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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Leicester×WBA】したたかピューリス!ミスを突かれたレスターがホームで21試合ぶりの敗戦!

「シンジがプレイしているときのほうが、われわれはいい」。ラニエリ監督は、昨季プレミアリーグで24ゴールを決めた絶対的エースを先発から外しました。2トップは岡崎慎司とスリマニ。中盤にはアーメド・ムサ、マフレズ、ドリンクウォーター、キング。本拠地キングパワー・スタジアムに前節まで16位だったWBAを迎えたゲームは、必勝の一戦でしたが、岡崎の起用でマフレズやスリマニと中盤とのつなぎをスムーズにしようとした指揮官の目論見は空振りに終わりました。ここまでホームでは3勝2分、得点8失点2と王者の戦績。プレミアリーグでは地元で20戦無敗と負け知らずだったチームは、したたかなWBAに足をすくわれてしまいました。開始3分、右から抜け出したマット・フィリップスにポストすれすれの決定的なシュートを打たれたのは、細心の注意を払って守らないと危険というシグナルのようでした。チームの危機をビッグセーブで救い続けていたシュマイケルが骨折し、5試合ぶりにピッチに立ったツィーラーは、ゴールの真ん前でキックを相手にぶつけるなど不穏な立ち上がりです。

レスターにボールが渡ると何の迷いもなくきっちり引くWBAは、16分に古典的なカウンターを披露します。前線に当てて、落として左サイドのマット・フィリップスへ。ファーサイドに上がったサロモン・ロンドンへのクロスは阻まれますが、ボールが辿った道はゴールへの最短距離です。18分にサロモン・ロンドン、モリソンとつなぎ、最前線に飛び出したブラントに出たスルーパスも見事。ツィーラーが飛び出し何とかキャッチしたものの、プレミアリーグを制覇した昨季のレスターは、守備が整備された秋以降に裏を突かれるシーンは数えるほどしかありませんでした。ピューリス監督のサッカーはムダがなく、論理的かつ機能的です。

左から再三仕掛け、ゴールに向かうクロスを入れ続けていたマフレズは、28分に決定的なシーンを創ります。ニアに上がったクロスはコース、速さともボールとも完璧に見えましたが、頭から突っ込んだスリマニは数十センチ足りませんでした。その後はパスがつながらず、攻めあぐむレスター。ボールに絡む機会が少なかった岡崎は、37分にスリップして倒れながらもそのままヘッドで味方につなぐ彼らしいプレイを披露。ムサとマフレズが左右で勝っても、中からのカバーが速く、ラストパスを味方に合わせようにもコースがありません。61%のポゼッションでシュートゼロは、ピューリス監督の高笑いが聞こえてきそうなスタッツです。ラニエリ監督が、ハーフタイムで岡崎慎司をヴァーディに代えたのは納得の采配。鋭いカウンターでプレミアリーグを制したチームが、持たされてカウンターを喰らってホームで負けるわけにはいきません。

しかし52分、アウェイのWBAが「カウンター返し」で素晴らしい先制ゴールを決めました。右からのマット・フィリップスのFKをはね返したレスターがカウンターモードでラインを上げると、
「獲られた直後に獲り返せ」とインターセプトしたWBAがすかさず反撃。フレッチャーが右のマット・フィリップスに展開すると、クロスはフクスの足に当たり、モリソンの頭にぴったり合ってしまいました。こういうときこそ、チャントは「Who are ya?」です。気勢を上げるWBAサポーターの声は、5分後にホームサポーターの歓喜にかき消されます。マフレズのしつこいクロスが、ドーソンが一瞬見失ってしまったスリマニの頭にようやく届きました。右隅に刺さったヘディングは完璧。シュートが打てなかったレスターは、これで元気を取り戻しました。57分にムサが左から完全に抜け出し、きわどいグラウンダーがゴール前に出ますが、ストライカーたちは走り込めません。角度はなかったものの、彼のシュート力があれば、狙ってもよかったのではないかと思います。

サイドからの仕掛けが活性化したレスターに対して、WBAは中央が堅くシュートを許しません。マイボールになっても前の枚数を増やさないアウェイチームは、勝ち点1でOK、ゴールを狙うのはセットプレーかカウンターと腹を据えているようです。2度のCKのピンチを何とか脱したレスターは、72分に痛恨のミスで勝ち越し点を奪われます。ドリンクウォーターが後ろに戻すのを狙っていたマット・フィリップスがインターセプトに成功して、ツィーラーと1対1。GKが飛び込んでくる瞬間に軽く浮かしたシュートは、ウェズ・モーガンが追いつくより先にゴールに転がりました。こうなると、WBAはさらにゴール前にこもります。フクスのクロスにニアで頭を振ったヴァーディのヘッドは当たりが薄く、マフレズのクロスを叩いたキングのヘッドはフォスターの正面。86分に敵陣でヤコブをつついてインターセプトしたショートカウンターは、スリマニのパスにヴァーディが追いつくより先にフォスターが懐におさめます。1-2、60%近いポゼッションながら、シュート数5対11とピューリス戦術にはまったレスターは、降格ゾーンと勝ち点2差のプレミアリーグ14位に沈みました。

大敗したのはマンチェスター・シティ戦のみで、ほとんどのゲームを接戦に持ち込んでいるWBAのしぶとさは、ピューリス戦術の浸透度の高さによるものでしょう。相手ボールとなるとモウリーニョ監督以上に中盤の選手をしっかり戻らせ、カバーリングを徹底。外に展開してクロスを入れることが多い攻撃は、空いている選手に次々とボールを預けるラグビーのようで、余計なパスがありません。この試合では、後半のヴァーディ対策も万全。ラニエリ監督は、完全にはめられてしまいました。WBAを崩すとすれば、ダイレクトパスを使ってボックスの脇を攻略するのがよさそうですが、2トップがシュートを狙うために中に張ってしまえば、サイドを崩すための人数が足りなくなり、さほど上がってこないキングとドリンクウォーターでは厳しそうです。ギュンドアンやデル・アリのように攻守兼用でトップ下もこなせるタイプがひとりいればいいのですが…。

カンテの離脱もさることながら、プレミアリーグ2節で負傷してしまったナンパリス・メンディの不在が、ラニエリ監督の計算を狂わせてしまったように思います。プレミアリーグ王者は、ここで踏ん張らなければなりません。次節のワトフォード戦と翌週のクラブ・ブルッヘ戦の結果次第では、「降格ゾーンにいながらチャンピオンズリーグのグループステージを突破したチーム」になってしまいます。

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“【Leicester×WBA】したたかピューリス!ミスを突かれたレスターがホームで21試合ぶりの敗戦!” への2件のフィードバック

  1. おはむ より:

    フットボールとは頭脳のスポーツだとピューリスの試合を見ると思います。

  2. makoto より:

    おはむさん>
    そうですね。ロジカルです。

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