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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【MAN.CITY×Wolves】圧巻ヒメネス!マン・シティの急造CBコンビを翻弄した4つの決定機!

トッテナムがブライトンに完敗し、マンチェスター・ユナイテッドはニューカッスルに1-0と沈黙。ビッグ6がプレミアリーグで下位に沈むクラブに続々と敗れた波乱の週末でしたが、最大のアップセットを披露したのはマンチェスター・シティを0-2で下したウルヴスでした。昨季プレミアリーグで、ビッグ6相手に4勝4分4敗と互角に渡り合った曲者ですが、1月のエティハドでは3-0であっさり負けています。7節まで1勝4分2敗と不振の今季、プレミアリーグ連覇の絶対王者をクリーンシートで屠るというサプライズは想像できませんでした。

GKエデルソン、DFカイル・ウォーカー、フェルナンジーニョ、オタメンディ、ジョアン・カンセロ。MFロドリ、ダヴィド・シルヴァ、ギュンドアン、FWマフレズ、アグエロ、スターリング。本職のCBがオタメンディしかおらず、デブライネは負傷欠場だったとはいえ、苦戦すると予想する向きすら少なかったのではないでしょうか。3分にさっそくスターリングが左サイドに飛び出し、緩いグラウンダーを入れたシーンは、マフレズが強引にニアに入っていればビッグチャンスでした。

攻撃力は申し分ないマン・シティですが、オタメンディの判断が不安だと確認させられたのは5分のカウンターでした。ハーフライン付近で、クトローネを見ておくべきだった30番は、ヒメネスにつられて上がった裏にスルーパスを通されてしまいます。ACミランから来たアタッカーが、シュートをミスしてくれて助かりましたが、終盤の失点につながる伏線とでもいうような危険なシーンでした。

ウルヴスの守備はしっかり組織されており、「サイドで数的優位を築かせない」「中央にスペースを創らない」という2点が徹底されていました。18分にジョアン・カンセロのクロスをボリがヘッドでクリアし、こぼれ球がダヴィド・シルヴァの前に落ちたときは失点を覚悟したのですが、コーディが頭に当てて事なきをえました。直後、ヒメネスが単独で持ち込んだカウンターは、オタメンディがかわされるも、フェルナンジーニョが間に合ってシュートをカット。後半はここにアダマ・トラオレが加勢し、マン・シティのCBの対応を難しくします。

21分、またもヒメネス。フェルナンジーニョをかわしてドリブルで進んだストライカーがエデルソンと1対1になると、追いついたブラジル人が背後から体をぶつけて9番は転倒。GKともつれた瞬間、ウルヴスの選手たち一斉にレフェリーを見ますが、ホイッスルは鳴りません。ヒメネスは27分にも右サイドでカンセロを抜き去り、ヴィナグレにラストパスを通しますが、左足のフィニッシュにタッチしたクトローネが右のポストの外に出してしまい、エデルソンを助ける格好となりました。

ヒメネスに悩まされながらも、圧倒的にボールを支配していたマン・シティ。33分にスターリングが右隅を狙ったコントロールショットを放つと、ルイ・パトリシオがダイビングで左に弾き出します。サイドからのクロスが決まらず、ミドルレンジからのシュートはポルトガル代表GKの冷静な対応に阻まれます。44分にカイル・ウォーカーがクロスに打った強烈なミドルも、ルイ・パトリシオが来るのがわかっていたかのように右に反応してキャッチしました。

0-0で終わったハーフタイムに、サイドで機能するパサーを求めたペップは、カイル・ウォーカーを下げてジンチェンコを投入。ウルヴスは全員が自陣に引いている時間が長いのですが、ヒメネスとクトローネは深追いせずにCBの前に並んでおり、「8人で守って2人で攻める」姿勢を鮮明にしています。60分、マフレズに代わってベルナルド・シウヴァ。67分にダヴィド・シルヴァがカーブをかけたFKは、クロスバーに当たって大きく跳ね返ってきました。ジンチェンコがファーに浮かしたボールをカンセロがヘッドで中央へ。左SBからの配球は、後半の狙いのひとつだと思われますが、こぼれ球に反応したスターリングの一撃はロドリにヒット。浮いたボールを追ったダヴィド・シルヴァのボレーは、クロスバーの上に消えていきます

68分、クトローネが下がってドハーティ。アダマ・トラオレがより中央でプレイする舞台装置が整いました。75分、ダヴィド・シルヴァと代わったばかりのガブリエウ・ジェズスが縦にスルーパスを通し、カンセロの折り返しをベルナルド・シウヴァがボレーで叩いたシーンはマン・シティのお家芸ともいうべき完璧な形でしたが、アグエロをマークしていたベネットの足に引っかかってしまいました。

ついに均衡が崩れたのは79分。縦パスをインターセプトしたモウティーニョのパスを受けたヒメネスは、ドリブルのコースもラストパスのタイミングも絶妙でした。1発で当たりにいったオタメンディがあっさり抜かれたところで勝負あり。フェルナンジーニョを引き付けた9番が並走していたアダマ・トラオレに流すと、快足ウインガーはエデルソンの脇を抜くだけでした。

0-1となり、攻勢を強めたマン・シティが、とどめを刺されたのは94分。持ちすぎたロドリをモウティーニョが止め、ジョニーがチームの約束通りにセンターサークル付近にいたヒメネスに預けます。アダマ・トラオレが空いているのを見た9番は、右足アウトにかけた完璧なスルーパスをフィード。フェルナンジーニョを振り切ったスペイン人が、この日2点めを右隅に流し込みました。

複数でサイドをケアし、無理に獲りにいかず、中央を固めて出てきたボールを跳ね返す機能的な守備。2度の的確なチェックでゴールのきっかけを作った老獪なモウティーニョ。オタメンディとフェルナンジーニョを翻弄した圧巻ヒメネス。エースのパーフェクトなパスを確実に決めたアダマ・トラオレ。ウルヴスが勝つべくして勝ったというと、大げさでしょうか。「われわれが負けたのは、よく組織され、フィジカルが強く、カウンターが素晴らしい優秀なチームだった」。ペップの敗戦の弁にうなずかされます。これぞウルヴス。彼ららしい最高の勝ち方でした。(ラウル・ヒメネス 写真著作者/Tirado.fj)

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