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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Wolves×Chelsea】徐々に変えるか、一気にいくか…ランパード戦術に感じた、いくつかの不安。

リース・ジェームズ、フォファナ、クリバリ、ククレジャの4バック。前任者が苦心してクオリティを高めた3バックを採用しなかったランパード監督は、どんなフットボールを志向しているのでしょうか。プレミアリーグ30節、ウルヴスVSチェルシー。白いシャツのアウェイチームは、4-3-3で戦うようです。

中盤にコヴァチッチ、エンソ・フェルナンデス、コナー・ギャラガー、前線はスターリング、カイ・ハヴェルツ、ジョアン・フェリックス。2分のリース・ジェームズの高速クロスは誰も触れず、左に流れていきます。徐々にポゼッション率を高めているチェルシー。15分までは、SBに預けてクロスというスタンダードな形しか攻め手がありません。

リース・ジェームズのパスを受けたコナー・ギャラガーが、コヴァチッチとパス交換して右足を振り抜いたのは19分。CKを叩いたフォファナのヘッド以来、久々のシュートシーンでした。チェルシーの新たな布陣は、スターリング、カイ・ハヴェルツ、ジョアン・フェリックスの距離が遠く、カイ・ハヴェルツが単独でプレスをかけているのが気になります。

22分にボックス右からジョアン・ゴメスがドリブルで仕掛けると、ウェズレイ・フォファナが冷静にカット。27分のCKのクリアを叩いたレミナの一撃も、フォファナがブロックしています。しかし32分、ポデンセの左からのアーリークロスをマテウス・クーニャが頭で触り、クリバリが逆サイドにクリアすると、落下点の手前にいたマテウス・ヌネスはフリーでした。

バウンドしたボールを右足で叩いた強烈なボレーは、左のポストの内側に刺さるスーパーショット。スポルティングCPから移籍した新戦力は、プレミアリーグ初ゴールです。久々の4バックで戦うチームに、重くのしかかりそうなビハインド。堅守速攻に徹するウルヴスは、後ろに人数を揃えています。

ホームチームの追加点のチャンスは37分。クリバリとマテウス・クーニャが競り、こぼれ球がボックス左のジエゴ・コスタの前に出ました。1対1で放った左足のシュートは、コースを切ったケパが肩に当ててセーブ。42分のジョアン・フェリックスのミドルは、ジョゼ・サの正面です。前半は1-0。ロペテギ監督にとっては、理想的な展開です。

最も期待感が高かったのは、クリバリの縦のスルーパスでジョアン・フェリックスが抜けた43分のチャンスでしょう。カイ・ハヴェルツに出したグラウンダーはジョゼ・サに捕られたものの、ウイングがボックスのサイドを崩す形を創れれば、決定的なシュートを増やせるはずです。後半の立ち上がりはチェルシーペースですが、戦い方に変化は感じられません。

コナー・ギャラガ―とのワンツーでリース・ジェームズがボックス脇を突破したのは53分。速いクロスにカイ・ハヴェルツが触れれば、同点でした。ジョアン・フェリックス、コヴァチッチ、カイ・ハヴェルツが強引に放ったシュートは、必死にコースを切りにいくウルヴス守備陣にブロックされています。

ランパード監督の最初のカードは、61分にカイ・ハヴェルツをプリシッチ。65分にコナー・ギャラガ―のスルーパスで右から上がったスターリングが、ダイレクトで中央のジョアン・フェリックスに出していれば決定機でした。持ちすぎたのは、11番の外に逃げる動きに戸惑ったからか。ニアで折り返しを受けたコナー・ギャラガーは、トッティ・ゴメスにぶつけてしまいました。

68分にジョアン・フェリックス、スターリング、ククレジャが下がり、オーバメヤン、ムドリク、チルウェル。この先の戦い方も見据えた交代策と受け取ればいいのでしょうか。80分にフォファナが下がり、トレヴォ・チャロバー。ムドリクのドリブル成功は自陣で、プリシッチはことごとくカットされています。

85分にエンソ・フェルナンデスの浮き球がリース・ジェームズに通り、グラウンダーがオーバメヤンの足元に届くと、右足のワンタッチはドーソンにブロックされました。追加タイムに見せ場を作ったのはチルウェル。91分のショートカウンターからのダイレクトショットは打ち上げてしまい、94分のグラウンダーは誰も反応せず、逆サイドに流れていきました。

3戦連続でノーゴール、オンターゲットは1本のみ。ランパード監督は、敗戦スタートとなりました。「ポッター監督の4バックは機能しなかった」としても、「チェルシーは4枚では戦えない」とはいえません。ブルーズのレジェンドは、自らが信じる戦い方で愛するクラブを立て直したいのでしょう。コヴァチッチやコナー・ギャラガー、リース・ジェームズらは、指揮官の意を汲んでよく戦ったと思います。

ただし、いくつか気になることがあります。シーズンの序盤の監督交代なら、システムの変更も素直に受け止められるのですが、終盤の大事な局面で一気にスイッチとなると「時間がかかりそうだけど、大丈夫?」と不安になります。早期に結果を出すなら、なじんでいた布陣を踏襲しつつ部分的に改善を加え、個々のモチベートに徹するほうが近道ではあります。

「指揮官の方法論がフィットしたのは最終節」などということにならなければいいのですが…。

それでも4バックを貫くなら、適材適所の配置と戦術の徹底は必須です。たとえば、プレッシング。カイ・ハヴェルツが前から追っているのに、ジョアン・フェリックスとスターリングが動いていないシーンが目立ちました。前から圧力をかけたいなら、彼らに徹底させるか、よく走るノニ・マドゥエケを抜擢するなどの打ち手が必要です。

そしてもうひとつ、4枚で戦うなら左はチルウェルのほうがベターでしょう。今日の試合でチャンスになったのは、リース・ジェームズとチルウェルがサイドを制したシーンです。彼らを活かすなら、コナー・ギャラガ―にSBとの連携を期待してサイドを託す4-2-3-1も、おもしろいのではないかと思います。

いろいろ考えさせられる試合でしたが、まだ初陣が終わったばかり。ランパード監督が、レアル・マドリード戦でどんな布陣を採用するのかは見てのお楽しみです。クラブからのオファーを意気に感じて、厳しい状況に身を投じた指揮官の奮闘を最後までしっかり見届けましょう。サンティアゴ・ベルナベウでのファーストレグに、世界を驚かせる快挙を期待しています。


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