イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Leicester×West Ham】最後に勝利、しかし及ばず。ドゥクレのスーパーボレーで、レスター降格!

エヴァートンVSボーンマス、レスターVsウェストハム、リーズVSトッテナム。プレミアリーグの最終節は、どのカードをリアルタイムで観ようか、いつも迷ってしまいます。マンチェスター・ユナイテッドのセレモニーや、ラストゲームになるかもしれないグラニト・ジャカも気になるのですが、緊張感あふれる残留争いをディレイにはできませんでした。

勝てば残留が決まるエヴァートン、最も試合がおもしろそうなレスター、ECL出場権を争うスパーズとダブルでチェックできるリーズ…。ここはやはり、気になるチームに肩入れしましょう。岡崎慎司をウォッチしてたら優勝してしまった2015-16シーズンから、ブレンダン・ロジャースのTOP4チャレンジを経て、今季までの大半のゲームを見てきたレスターです。

イヘアナチョ、ハーヴィー・バーンズ、ティーレマンス、ジェームズ・マディソン、デューズバリー=ホール、ソマレ。ディーン・スミス監督は4-2-3-1を選択し、ジェイミー・ヴァーディーとパトソン・ダカはベンチスタートです。おお、エランド・ロードでは、開始早々の2分にハリー・ケインが決めたようです。勝つしかないリーズは、早い時間に追いつけないと苦しくなります。

キングパワーは、レスターが速攻狙いでハマーズは執拗にサイドアタック。14分のイヘアナチョのミドルは、うまくミートせず右に逸れていきます。ハーヴィー・バーンズ、ソマレ、ティーレマンスと左でつながった18分のアタックは、今季限りで契約満了となるベルギー代表の左足ミドルが浮いてしまいました。

21分に左から仕掛けたベンラーマが縦を諦め、ボックス入り口に流すと、走り込んだマイケル・アントニオのダイレクトショットはクロスバー越え。25分にティーレマンスの縦パスが前線のイヘアナチョに入り、落としをもらったハーヴィー・バーンズがナイフ・アゲールの股間を狙いますが、強く蹴れなかったボールはファビアンスキが余裕でキャッチしています。

28分、左から上がったハーヴィー・バーンズがファーにクロスを上げると、ゴールライン際に走ったイヘアナチョがつま先でトラップ。ジェームズ・マディソンとのワンツーから左隅を狙ったシュートは、クロスバーを叩いてゴール裏に抜けていきました。攻め続けていたレスターが先制したのは34分。ハーヴィー・バーンズとイヘアナチョのワンツーは見事でした。

ボックス左に抜けた7番は、GKの出方を冷静に見極め、ファーのサイドネットに流し込みました。テンションが上がるキングパワー、グディソン・パークは未だゴールレス。38分のカウンターは、前線にいたジェームズ・マディソンにイヘアナチョの優しいパスが通るも、左足ミドルはブロックされてCKです。

前半終了間際にペースをスローに落としたレスターは、1-0でハーフタイム。リーズはスパーズにリードされたままで、エヴァートンは0-0です。17位に浮上したレスターは、このポジションをキープできるでしょうか。このまま押し切って、勝てば13位に上がる可能性があるボーンマスの本気を期待するしかありません。

後半の立ち上がりは、ハマーズが優勢。エランド・ロードではペドロ・ポロが追加点をゲットし、サム・アラダイスのチームは絶望的な状況に陥っています。自陣にこもり、クロスをクリアし続けるレスターの守備陣は、セットピースでマークがずれるシーンがあるのが気になります。58分にベンラーマが右隅に打ったコントロールショットは、ポストが跳ね返してくれました。

ホームチームのサポーターが顔を曇らせているのは、グディソン・パークのスコアが動いたという知らせを受けたからでしょう。58分の先制点はドゥクレ。62分にティーレマンスのFKをファエスがヘッドで決め、2-0としたレスターは降格ゾーンに落ちています。69分のショートカウンターで、2人をかわして中央を突破したジェームズ・マディソンはシュートをミスしてしまいました。

69分、ルーカス・パケタのきれいなサイドチェンジがボックス右のボーウェンへ。右足の一撃をGKイヴェルセンにセーブされた20番は、ニアに入ったダニー・イングスに決定的なパスを転がしますが、ハマーズにフィットしていないストライカーは打ち上げてしまいました。

77分にイヘアナチョが下がり、ジェイミー・ヴァーディーが登場。2分後、センターサークルでミスパスを奪われたホームチームは、フォルナルスの単独突破を許し、左からのシュートがニアポストに当たって枠に飛び込んでしまいました。残り時間は10分、レスターは2-1、エヴァートンは1-0。1-3でリードされているリーズが脱落し、一騎打ちとなっています。

「諦めるな、フォクシーズ」と書かれたバナーが掲げられているキングパワー。戦況を見守るサポーターは、敗者の顔をしています。鳴り響くチャントは、悲しい結末が近づいていることを選手たちに悟らせまいとしているかのようです。ハマーズの猛攻は実らず、2-1のままタイムアップ。青いシャツを纏った選手たちとサポーターは、マージーサイドからの吉報を待っています。

その瞬間の空気を、どう表現すればいいのでしょうか。ピッチにいる男たちは、静かにその結果を受け入れながらも、言葉を失っているように見えました。ドゥクレのスーパーボレーで残留が決まったグディソン・パークは、サポーターがピッチになだれ込んで歓喜に身を浸し、願いが叶わなかったキングパワーはせつない拍手に包まれています。

レスター・シティ、プレミアリーグで10年めの降格。2年前のFAカップを制したクラブは、カスパー・シュマイケルとフォファナの移籍と、前監督と確執が生じたソユンチュのリタイアで守備力がダウンしてしまいました。ティーレマンス、ジェームズ・マディソン、ハーヴィー・バーンズら主力は夏にチームを離れるでしょう。1年でのトップリーグ復帰は、難しいかもしれません。

リーズもあえなく降格。ジェシー・マーシュの後を継いだハビ・グラシアが3勝3分6敗と振るわず、最後の4試合をまかされたサム・アラダイスは1分3敗に終わりました。何とか残ったエヴァートンは、10月にFFP違反による処分が下される可能性があり、引き続き降格を怖れる日々を過ごすことになりそうです。

プレミアリーグ2022-23シーズンが幕を閉じました。アーセナルとニューカッスルの躍進、リヴァプールとトッテナムの停滞、チェルシーのクラッシュ、そしてレスター…。下位クラブでもインターナショナルクラスを獲得できるリーグは、ひとたび補強をしくじれば、一気に突き落とされる厳しい環境になっています。心の動かし方を忘れてしまったかのようなジェームズ・マディソンの表情が、今もなお頭から離れません。(ハーヴィー・バーンズ 写真著作者/Barry Marsh)


おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


“【Leicester×West Ham】最後に勝利、しかし及ばず。ドゥクレのスーパーボレーで、レスター降格!” への1件のコメント

  1. アイク より:

    手に汗握る記事をありがとうございました。
    ショッキングなシーズンを締め括る悲しいドラマになりました。
    優勝メンバーのその後の明暗は常に気になります。当時MVPのカンテとマフレズはステップアップに成功し、一方ヴァーディは自身をスターに変えたレスターと運命をともにすることになりましたね。今でこそ衰えを感じますが、BIG6キラーとして上位チームを突き上げていた時期、他所から声がかからなかったとは考えにくく、自分の意思でレスターに残ったと思っています。いつかその辺についての本人の思いを聞いてみたいです。
    プレミアでまた観られる日が来るといいですね…

コメントを残す