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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【West Ham×Chelsea】前半にPK失敗、カイセドがPK献上…主導権を握ったチェルシー、まさかの敗戦!

ロベルト・サンチェス、エンクンク、ディサシといった弱点補強の即戦力は全員25歳。カイセド、ラヴィア、ウゴチェク、ニコラス・ジャクソン、マロ・グストはU-22です。20歳前後の選手のなかで、当初からレギュラーとして活躍が期待されているのは、ニコラス・ジャクソンとカイセドのみでしょう。

1月に獲得した6人も、全員U-22。チェルシーの補強が若手にシフトしたのは、個々の将来性や先々を見据えた強化という視点よりも、「長期契約を締結しやすい」「サラリーを抑えられる」といった経済的な理由によるところが大きいのではないでしょうか。ブレイクすれば、パリやスペイン、サウジアラビアに高値で売るという選択肢も生まれます。

この戦略において、原石を磨き上げるのがうまいマウリシオ・ポチェッティーノ監督は、うってつけの人材です。「育てながら勝つ」をミッションとする新指揮官は、どんな戦い方でウェストハムとのダービーに臨むのでしょうか。ロンドンスタジアムで開催されるアウェイゲームのスタメンを見ると、負傷したリース・ジェームズのポジションにはマロ・グストが入っています。

GKロベルト・サンチェス、3バックはディサシ、チアゴ・シウヴァ、コルウィル。WBにマロ・グストとチルウェル、中盤センターにエンソ・フェルナンデスとコナー・ギャラガー。前線は、チュクエメカとスターリングの前にニコラス・ジャクソンという3-4-2-1です。序盤のチェルシーはスローペース。4分にCKを蹴ったのは、ハマーズに加わったばかりのウォード=プラウズです。

ファーでズマが競り勝ち、ヘッドで叩きつけたボールにボーウェンが左足を出すと、GKロベルト・サンチェスが勇敢に距離を詰め、外に弾き出しました。7分のCKも、やはりウォード=プラウズ。3分前と同じコースのボールを頭で合わせたナイフ・アゲールは、見事に左隅に収めました

いきなり先制されたチェルシーは、9分にチャンスを創ります。右のエンソ・フェルナンデスが速い縦パスを通すと、裏に抜けたニコラス・ジャクソンがGKアレオラと交錯して転倒。PKかと思いきや、レフェリーのジャッジはオフサイドです。再三、ボックス右から突破を図るスターリングは、クロスが味方に届きません。

コナー・ギャラガーがミドルシュートを放ったのは21分。アレオラが大きく前に弾くと、胸トラップから打ったニコラス・ジャクソンのボレーは浮いてしまいました。チェルシーの攻撃がスローなのは、前線のもらう動きが足りないからでしょう。24分、エンソ・フェルナンデスのアーリークロスに飛び込んだチルウェルのヘッドは、当たりが薄く左に逸れていきました。

チェルシーが同点に追いついたのは28分。左からワンツーで上がったチルウェルのグラウンダーをズマがクリアすると、ボックス左で拾ったチュクエメカがフェイントでソーチェクをかわし、強烈な一撃をゴール右に叩き込みました。1-1になるとブルーズのラインは上がり、左右からきわどいクロスが入るようになっています。

36分のハマーズのチャンスは、ツォウファルのロングスローから。ソーチェクが競ったボールを足元に収めたルーカス・パケタは、左足のシュートを右のポストに当てました。41分、左からドリブルで仕掛けたのはスターリング。スライディングでカットしようとしたソーチェクの足はボールに触っておらず、ジャッジはPKです。

ブーイングのなかで蹴ったエンソ・フェルナンデスのキックはコースが甘く、右に飛んだアレオラがセーブ。ここが勝負のターニングポイントでした。ハーフタイムは1-1。ポゼッションは21%対79%、シュート数は6対11、オンターゲットは2対3。前半の追加タイムに足を痛め、メディカルスタッフに肩を支えられてピッチを去ったチュクエメカは、ムドリクに後を譲っています。

後半の立ち上がりは激しい競り合いが続き、劣勢のハマーズはロングボールで状況を変えようとしています。50分に裏に抜けたベンラーマはオフサイド。直後、敵陣で奪ったショートカウンターから、ウォード=プラウズが放ったミドルはブロックされています。53分、ディサシのパスをベンラーマが足に当て、こぼれ球を拾ったウォード=プラウズが直接ラインの裏に出しました。

このボールに追いついたのはマイケル・アントニオ。対峙したディサシはコースを切れず、右足の強烈なシュートが左のサイドネットに突き刺さりました。61分、チルウェルに代わってカイセド登場。1分後、左サイドを突破したムドリクがファーに上げると、スターリングとコナー・ギャラガーの連打はブロックされ、フォローしたカイセドは右に外しました。

67分、ニコラス・ジャクソンをスライディングタックルで倒したナイフ・アゲールが、2枚めのイエローで退場。きわどいタックルを必要としない状況でのファールは、判断ミスでしょう。モイーズ監督は、ベンラーマを下げてオグボンナを投入。75分にコナー・ギャラガ―と代わったのは、ノニ・マドゥエケです。

10人対11人になってからのシュート数は、3対3。ポチェッティーノ監督の交代策は機能しませんでした。途中出場のフォルナルスから、ボーウェンにロングフィードが通ったのは79分。左足のきわどいミドルは、ロベルト・サンチェスがセーブしました。ウォード=プラウズがエドソン・アルバレスに後を譲った後、83分にマロ・グストと代わったのはバーストウです。

ムドリクがようやく最初のシュートを打ったのは85分。スターリングのクロスに走り込んだ右足ボレーは、明らかにミスキックでした。前半は、司令塔のエンソ・フェルナンデスがマネジメントするチーム。しかし彼が前に出るようになった終盤は、近くにいる選手の足元に出すボールが激増しました。

91分、カイセドのパスをインターセプトしたフォルナルスがボックス左に侵入。右足の決定的なシュートは、ロベルト・サンチェスが足でブロックしました。92分に右からカットインしたノニ・マドゥエケのミドルは、ソーチェクに当たって右隅を襲いますが、アレオラが信じられない反応で外に掻き出し、チームを救いました。

自らのパスミスで招いたピンチを、ブライトン時代にチームメイトだったロベルト・サンチェスに消してもらったカイセドは、94分にエメルソンを倒してPKを与えてしまいました。ルーカス・パケタが冷静に決めて3-1。ロンドンスタジアムに、ホームチームのサポーターのチャントが鳴り響いています。勝ったのはモイーズ。MVPは、2アシストのウォード=プラウズでしょう。

エンソ・フェルナンデスがPKを失敗し、カイセドはPKを献上。2億2000万ポンドのMFが、敗戦へのルートを切り開いてしまいました。チェルシーの最大の収穫は、スターリングがアグレッシブなプレイを取り戻したこと。彼がゲットしたPKが決まっていれば、逆の結果になっていたかもしれません。

10人の相手を崩せなかったのは、ボックスの両脇を崩す連携が不足しており、クロスやラストパスの精度も低かったからでしょう。高さを武器として中央で競り合える選手がいないので、ゴールライン際を攻め落として速いボールを入れるか、ノニ・マドゥエケのようにボックスの入り口から積極的に打つなどの工夫が必要です。

ポゼッション76%、パス成功率88%という数字は、攻めあぐんだ結果を示しているのだと思います。次節のプレミアリーグはルートン。前線の連動性を高めてパスコースを増やし、エンソ・フェルナンデスやカイセドの縦のボールを合図に一気にスピードUPする気持ちいいアタックを見せていただければと思います。ポチェッティーノ監督の改善策に期待しましょう。


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