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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【West Ham×Watford】両者必勝の「プレミアリーグ残留決定戦」は、開始10分の2発でハマーズ快勝!

プレミアリーグ7節のボーンマス戦を2-2のドローに持ち込み、ペジェグリーニ監督率いるウェストハムは3勝3分1敗で5位をキープ。チェルシー、トッテナム、マンチェスター・ユナイテッドより上にいたチームが、残留争いに巻き込まれるとは思いませんでした。不振に陥った直接的なトリガーは、ボーンマス戦の34分に発生したトラブルでした。最終ラインを落ち着かせていたファビアンスキが負傷リタイア。ボクシングデーが過ぎ、プレミアリーグ屈指のショットストッパーがゴールマウスに戻ってきたとき、ハマーズは5勝4分8敗で14位に沈んでいました。

ロンドンスタジアムで開催された19節のレスター戦を1-2で落とし、降格ゾーンにいたアストン・ヴィラと1ポイント差の17位。守備を立て直せなかったペジェグリーニ監督は、ここで解任となりました。後任は、2017-18シーズンにビリッチ監督の後を継いで残留に成功したデヴィッド・モイーズ。当時はプレミアリーグ27試合で8勝9分10敗とまずまずの戦績を残していた指揮官は、ペジェグリーニ監督と同様に苦しみました。2勝めを挙げるまでに2ヵ月を要し、35節までのプレミアリーグ16試合は3勝3分10敗。高さを期待されていたセバスチャン・アレの不振、ジャック・ウィルシャーの長期離脱、フェリペ・アンデルソン、ヤルモレンコ、ランシーニ、マイケル・アントニオの度重なる負傷で攻撃に秩序を欠き、ヴィラ、ボーンマス、ワトフォードとの苦しいバトルが続きました。

36節のワトフォード戦は、残留と降格の別れ道となる裏天王山です。ホームのハマーズがこの試合を落とせば、次節はマンチェスター・ユナイテッド、最終節はアストン・ヴィラとの直接対決。勝ち点34で並ぶワトフォードも、マンチェスター・シティとアーセナルを残しており、負ければボーンマスやヴィラに捲られる可能性が高まります。マイケル・アントニオ、ソーチェク、フォルナルス、ボーウェンといった前線の顔ぶれは、現在のハマーズのベストメンバー。ユース上がりの右SBベン・ジョンソンは、これがプレミアリーグ2試合めという大抜擢です。

ロングボールの蹴り合いで決戦がスタート。キックオフからから18秒後、ドーソンのキックをラインの裏で収めようとしたイスマイラ・サールが枠に打てていれば、結果は変わっていたかもしれません。ひたすらサイドに縦パスを通していたハマーズは、5分にベン・ジョンソンが縦を諦め、脇に預けようとしたパスをカットされます。蹴り出そうとしたマシナに詰めたボーウェンがMVP。こぼれ球を拾ったソーチェクがフォルナルスに流し、ラストパスがカバセレに当たってボックス左に転がると、先着したマイケル・アントニオの左足シュートがGKフォスターの足元を抜きました。

ノリッジ戦で4ゴールのマイケル・アントニオは、再開後のプレミアリーグで7戦7発の得点王。イスマイラ・サールとディーニー、ウェルベックの速攻でゴールを奪おうとしていたアウェイチームにとって、難しい展開となりました。9分には、トム・クレヴァリーにイエローカード。直後、ベン・ジョンソンが右サイドのボーウェンにパスを入れ、17番が切り返しからファーに浮かすと、飛び込んだソーチェクのヘッドがゴール左に突き刺さりました。1月にスラヴィア・プラハからローン移籍した25歳のMFも、再開後の6戦で4ゴールと絶好調。ハマーズは、たった10分で地獄からの脱出ルートを開拓しました。

36分にとどめを刺したのは、デクラン・ライス。左から放った美しいミドルは、フォスターが左足を1歩踏み出しただけで腰から崩れ落ちた完璧な1発でした。危険度の低いエリアではワトフォードに持たせ、デクラン・ライス、ソーチェク、ディオプ、オグボンナで中央を固めるハマーズは、うまく時間を遣えれば、プレミアリーグ残留に辿り着きます。後半開始直後の49分、ボックス左をドリブルで崩したドゥクレのシュートが右のポストを叩き、走り込んだディーニーがゴール右に決めますが、あまりにも重い2点のビハインド。オンターゲット3本に留まったアウェイチームに、逆転は望むべくもありませんでした。

「前半は素晴らしいパフォーマンス。後半は守備に追われた」と語ったモイーズ監督に対し、「後半は改善したが、前半のわれわれのチームには観光客がいた」と、集中力の欠如を悔やんだナイジェル・ピアソン監督。カバセレやフェメニアが目覚める前に2発叩き込んだ好調コンビと、チャンスの起点となったボーウェンをほめるべきでしょう。闘将ノーブルの公式戦500試合出場というメモリアルゲームは、苦しんできたクラブにとって、忘れられない一戦となりました。数字上は、降格の可能性は残っているのですが、「ハマーズは来季もプレミアリーグで戦う」といい切っていいでしょう。次節、自らがマンチェスター・ユナイテッドから勝ち点をゲットするか、アーセナルとセインツがヴィラとボーンマスに負けなければ残留確定です。(マイケル・アントニオ 写真著作者/Steindy )


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