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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【MAN.CITY×Leicester】マフレズ、岡崎、ヴァーディ自由自在!レスターがマン・シティを粉砕!

プレミアリーグ25節最大の注目カード、マンチェスター・シティVSレスターはランチタイムキックオフ。岡崎慎司とヴァーディがトップのレスターは、カンテ、ドリンクウォーター、マフレズ、オルブライトンが中盤に並んだガチガチのベストメンバー。ホームのマンチェスター・シティには、アグエロ、スターリング、ヤヤ・トゥレ、フェルナンジーニョ、ダヴィド・シルヴァ、デルフが揃っており、負傷離脱中のデブライネとコンパニ以外はこちらもいつものメンバーです。ベルギー勢の不在もさることながら、ペジェグリーニ監督にとっては、ヘスス・ナバスのリタイアが相当痛いのではないでしょうか。後半、ビハインドを背負った際の攻めのオプションはイヘアナチョしかありません。

私は先日、マンチェスター・シティのフォーメーション分析をしており、プレミアリーグ、CL、カップ戦全試合におけるスタメンの組み合わせごとの結果をすべて把握しているのですが、そこから「デミチェリスがスタメンの試合は失点が多く、勝率が悪い」「無得点6試合のうち、5試合までがフェルナンド先発」などいくつかの興味深い数字が見えています。今日は最終ラインにデミチェリスがいる一方で、先発7試合を全勝しているサバレタが右SB。サバレタとコラロフを同時にスタメンに置いた3戦は、1試合平均5ゴールという驚異的な数字が残っています。マン・シティの攻撃陣が猛威を振るうのか、最近のプレミアリーグ5試合を1失点のレスターが抑えきるのか。キックオフ直後から、攻勢はレスター。アウェイチームは、3分にマフレズが倒されて得たFKから、あっさり先制します。ゴール前でボレーを決めたフートを捕まえられなかったのは、スタメン13試合でチームが18失点を喫しているデミチェリスでした。

8分にもレスターはヴァーディとジョー・ハートが1対1になるビッグチャンスを創り、ブロックされたシュートをフォローした岡崎慎司は、ダイレクトの一撃をオタメンディに阻まれます。マン・シティが猛攻、ラニエリ監督のチームは得意のカウンター。岡崎を含む4人で上がった11分の速攻は、左サイドを抜けたオルブライトンが飛び出したジョー・ハートにクリアされます。15分、左からするすると抜けたダヴィド・シルヴァのシュートは弱く、ポストの右。22分には岡崎慎司の見せ場です。マフレズのロングフィードからヴァーディが左サイドを突破。グラウンダーにニアから飛び込み、DF2人と勝負した岡崎は、倒れ込みながら出した右足が惜しくも当たりませんでした。サバレタとコラロフが厚みをもたらしてはいるものの、遅攻一辺倒となっているマン・シティは、スターリングが力を発揮できておりません。

32分、アグエロが放った初めての枠内シュートはシュマイケルがキャッチ。ヴァーディまで自陣にこもり、ゴール前にバスを停めるレスターの守備を崩すのは骨が折れます。45分にアグエロが右から突破したシーンは、中のシルヴァが触れません。エティハドには、大粒の雨。前半は0-1、プレミアリーグ首位がリードです。ダヴィド・シルヴァ、コラロフ、サバレタらがペナルティエリアの脇から高速グラウンダーを入れるマン・シティの攻撃は、ことごとくニアをカバーした選手に止められています。ヤヤ・トゥレやデルフ、フェルナンジーニョには、コラロフのようにミドルシュートを狙って相手の最終ラインを前に引きずり出す工夫が必要です。

さすがはプレミアリーグの頂点にいるクラブ。マン・シティのエンジンが温まっていない後半の立ち上がりに追加点を決めたレスターは、狡猾でした。47分のオルブライトンのドリブル突破こそ、ラストパスを止められるものの、1分後に伝家の宝刀、カウンターが炸裂します。カンテとフクスが自陣で奪ったボールをカンテが持ち込みマフレズに預けると、オタメンディは簡単に滑ってかわされ、デミチェリスはマフレズのフェイントに逆を取られてしまいました。普通ならCBがニアのコースを抑える場面で、相手をフリーにすれば、ファーをケアしたジョー・ハートの右はガラ空きです。マフレズは余裕をもって左隅に蹴り込み、0-2。50分にはオタメンディの裏に入った岡崎慎司がボレーを放ちますが、これはGKの正面です。

52分、ペジェグリーニ監督は、ヤヤ・トゥレとデルフを下げて、イヘアナチョとフェルナンドで勝負します。55分、CKからフリーで放ったフェルナンドのヘッドは、シュマイケルが足に当てるビッグセーブ。前半同様、マンチェスター・シティの猛攻をレスターがしのぐ展開です。59分、チャンスはまたもレスター。ジョー・ハートのパンチを拾ったカンテがヴァーディに預けると、左サイドを完全に突破したプレミアリーグ得点王は、ニアにラストパス。岡崎慎司はデミチェリスに止められますが、直後のCKをヘディングで左隅に浮かせたのは2度めのフートです。何と何と、0-3。さすがにこれで、勝負は決まりでしょう。

59分には岡崎慎司が単独でゴールに迫り、67分にはヴァーディがジョー・ハートと1対1。縦1本に対応できなかったのは、やはりデミチェリスです。岡崎慎司が左サイドでサバレタを翻弄している姿は、感動的です。日本代表のストライカーが、プレミアリーグでトップに立つチームでレギュラーをつかみ、優勝候補筆頭を相手に優位に立っているのです。

アグエロのシュートはことごとくブロックされ、残り15分を切りました。ラニエリ監督のマフレズをデマライ・グレイは「よくやった、おつかれさま」、ペジェグリーニ監督のダヴィド・シルヴァをガルシア・セリナは白旗でしょうか。81分、岡崎を下げてウジョアはラニエリ監督の逃げ切りプランの一環でしたが、87分に右からのクロスをアグエロにヘッドで叩かれて1-3となると、ムードは若干怪しくなります。オルブライトンに代わって最後に出てきたネイサン・ダイアーがバックパスをアグエロにさらわれたシーンは、アグエロが焦って致命傷にならず、スコアは動きませんでした。試合はこのままタイムアップ、アウェイのレスターがマンチェスター・シティに快勝です。

「ヴァーディの縦への突破を許してはいけない」「マフレズに一発で当たりにいってはいけない」「セットプレーのフートに要注意」…マンチェスター・シティは、レスター相手にやってはいけないことを全部やって負けてしまった厳しいゲームでした。カンテとドリンクウォーターのカバーリングとインターセプトが素晴らしく、全員が役割を全うしたレスターに対して、マンチェスター・シティは後ろが軽く、中盤の選手には隙あらばシュートを狙う積極性が欠けていました。ペジェグリーニ監督が欧州で上をめざすなら、CBサニャというオプションの質を上げておいたほうがいいのではないでしょうか。今のデミチェリスでは、強力なストライカーを抑えるのは難しいでしょう。チャンピオンズリーグのディナモ・キエフ戦の前に、ハリー・ケインのトッテナムとジエゴ・コスタのチェルシーが続くスケジュールのどこでやるかは悩ましいところではありますが…。

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“【MAN.CITY×Leicester】マフレズ、岡崎、ヴァーディ自由自在!レスターがマン・シティを粉砕!” への10件のフィードバック

  1. プレミアリーグ大好き! より:

    生き生きしたフートを見てるとアーセナルで酷評されているメルテザッカーが加入したら、更にえげつない守備になるのかなぁと妄想してしまいました。

  2. シティさぽ より:

    開始早々に決められるとは思いませんでした
    結果も内容も完敗です
    スパーズとアーセナルに抜かれそうな気がします
    シルバが怪我だとか
    CL権獲得も難しくなりそうです

  3. ロビーサベージ より:

    完璧にレスターの良さが見れた試合でしたね。マフレズの右足にはびっくりしましたし、フートの2得点もこれまたびっくりでした。
    岡崎もハードワークをこなしながらバーディとの連携でチャンスを作っていましたし、カンテやドリンクウォーターも効いてましたね。
    彼らの戦いぶりを見てると本当に勇気付けられます。次のアーセナル戦でも今の状態を維持して快進撃を続けてもらいたいです。

  4. chelさぽ より:

    シティはなかなかスターリングが絡んでこれず消えている時間がありましたね。デブライネ不在だとゲームメイクが大きく違ってくるのでしょうかね。
    レスターは全てが素晴らしいかったですね。ほぼ全員の運動量が多く、跳ね返す守り方と要所で潰す守り方のイメージが全員で共有できているようでした。前ではきっちり仕事のできるタレントが揃ってますし、チームがきちんと統率されてるなと感じました。岡崎は得点できず悔しいでしょうが、ラニエリのハグは愛がこもってそうでしたので次節に期待ですかね。

  5. シティズン より:

    絶対負ける絶対負けるって思って見てたらやっぱり負けました
    レスターのCL圏内は確定したようなもんですね
    本当に優勝ありえると思います
    シティが優勝出来ないなら是非レスターに優勝して欲しい
    そんな気持ちにさせてくれるチームです

  6. シティズン より:

    シルバの交代は白旗ではなく怪我のはずです

  7. 新参 より:

    アーセナルにとっては、最低でも引き分けがうれしい結果でしたが、レスター快勝とは…次節は波に乗りまくったチームと当たらなければならなくなりました。

  8. K より:

    本当に仰る通りでした。レスターは強豪相手だとポゼッション完全に捨てて両CBとCHの3枚は常に低い位置でセーフティの迷いない選択で安定していますし、相手のラインが高いのでヴァーディ1人で局面打開できるし、皆が自分の任務を確実に遂行してて強いですね。岡崎もいい仕事してました。
    レスターに勝つにはFCデブライネが出来ない今、アンフィールドでのレッズのように最終ラインへプレスかける運動量が必要だったと思うんですが、CLでも1人10km走行距離が切ってる今年のチームにはオプションが足りなかったですね。デブライネ失ったシティの方が失速しそうに感じます。トッテナムとレスターの優勝争いとは…

  9. KEISUKE より:

    岡崎がウジョアに変わった途端にレスターの守備バランスが不安定になってばたバタし出したのはたまたまでしょうか。一点入れられた前後含めてそれまでのMAN Cの猛攻を組織的に凌いでいたのとは明らかに違う様態を呈していたようです。全力で強敵をなぎ倒すレスターの姿は爽快の一言に尽きますが果たしてガス欠を起こさずにこの歯車がかみ合ったチームをどのようにマネージしていくのかラニエリの手腕も見ものです。。

  10. リバサポ より:

    プレミアリーグ大好き!さん>
    人望厚いメルテザッカーは、こういうチームに入ったら輝きそうですね。ライン上げないので、苦手な駆けっこも少ないですし。

    シティさぽさん>
    負傷者が多いのが、厳しいですね。仮に優勝が難しくなっても、最後は帳尻を合わせられそうですが。

    ロビーサベージさん>
    カンテとドリンクウォーターが素晴らしいですね。アーセナルは、気を付けないとまったく同じ負け方をしそうです。

    chelさぽさん>
    スターリングは消されてしまいましたね。次節、アレクシス・サンチェスを同じように止められるかが、ポイントのひとつになるのではないかと思いました。

    シティズンさん>
    CLは堅そうです。怖いのは負傷とプレッシャー。今後は、自分たちとも戦わないといけません。ダヴィド・シルヴァは負傷でしたね。来週のトッテナム戦が心配です。

    新参さん>
    今日はボーンマスに快勝して、勢いで負けないようにしたいところです。

    Kさん>
    デブライネもさることながら、ヘスス・ナバスの不在が痛かったように思いました。後半は、自陣右サイドを結構やられてました。

    KEISUKEさん>
    バランスがおかしくなりかかっていたところに、ネイサン・ダイアーが油を注ぎかけましたね。FAカップのトッテナム戦のように、ベストメンバーじゃないと1~2点覚悟しなくてはいけないチームになるので、モーガン、フート、カンテ、ドリンクウォーター、岡崎の中央のラインの無事は重要です。

    —–
    レスターとしては優勝の本命であることを証明して見せたような1ヶ月でしたね。
    私も作者さんと同じでレスターの勢いはいずれ止まるだろうと思っていたのですが、この試合を観てこの強さは本物であると確信しました笑

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