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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Arsenal×Norwich】負けパターンからチームを救った、ペトル・チェフのビッグセーブ!

「TIME FOR CHANGE」…ヴェンゲル監督の退任を要求するプラカード。「ヴェンゲルは12年も勝っていないが、ラニエリは9ヵ月でチャンピオンになった」と主張する気が早いカードも見られます。12分と78分に一斉に掲げられたのは、最後のプレミアリーグ制覇から12シーズンも経っているという意味合いのようです。彼らは、愛するクラブがチャンピオンズリーグに出られなくなってもいいのでしょうか。主力選手がチームから離れていってもいいのでしょうか。欧州への道が断たれる寸前のチェルシーでは、クルトワの退団話が取り沙汰されています。少数派ではあったものの、ノリッジの選手がCKを蹴ろうとしている残り12分の危険な時間帯に、選手にプレッシャーをかけるような抗議が行われているのを見て、暗澹たる気分になりました。81分にボラシェに同点ゴールを決められ、プレミアリーグ優勝への希望が完全に萎んだクリスタル・パレス戦を思い出し、キックの瞬間、私は思わず目をつぶりました。

自陣に引きこもられて、横パスをまわしているうちにいつしか奪われ、カウンターで決定的なピンチに陥る。完全なる負けパターンに陥ったチームをワールドクラスのGKが救ってくれた、そんな一戦でした。プレミアリーグ36節、エミレーツ、VSノリッジ。6分にオルソンからクロスが上がったシーンは、モンレアルの裏でレドモンドが余っていました。決定的なワントラップボレーは、チェフが足に当てて弾き飛ばすビッグセーブ。7分には、右からのクロスをバソングがヘディングで左に逸らします。自分たちは前に進めないのに、ボールを奪われると一気にゴール前まで運ばれる時間が続き、早くもコクランにウォーミングアップをさせたくなります。11分、エジル、ラムジーとつながった短いパス回しのラストは、正面からのジルーの右足。枠を捉えたシュートは、マーティンにブロックされてGKラディに届きません。

アーセナルは短い横パスが多く、ノリッジの選手たちはポジションを微修正するだけで対応できてしまいます。32分、エジルが縦に優しいスルーパスを通し、イオビが折り返すとエルネニーが右足でコントロールショット。これはDFに当たって右に逸れたものの、ラインの裏に通すパス、積極的なミドルは今日のような引いた相手には効果的です。42分、フーラハンが左から上げたクロスに、またもモンレアルが対応しきれずレドモンドがボレー。強烈な一撃はチェフが両手で大きく弾き、先制ゴールはなりません。この時間帯にゴールを奪われたら、アーセナルは追いつけないのではないかと思いました。46分にもペナルティエリアの入り口からレドモンドが右足でシュート。これもまた、ポストのすぐ脇を抜ける危険な弾道です。同じ選手に何度もやられる姿に、2点リードをアンディ・キャロルにひっくり返されたハマーズ戦が脳裏をよぎります。前半は0-0。後半開始5分過ぎには、メルテザッカーがハムストリングを痛めてしまい、ガブリエウに後を譲ります。ホームチームが攻めあぐむ重苦しい展開。56分、ヴェンゲル監督は、イオビを諦めウェルベックを投入します。

なぜかブーイングが聞こえてきた交代策は、3分で実を結びました。エジルが右のベジェリンへ、ふわりと浮かせたクロスをジルーが頭で落とすと、ウェルベックのボレーは完璧でした。1-0、ノリッジは前に出なくてはならなくなりました。アーセナルにとっては、追加点を奪うチャンスです。64分、エルネニーの縦パスを受けたアレクシス・サンチェスが迷わず右足を振り抜くと、ボールはわずかにポストの右。彼らに足りないのは、連動性のあるパスワークとラストパスの精度です。

69分、レドモンドが右から突破に成功したシーンは、ニアに入った途中出場のムボカニをガブリエウが体を投げ出してストップ。直後、アーセナルのカウンターはジルーのミスタッチで終わったかと思われましたが、エジルが左足ボレーで最前線のアレクシス・サンチェスにピタリと通すスーパーパスを披露。アレクシスのシュートはラディの正面でしたが、決定的なチャンスでした。73分、ラムジーの無謀なシュートはクリアされますが、ルーズボールをダイレクトボレーで狙ったのはエジル。いいシュートでしたが抑えが効かず、バーの上に抜けていきます。ネイスミスが投入され、ムボカニにミドルを打たれた危ない時間帯…。78分、CK。プラカードは、これをクリアするのを待てなかったのでしょうか。エルネニーがヘッドを逸らしてしまい、バソングの頭上に飛んできたボールはやや高く、競り勝ったヘディングシュートはチェフの上に大きく外れていきました。

アーセナルの攻撃は、最後までかみ合いませんでした。ジルーはアシストはあったものの、打ちたいタイミングでボールをもらえず。82分にラムジーの縦パスをダイレクトで落とし、エルネニーに右足アウトのシュートを打たせたシーンぐらいしか、いい形で絡むシーンはありませんでした。前半のチェフの冷静なセーブがなければ、1-0のスコアは逆になっていたかもしれません。この試合は、勝ち点3を静かに喜ぶほかはないでしょう。私には、チームのメンタルコンディションが悪いことが思い切りのよさや判断スピードを奪っているように見えました。そんななかでも勝ち点3に漕ぎ着けた選手たち、とりわけ最高のプレイを見せてくれたペトル・チェフを静かにリスペクトしたいと思います。

次節のマンチェスター・シティに勝てば、3位フィニッシュが見えてきます。今は大詰め、来季以降のことを語る時期ではないでしょう。プレミアリーグ優勝を逃した指揮官への怒りはわからなくはないものの、抗議の手法については疑問に思いました。残り2戦、サポーターのみなさんには、ぜひ選手たちに気持ちよくプレイさせてあげてほしいと切に願います。チェルシーやマンチェスター・ユナイテッドが崩れるなか、アーセナルは19シーズン連続でチャンピオンズリーグに出場できるところまできています。これはこれで、素晴らしい足跡です。

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“【Arsenal×Norwich】負けパターンからチームを救った、ペトル・チェフのビッグセーブ!” への8件のフィードバック

  1. queen より:

    苦しい時こそ応援できるファンでありたい。
    愛情の裏返しなんでしょうが、あれらのプラカードは
    観ていて気持ちいいものではないですよね。
    ただ不甲斐ない試合が多いので理解はできます。
    なにより選手たちが苛立ってる姿が試合中に頻繁に
    見えてしまい、それもまた残念ですね。
    ただウェルベックのゴールまでの連携は、
    とても素晴らしいものでした。
    そしてチェフがいてくれて良かった。

    —–
    内容が芳しくないことは最近ずっとそうだったから仕方ないとして、とにかく結果が出せたことは大きいですね。
    サポーターを黙らせるのは結果を出すしかないということは当人も承知しているはずなので。

  2. ぶらゼブレ より:

    質の高いサッカーを見せると言っておきながら、昨日も残留かかって必死だったとはいえノーウィッチ相手になんとか辛勝って感じでしたからね〜。
    個人的には現地サポーターの怒りももっともです。
    ベンゲループでは、シーズン終盤に怪我人が帰ってきて尻上がりに調子を上げて、よし来季こそ!と期待を持たせておいて夏に補強を中途半端に。そしてまたお決まりの…ていうパターンも結構ありますが、今年はそれすらできていませんから。
    もちろん19年連続でCL出場も立派ですが、その間にチェルシーやユナイテッドはビッグイヤーを掲げたり、リーグ連覇をしているわけですから、今年一年成績が上だったからといって良しとはならんでしょう。

  3. 新参 より:

    ジルーひとりに責任を押し付けるわけにはいきませんが、いいときの彼に比べ、オフザボールの動きが少なく単調だったのが、ここ数試合の彼の印象です。途中から入ったウェルベックのほうが動きが多彩で相手を困惑させていた印象がありましたので、シティ戦ではウェルベックに期待です。

    サンダーランド戦のラムジーしかり、ノリッジ戦のモンレアル、ジルーしかり、機能していない部分はなかなか変えないあたり、ベンゲル監督も意固地になってるんかなぁと思ってしまいました。できれば、肩の力を抜いて柔軟に采配をふるって欲しいですね。

  4. プレミアリーグ大好き! より:

    こういう時こそファンの声援が大事になってくるとおもうんですがね。まだシーズンも終わっておらずCL権も確定していない中で監督の交代を要求するのはとても悲しいことだと思います。こういう話はシーズンが終わってからでも遅くはないはずです。なんとか残り2試合、力いっぱいの声援を送って欲しいですね。

  5. ヤンガナ大好き より:

    ファンのプラカードは不快そのものでした。あれではマコトさんのコメントの通り選手のメンタルコンディションやモチベーションを保つのは難しいかと思います。そんな嫌な雰囲気の中、次期キャプテン候補、チェフだけはいつもにも増して冷静そのもののプレーで試合を引き締めてくれました。前半の彼のビックセーブが無ければ今頃ガナーズサポーターは暗い一週間を迎えていたでしょう。また、得点には繋がりませんでしたがエジルのサンチェスへのキラーパスは本当に見事でした。

    次節シティとのプレミア3位を目指した大一番は、ポゼッション思考のパス&ムーブサッカー同士の戦いです。お互いのサッカーをレスペクトしつつ熱い戦いを期待したいと思います。先発メンバーについてはベンゲルさんの頑固さを捨て、ベストメンバーで戦って欲しいです(コクラン、ウェルベックは是非とも先発で)!

  6. プレミアリーグ大好き! より:

    試合内容を見ずに言いたいことだけ言って帰るわけですから、完全にヒステリーですね
    初めてのリーグ制覇が目前に迫っているチームを見ておいて、12年制覇していないという文言を考えた時に少しでも恥を感じなかったのでしょうか
    傲慢という言葉に尽きます
    おそらく、一度二度痛い目を見ないとわからないでしょう

  7. M より:

    更新ご苦労様です。

    明らかな低迷はなくても王者にはなっていないアーセナルとチャンピオンズリーグ出場権を
    逃す体たらくを演じる年があっても王者になったことがあるチェルシーとユナイテッドでは
    どちらのファンが幸せでしょうか?という話なんだと私は思っています。
    後者が良いと思うファンから見れば今季の残り試合の結果よりも来季の変化の方が大事だと
    いうことなんでしょう。私はそう思うファンを否定することも違うと思います。

    私はチャンピオンズリーグ出場権を逃したところで何か?です。最近は以前ほどの熱心さが
    ないからでしょう。もちろん長い間課題を解決出来ないベンゲルに大きな不満があります。
    ベンゲル辞任がアーセナルにとってそれほどネガティブだとは思ってません。何度も大事な
    試合で無様なパフォーマンスを演じる勝負弱い選手達にもたっぷり不満があります。

    それでも・・・今更・・・宗旨替えなど出来ませんからね。

    —–
    チェフ良いなぁ…

  8. makoto より:

    ミハルさん>
    長いこと、エジルは苛立ちながらプレイしてますよね。この試合は、チェフでした。

    queenさん>
    そうですね。あと1つ勝てば、CL出場権はキープです。

    ぶらゼブレさん>
    怒りはわからなくもないのですが、あの表現がどうかとは思いました。

    新参さん>
    ボスも冷静さを欠いている感がありますね。選手交代については、私も「?}が多いです。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    同感です。残り数試合、しかも大事な局面ですから。

    ヤンガナ大好きさん>
    次戦、楽しみですね。カソルラが間に合えばなおおもしろいのですが、エルネニー&コクランで引き気味に戦うのではないでしょうか。

    プレミアリーグ大好き!さん>
    サポーターの方々についてでしょうか?

    tomoさん>
    「そう思うファンを否定」はしていません。「ああ振る舞うファン」にどうかと疑問を投げかけています。長期的な戦略、めざす姿があってチャンピオンズリーグ出場権を逃すぶんには耐えることもできると思いますが、ただ逃すのは残念なことだと思います。

    Mさん>
    ですね!

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