縦に走らせ、ボレーを打たせたシーンは追加点かと思わず腰が浮きました。70分、右からDFをかわしたウィッカムの一撃はクロスバーの上。74分のラーションの美しいFKはポストすれすれ。アウェイ仕様のニューカッスルの反撃には迫力がなく、77分にアメオビの落としから放ったカベラのボレーもパンティリモンにセーブされます。79分、アダム・ジョンソンと代わってピッチを去るデフォーの背中に、大きな歓声と拍手が贈られます。

83分、ファン・アーンホルトの左からのグラウンダーを至近距離から狙ったラーションのシュートはウィリアムソンがブロック。ひたすらゴールに向かうサンダーランドの集中力は落ちません。87分にアヨゼ・ペレスがCKをボレーで合わせたのが、アウェイチーム最後のチャンスでした。バーの上を越えていくボールをパンティリモンが見送ると、5分の追加タイムに枠にいったシュートはなく、サンダーランドがアドフォカート監督就任後、初の勝ち点3を手に入れました。長かったトンネル。最後の勝利は1月末でした。

決してレベルが高いとはいえず、雑なプレイも多く、ツッコミを入れようと思えばどこからでも入る大味な試合。それでもおもしろかったのは、ボールの動きが早いスリリングな展開と、テレビ画面越しでも伝わってくるような両者の必死さ、そしてプレミアリーグのダービーらしい最高のスタジアムの雰囲気があったからでしょう。やっぱりいいですね、タインウェアダービー。ロンドンやマージーサイドのこなれた感じとは違う、ざらざらした生の熱狂があります。デフォー、エクセレント!来季は、できれば現地で。

おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


コメントを残す