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【Liverpool×Bournemouth】システム変更は裏目!?最後に追いつかれたリヴァプールは無念のドロー!

リヴァプールの勝ちゲームだとばかり思っていました。プレミアリーグ31節、レッズがアンフィールドに迎えたのは、12月に1-3から大逆転を許したボーンマス。3位につけているクラブは、魔が差したとしかいいようがない残り15分からの3失点という前回の失敗を糧にして、快勝するのではないか。ララナ、ヘンダーソン、マネの穴は、オリギ、ルーカス・レイヴァと好調コウチーニョが埋めてくれるのではないか。ワイナルドゥムのバックパスミスをアフェベにさらわれ先制されながらも、コウチーニョとオリギのゴールでひっくり返したレッズを見て、勝ち点3を確信しました。しかし…。クロップ監督のチームは、なぜ勝てなかったのか。あらためて、2-2に追いつかれてしまった痛恨のゲームを振り返ってみることにしましょう。

開始早々、オリギのパスを受けたフィルミーノがきわどいシュート。外からスプリントして縦パスをもらおうとしたナサニエル・クラインの動きは、いつものレッズのアタックです。順調な滑り出しだったレッズですが、6分に致命的なミスから失点を喫してしまいました。右サイドでルーカスがボールを奪い、中のワイナルドゥムへ。この瞬間、マーカーを背負っているコウチーニョ以外に出しどころがなく、アーターに詰められた5番がバックパスを選んだのはわかります。しかし、後ろに戻すなら、判断に時間をかけてはいけませんでした。オランダ代表MFのパスを読んだアフォベがミニョレの前で追いつき、ダイレクトの左足シュート。ボールはゆっくり枠に転がり、アウェイチームが先制です。

1点を追うリヴァプールの最初のチャンスは、14分。敵陣でウィルシャーを3人で囲んだ守備は、いかにもクロップスタイル。2度カットされたボールをすぐに奪い返し、フィルミーノのダイレクトパスで抜けたワイナルドゥムが右サイドでフリー。クロスをヒールで流したエムレ・ジャンのパスは、ボーンマスの守備網に引っかかりました。なおも攻めるレッズ。今日の動きのよさなら、オリギはマネの代役として合格点です。ワイナルドゥムが必死に攻め上がっているのは、自らの力で失敗を帳消しにしたいと思っているからでしょう。19分のCKは、クリアが流れてきたところに飛び込んだオリギが、うまくミートできませんでした。22分、今度はボーンマスがCKから決定機。ルーカスのヘッドがファーに流れたところをノーマークのピューがボレーで合わせると、ミニョレが諦めたボールは右のポストすれすれを抜けていきました。

25分、CKのクリアをボックスの外でトラップしたワイナルドゥムの強烈なミドルは、GKボルツがキャッチ。ボールを奪ってもすぐに寄せられて速攻を仕掛けられなかったアウェイチームは、31分にジョシュア・キングが右からボックス手前まで持ち込んだものの、フォローしたデヤン・ロブレンに詰められ、シュートを打ち上げてしまいます。40分のレッズの同点ゴールは、ブラジルコンビならではの中央突破でした。3人に囲まれながらドリブルで進んだフィルミーノは、狭いスペースをものともせずラインの裏に絶妙なラストパスを通します。一瞬で4人が置き去りになり、ボルツの前でフリーになったコウチーニョが左隅に流し込みます。前半は1-1。後半に入っても、レッズがプレミアリーグ11位を圧倒します。

48分、ナサニエル・クラインの素晴らしいロングシュートが左のポストを直撃。レッズの勝ち越しゴールは、失点シーンの主人公によってもたらされました。ボックス左でウィルシャーを翻弄したワイナルドゥムがふわりと浮かせたクロスは、ゴール前に入ったオリギの頭にぴったり。至近距離からの一撃にボルツはなす術なく、ボールがネットに突き刺さるのを見送るしかありませんでした。

ターニングポイントは、65分にコウチーニョをマティプに代えたことではないでしょうか。代えるにしても2点リードとしてからでないと、追いつかれた後に苦しむことになります。3-4-2-1は残り15分を過ぎると5-4-1に変貌し、重心が明らかに下がったレッズはボーンマスに押される時間を増やしていきます。半ば結果論になってしまうかもしれませんが、コウチーニョを代えるならアルベルト・モレノ、その後前半から飛ばしていたワイナルドゥムをグルイッチという順番なら、80分過ぎから猛攻を受けることもなかったように思います。失点シーンの直前にスプリントしたワイナルドゥムは、フリーの選手が見えているのに戻れなくなっていました。

87分、クックのスローイン、クリアをダニエルズがシュート、さらにボックス外に出たボールをアーターがボレー、これをトラップしたジョシュア・キングが右足一閃!密着していたクラヴァンはボールを見失い、今季プレミアリーグ12ゴールめとなるノルウェー代表FWに自由にやらせてしまいました。攻めに出たレッズは89分、CKをマティプがヘッドで狙うと、ファーポスト際に流れたボールにオリギが足を出しますが、一歩及ばず。92分のクロスをマティプが頭で折り返した後、クラヴァンはヘッドを左右いずれかに振れなかったか…。正面に飛んだシュートをボルツがキャッチし、レッズはホームゲームを2-2で終えました。今日の勝ち点ロストの原因は、プレイそのものよりも采配にあったのではないかと思います。マン・シティを引き離せず、アーセナルにプレミアリーグ4位への希望を与える痛恨のドロー。残り7戦、クロップ監督のチームに取りこぼしていい試合はひとつもありません。

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“【Liverpool×Bournemouth】システム変更は裏目!?最後に追いつかれたリヴァプールは無念のドロー!” への4件のフィードバック

  1. nyonsuke より:

    更新お疲れ様です。

    ボーンマス戦は2戦とももったいない結果となりました。
    仰るとおり、マティプを入れるにしてもそれまで全くボーンマスに決定機を作られていないのにシステムを変更する必要はなく、結果的に転機となってしまいました。
    怪我人が多く台所事情が苦しいのはどのチームも同じです。
    一つの采配ミスが取り返しのつかないものになることを痛感し、改めてサッカーの恐さを感じました。
    ブラジルコンビとオリギがこの調子なら前線は大丈夫かと思いますが、コウチが直でドレッシングルームに戻ってしまったことが気になります。
    この勝点2の取りこぼしがCL権枠に影響しないことを祈るばかりです。

    余談ですが、戸田さんの解説は鳥肌ものでした。
    預言者のごとく、試合の流れを読み、結果的に的中していましたね。
    選手のころとは全く異なるイメージでびっくりしていますが、とてもいい解説者になられましたね、応援しています。

  2. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    ボーンマスには勝てず痛恨のドローと、、良いところ無しのミッドウィークのゲームでした。
    コウチーニョは体調不良による交代は仕方ないにしても、他の選手も手を入れるべきではあったのではと思った次第です。勝ち点ゼロより一つでも積み上がった方がポジティブに取れますが、真価が問われるのは次節ストーク戦ですね。オリギが良くなって来ているのが明るい材料ですね。

  3. K より:

    コウチは体調不良で明らかにコンディションが悪かったので仕方がなく、4-4-2に対して3-4-3は教科書的には正解です
    ただ疲れたワイナルダムとフィルミーノを両翼に配置して相手の両SBを見る事に無理があって押し込まれてしまいました
    押し込まれて放り込まれるとだいたいこぼれ球を決められる何時ものパターンで、ウィングの控えが来季には必須です

    3位から6位まではだいたい1試合で平均2ポイント取るので、実質シティと差は0、ユナイテッドとアーセナルとは1ゲーム差ですね
    勝ててれば3チームにプラス1ゲーム差でかなり優位でしたが、マネの膝の手術で今季絶望と状況は最後まで分からなくなりました
    アーセナルとユナイテッドの試合でアーセナルが勝つと得失点差で厳しくなります
    連戦時の集中力が強豪相手にしか保たれない精神的な幼さ、連戦時の終盤に走れない選手ばかりになる選手層の薄さを解消する事、マネの怪我が来季に影響がない事を祈るばかりです

  4. makoto より:

    nyonsukeさん>
    戸田さん、よかったです。明らかに勉強不足だったり感情的だったり、雑談が多すぎる解説者が多く、実況のみの現地の放送のほうが集中できるなと思うことが多々あるなかでは、安心して聞ける方です。

    Mackiさん>
    そうですね。ワイナルドゥムも代えたほうがよかったのでは?と思いました。

    Kさん>
    戦い方は悪くなかったので、戦術はそのまま、人だけスイッチでもよかったですね。

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