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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

シンガポールでプレミアリーグ観戦 (2)バークレイズアジアトロフィー決勝 アーセナルVSエヴァートン

グーナーである本ブログ特派員が世界を駆け巡る「プレミアリーグ現地観戦記」、シンガポールで開催されている「バークレイズアジアトロフィー」のレポート第2弾です。プレミアリーグから3チームと、地元シンガポールのセレクトイレブンが参加している大会の初戦は、アーセナルがシンガポールに快勝し、エヴァートンがストークにPK戦勝利。今回は、2015年7月18日に行われたアーセナルVSエヴァートンの観戦記になります。ではどうぞ!

いよいよ決勝戦ですが、その前に、前回触れられなかったSingapore Sports Hubについて簡単にご紹介しておきしょう。場所は市内中心部からやや東、屋上のプールが超有名なホテル、「マリーナベイ・サンズ」の目の前の地下鉄(MRT)駅からなら、乗換1回3駅で最寄りのCC線Stadium駅という好立地。チャンギ国際空港から直行しても、乗換1回8駅で着くEW線Kallang駅から屋根付き通路を徒歩10分と、全部で40~50分程度でしょうか。公開練習日にはキャリーケースを引いたガチガチのストークファンがいましたが、おそらく空港から直行でやって来たのでしょう。

Singapore Sports Hubは、あの日本代表VSブラジル代表の親善試合が行われたスタジアムでもあります。サッカー・ラグビー・陸上、さらにクリケットのできるドーム型スタジアム(前回、「旧ナショナルスタジアム」とご紹介しましたが、正確にはこの部分は今も「ナショナルスタジアム」とも呼ばれているよう)のほか、水泳競技のできるプールや室内競技場などさまざまなスポーツに対応した施設が揃い、レジャー用のプールやバスケットコートで遊ぶ人たちもちらほら。河口に近いウォーターフロントの眺めも美しく、併設されているショッピングモールも巨大で、少々早く現地入りしても決して退屈することはないと思います。

 中でも筆者が気に入ったのは、ショッピングモール「Kallang wave」の2階にあるフードコート「Foodfare」。シンガポールの食事といえば、ホーカーズと呼ばれる屋台の集合体のようなフードコートがあちこちにあり、これが安くて美味しいと評判なわけですが、こちらのFoodfareはそのホーカーズのこぎれい版といった趣です。

ショッピングモール内の施設だけに清潔感は十分ながらお値段はあくまで良心的。しかもいわゆるホーカーズにあるような代表的な料理は一通り揃っている感じで、シンガポールらしさを楽しむ意味でも、Sports Hubに観戦に行くなら食事はぜひここをおすすめしたいと思います。

筆者がトライしたのは醇豆腐(ヨンドウフ)なるメニュー。店頭の棚に、豆腐や野菜に魚のすり身を挟んだ具が並んでいて、好きな具と麺を選ぶとあっさり塩味のスープでサッと煮て出してくれるという料理です。写真の内容は、具が6品とお米の麺で4ドル。日本円だと感覚的に380円といったところ。ね、安いでしょう?
さて、肝心のスタジアムの話ですが、屋根は開閉式の全天候型。ですがなぜか西側だけ壁がなく、雨が降ると濡れる作り。そのかわり反対側から見るとビジョンの向こうにマリーナベイ・サンズが見えたりします。ピッチは天然芝に人口繊維を混ぜたもので、「オールド・トラフォードにも使われているのと同じ」と書かれた記事も見かけましたが、昨年秋の日本代表戦前には、あまりに状態が悪いので人工芝導入の話もあるとの話も出ていました。今回は、見たところ人工芝ではないようでしたが、状態はよいとはいえないようで、このあたりはやはり気候の問題もあるのでしょう。気候といえば、日中30℃が当たり前のお国柄、スタジアム内は空調設備あり。それでも、18日の試合を2階席(実質は6階)で観戦した筆者は途中暑さでフラフラになりました。体力に自信のない方やお子さんには、1階席での観戦が無難かもしれません。
ピッチの周りには陸上のトラックがありますが、客席が可動式で、コーナーあたりはかなりピッチと客席との距離が近い印象。ただゴール裏はやはりかなり距離があり、サッカー専用スタジアムと同様の臨場感は期待できそうにありません。もう一つ気になったのは、芝からトラックに切り替わる部分の材質。トラック部分にシートをかぶせるような形で使用しているのだと思うのですが、ここがすべりやすいらしく、ピッチ内からボールを追ってきた選手が何度か足を取られるのを見ました。ケガの原因になりそうで、こういうのは改善していただきたいところですね。
客席に入る際には手荷物検査があってペットボトルなどは持ち込み禁止。飲みたい人は中で買ってねという仕組みです(ちなみに水とソフトドリンク類は2ドル。ビールも売られてます)。カメラは20mmを超えるレンズはNGとのことですが、そこまで厳しいチェックは入っていなかったように感じました。ほかにも写真の「鳴り物禁止」ルールなど、さまざまな決まりごとがあるのですが、中でも気になったのは「再入場禁止」というシステム。固定のポスターのようなところにでかでかと書かれていたので、あらゆるイベントに共通なのだと思いますが、今回のように2試合あるイベントで途中出入りができないというのはなかなか厳しいものがありました。

スタジアム紹介が長くなりましたが、ようやく試合の話です。アーセナルのスタメンは、いよいよお披露目のGKチェフ(発表と同時に大歓声!)から、DFにベジェリン、チェンバース、コシェルニー、ギブス、MFにカソルラ、ラムジー、ウォルコット、ウィルシャー、エジル、トップにジルー。コクランがいないのと、センターバックにチェンバースを入れた以外はバリッと1軍クラスのスタメンです。対するエヴァートンは、GKロブレス、DFにコールマン、ジャギエルカ、ストーンズ、ガーバット、MFにバリー、マッカーシー、デウロフェウ、ネイスミス、クレバリー、トップにコネ。あらあら、ルカクとGKがハワードがいない以外はこちらもほぼベスト、少なくともプレミアリーグ本戦でも十分ありそうな布陣で、プレシーズンとは思えない豪華なスタートとなりました。

客席の埋まり具合は水曜とは比較にならず、その多くが赤いシャツを身に付けたアーセナルファン。中には発表されたばかりのゴールドのアウェイシャツをさっそく着ている人もいて(これ、ファンが着るにはかなりオシャレっぽい!)、アーセナルシンガポール(公式ファンクラブ)が大型バナーを掲げたり、選手用のチャントを歌ったりと、シンガポールでのアーセナル人気を存分に感じさせる雰囲気でした。

 試合前半は全体にアーセナルのペース。目立ったのはウォルコットがポンポン抜け出してチャンスを作るシーンでした。パスの出元はウィルシャー、ギブス、カソルラといろいろでしたが、とくにカソルラからの見事な長いボールがウォルコットを走らせていたのが目立ちます。先制点も、そんなカソルラからのボールを、ウォルコットが落ち着いて決めた1点でした。

エヴァートンのほうは、水曜日にも光っていたデウロフェウがライン際を一人で持ちあがってシュートを狙ったり、ネイスミスと2人で右サイドから上がるのが気になったくらいで、メンバーの割には意外とラクな展開。ディフェンスも、ウォルコットのみならず裏への抜け出しを簡単に許しており、まだ調整中なのかな?という印象。かといって、アーセナルの左サイドではウィルシャーとエヴァートンのコールマンがぶつかり合ったりもみ合ったり、かなり熱くやりあっていたところをみると、決して緩いというわけでもなかったようです。唯一ヒヤッとしたのは40分、ガーバットのFKをネイスミスがヘッドで合わせたボールがチェフの指先をかすめてバーをたたき、それをコネが押し込んだシーン。どこかでオフサイドがあってノーゴールとなりましたが、ずっと押しているときに限って失点するというアーセナルの悪いクセの記憶がチラッと頭をよぎる瞬間でした。

とはいえ1-0で後半を迎えてからは、アーセナルにとってはわりと気持ちのいい展開。58分にはカソルラがゴール右から相手をかわして左足を振り抜き、ゴール!61分にはギブスを起点に、エジルとカソルラのワンツーから最後はエジルがきっちり決めて3点目。ほかにも、ベジェリンがハーフウェーラインから一人で持ちあがってシュートを打ったり、後半から入ったチェンバレンが中央に走り込んでシュートを放ったりと、積極的にゴールを狙いに行く姿は見ていて楽しいものでした。

ジルーの名前があんまり出てこないですが、実はパスを供給する側として頑張っていたりして、これもまたアーセナルの戦い方。実に愛すべきというかなんというか!75分に1点取られたのも、勝って終わればご愛嬌。正直、チェンバレンの自陣でのミスで取られたボールをロス・バークリーに決められたこのゴールは、クリーンシートで終われないアーセナルの悪いところが出たとも言えますが、途中コネにまともなシュートを打たせなかったディフェンス陣はよく頑張っていたと思います。

アーセナルでは初めてのチェフですが(余談ながら筆者はチェコ代表の試合で一度チェフを見ています)、ちょっと驚いたのはそのポジション。写真は味方が敵陣のゴール前に迫っているときの様子ではあるのですが、GKってこんなに前に出るものでしたっけ?このポジションから、ボールが戻ってくる気配があればさっとゴールの前に戻るわけで、これは守備範囲広そう……彼の加入の噂があった頃には、「え?オスピナの控えだよね?」と言っては周囲に「まあまあ」と宥められていた筆者ですが、やはりこの人が来てくれたのは凄いことなんだなあとしみじみ。本来は、チェコ代表でロシツキの盟友でもあるチェフのことは(チェルシーのGKでさえなければ)大好きだったんです!ぜひ今後の彼のプレーに注目していきたいと思います。

75分にアーセナルはドビュシー、コクラン、アクポムを投入して主力は「お疲れさま」、本日の動員52107人(15日の倍)という発表を聞き、83分にエヴァートンも2人交代したところで、その日の深夜便で帰国予定の筆者は時間切れ。後ろ髪を引かれつつ、2時間半後の飛行機に乗るためにスタジアムを後にしました。残念ながらトロフィーを掲げる姿も、カソルラのマンオブザマッチの発表(完全同意!)も見ることはできませんでしたが、その楽しみは次のプレシーズンマッチ、「エミレーツカップ」までとっておくことにいたしましょう!

最後にちょっと楽しいなと思った余談を。試合の合間、ハーフタイムなどに客席をカメラで抜くのはどのスタジアムでもよくあることと思いますが、ここでは、下にボンゴ(ドラムの一種)が描かれた枠で客席を抜く「ボンゴカメラ」という趣向になっていて、軽快なドラムの音とともに客席を抜きます。抜かれた客はこのボンゴを叩くように手を動かせ!ということなのですが、ドラムの音とともにこれをやられると、映し出された人は必ず、叩く動作をしちゃうんですよね。自分が映っていることに気づいて慌ててボンゴを叩き出す人の姿というのは何だかそれだけで可笑しくて、これはいいアイデアだなあと感心。こういうのもイベント試合ならではですが、たまにはいいですよね!

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“シンガポールでプレミアリーグ観戦 (2)バークレイズアジアトロフィー決勝 アーセナルVSエヴァートン” への2件のフィードバック

  1. ちくちく より:

    続報ありがとうございます。

    このチェフの守備位置に唖然としました。何かのネタ画像かと思いきや。。素晴らしいですね!

    百戦錬磨のGKが、ガナーズに足りなかった最後の1ピースになってくれればと思います。

  2. makoto より:

    ちくちくさん>
    スゴイです、このポジション。彼みたいなGKがいるだけで、DFラインが落ち着くと思います。

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