偏愛的プレミアリーグ見聞録

ミッドウイークのヨーロッパリーグは、キプロスのオモニア・ニコシアに大苦戦。シュート34本、オンターゲット12本を浴びせながら、ゴールシーンは追加タイムのマクトミネイの1発だけでした。週末のプレミアリーグも、オールド・トラフォードだったのですが…。ニューカッスルと戦ったマンチェスター・ユナイテッドは、終盤のチャンスを活かせず、スコアレスドローに終わっています。

出場時間は72分、シュートはたった1本。ドリブルで仕掛けるシーンはなく、パス成功率は58%という低い数字です。打てない、絡めない、仕掛けない。今のクリスティアーノ・ロナウドは、プレミアリーグで18ゴールを決めた昨季とは別人です。

そして彼がいると、ブルーノがシュートレンジに入るシーンが激減します。前線にほしいのは、ラインの裏に飛び出せるスピードスターか、タメを作れるドリブラー、あるいはポストプレーヤーでしょう。

さて、ここからは、ニューカッスル戦を振り返ってまいります。開始2分にサンチョがドリブルで斬り込み、ラストパスのこぼれ球をブルーノが後ろに落として、フレッジが左足でシュート。立ち上がりのマンチェスター・ユナイテッドは、積極的なアタックでゴールに迫っています。

13分にはブルーノがドリブルで上がり、カウンター発動。グラウンダーのこぼれ球を拾ったサンチョのコントロールショットは、惜しくも右に外れました。18分にフレッジが仕掛けた速攻は、右サイドでもらったアントニーがミドルを打ち上げてしまいました。

この日最大のピンチは24分。FKを壁に当てたトリッピアーが中央に浮かすと、ジョエリントンの最初のヘッドはクロスバー、跳ね返ってきたボールをプッシュした2発めは左のポストにヒットしました。ニューカッスルに押され始めたホームチームは、クリアしたボールを収められない時間が続きましたが、38分にようやくチャンスをつかみます。

自陣でクロスをカットした後、ブルーノとサンチョがパス交換でプレスをかいくぐり、キャプテンのロングフィードで25番が左サイドを突破します。ニアに入ってきたのはアントニー。柔らかいスルーパスをもらい、左足を振り抜くと、ポスト際をケアしていたGKポープが足でブロックしました。

ブルーノがミドルをブロックされた41分の波状攻撃は、最後のクロスが通らず。0-0で折り返したゲームは、後半もエリクセンが恋しくなる展開です。カゼミーロはプレミアリーグにフィットし始め、フレッジは積極的に攻めているのですが、単調な攻撃のペースを変えるようなボールがありません。

58分、シーン・ロングスタッフに足を刈られたように見えたサンチョは、PKを取ってもらえず。61分に右から打ったアントニーのシュートは、ポープの正面です。マンチェスター・ユナイテッドのオンターゲットは、彼の2本のみ。シュートの精度も、課題のひとつとなっています。

最大のハイライトは、88分。ブルーノのスルーパスで裏に抜けたラシュフォードが、飛び出したポープをボックス右でかわし、中央にグラウンダーを入れました。ゴール前にいるのは、手が使えないボットマン。フレッジは、枠に入れればOKだったのですが…。右足でタッチしたボールは左に逸れてしまいました。

終了間際の95分、最後のチャンスを演出したのはカゼミーロ。ボックス左手前でサンチョの落としを受けたセントラルMFは、右足アウトの絶妙なクロスをラシュフォードの頭にピタリと合わせました。これはさすがに決まると思ったのですが…！プレミアリーグ8シーズンめで、ヘディングでのゴールが4つしかない10番が左に外し、ホームチームの1ポイントが確定しました。

18分の出場だったラシュフォードは、シュート2本、チャンスクリエイト1回、ドリブル成功2回。今季のセンターは10番とマルシアル、あるいはプレミアリーグデビューから3戦連発のアントニーをまわすのもおもしろそうです。

ロナウドに足りないのは、やはりモチベーションでしょうか。ワールドカップが終わると、冬のトランスファーマーケットがオープンになります。残念な結末となりそうな14ヵ月のプロジェクト。お別れのタイミングは、目前に迫っているのかもしれません。