攻撃的なサッカーと若手育成!セインツが新監督にマウリシオ・ペジェグリーノを選んだ理由
その後、エストゥディアンテス、インディペンディエンテと母国アルゼンチンのクラブで指揮を執ったペジェグリーノ監督は、昨季はリーガ・エスパニョーラ昇格直後だったアラベスをTOP10フィニッシュさせました。新監督決定に際したセインツ公式サイトのメッセージを読むと、彼らがなぜピュエル監督を解任し、ザッケローニ、フランク・デブール、ペジェグリーノを候補としていたのかがわかる気がします。
「彼はサウサンプトンウェイをとてもよくわかっており、そのスタイルと遊び心はクラブの哲学、カルチャー、野心と合致しています。クラブの次のステップを手助けする適切な人材。既に選手を知り、素晴らしいスカッドをチューニングすれば成功を続けられると確信しています。マウリシオが信じるのは、高いクオリティとインテンシティを伴うエキサイティングなアタッキングフットボールです。若い選手の能力を開発し、経験を積ませていくことも続けてくれるでしょう」
キーワードは、「サウサンプトンウェイ」と「チューニング」。前任のピュエル監督はセーフティに戦うスタイルを嫌われ、だからこそ候補者は攻撃的なサッカーを信奉する指揮官たちだったのだと思われます。この構図は、プレミアリーグ復帰を果たした2012-13シーズンの監督交代劇と酷似しています。昇格の功労者だったナイジェル・アトキンスはリアリストで、プレミアリーグ残留を目標としたために半年で解任され、クラブはチャンピオンズリーグに出られるチームに成長させようと意気投合したマウリシオ・ポチェッティーノ監督に後を託しました。同じポジションに留まることをよしとせず、攻め続けるのが「サウサンプトンウェイ」。彼らは、4年前と同様のジャッジを下したのでしょう。
そして「チューニング」。ここからは私の推測ですが、昨シーズンの開幕直前にインテルの監督となり、3ヵ月持たずにクビを切られたフランク・デブールはチームづくりには時間がかかると主張し、マウリシオ・ペジェグリーノは今の延長線上でいける、若手を育てるとプレゼンしたのではないかとみています。ラ・リーガに昇格1年めだった昨季のアラベスは明らかに戦力不足で、ローン移籍9人を含む総勢17人が新戦力というつぎはぎだらけのスタートでした。これを預かったペジェグリーノ監督は、開幕戦のアトレティコ・マドリードとのアウェイゲームを1-1ドロー、カンプノウに乗り込んだ3節のバルサ戦を1-2勝利という大金星を挙げ、テオ・エルナンデス、ビガライ、ジョレンテ、カマライといった若手をうまく融合させてチームを進化させました。直近に芳しい実績がないザッケローニさんよりも、アラベスを仕切った監督のほうが魅力的でしょう。さすがセインツ、監督に対する見立ては常にコンセプチュアルだなと感心した次第であります。
昨季はプレミアリーグ8位だったチームは、どこまで上位に食い込めるでしょうか。名将の産地であるアルゼンチン仕込みの攻撃的なサッカーに期待するとともに、シムズ、ハリソン・リード、マット・ターゲット、ブファル、ホイビュルク、ジャック・スティーブンス、マックイーンなど若い選手のブレイクも楽しみにしたいと思います。若手プロデュースに長けたポチェッティーノ監督とオーバーラップするニューフェイスの登場で、プレミアリーグがまたひとつおもしろくなりそうです。(マウリシオ・ペジェグリーノ 写真著作者/Victor Guttiérez Navarro)
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正直ピュエルを切るというジャッジは厳しいのではないかと思っていましたが、後任にいい人材を持ってきましたね。去年のアラベスから考えるに、ワード=プラウズやターゲットなどを開花させてきそうです。
とはいえ、ピュエルは過小評価されていると感じます。攻撃陣をごっそり引き抜かれたために、守備から入ったピュエルのアプローチは間違いではありませんでした。彼の献身を無駄にしないようにマウリシオ・ペジェグリーニには上位を苦しめるいやらしいチームを作っていただきたいですね。
新参さん>
セインツは今も見どころのある若手を多数抱えているので、おもしろい人選だと思います。シムズに期待しています。クラブからすれば、ピュエル監督から長期的なヴィジョンが見えてこなかったということなのかもしれません。