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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Crystal Palace×Tottenham】枠内1本で首位キープのスパーズ、冷静なCBコンビと的確な采配に拍手!

フライデーナイト開催のクリスタル・パレスVSトッテナムは、首位に立ったアウェイチームが勝つような内容ではありませんでした。シュート数は13対10、オンターゲットは3対1。1-2の勝利とは思えないスタッツです。開始7分に、オドソンヌ・エドゥアールが右隅に打った決定的な一撃をヴィカーリオが止められなければ、そのまま押し切られていたかもしれません。

スパーズの最初のチャンスは17分。右サイドのクルゼフスキがファーに上げたクロスを、リシャルリソンが頭で折り返すと、ジェームズ・マディソンのボレーはうまく当たらず、浮いてしまいました。夏に加わった10番が左にまわった20分のアタックは、ボックス左手前でパスをもらったリシャルリソンの右足ミドルがニアポストの外を抜けていきました。

前半のチャンスは、この2回のみ。最前線に張るソン・フンミンにボールが出ず、しばしば下がってもらいに来るジェームズ・マディソンは、レルマとシェイク・ドゥクレに抑えられています。ほめられるポイントがあるとすれば、速い対応でカウンターの芽を摘んだファン・デ・フェンと、39分からのCK4連発を冷静にしのいだことぐらいです。

ゲームの流れを変えたかったポステコグルー監督は、ハーフタイムにベン・デイヴィスをエメルソン・ロイヤル。後半もサイドでは優位に立てるものの、クロスはことごとく跳ね返されています。51分、GKサム・ジョンストンに競りかけたジェームズ・マディソンは惜しくも奪えず。スパーズが幸運な先制点を得たのは、この直後でした。

右サイドのペドロ・ポロが、ボックス右に走り込んだパペ・マタル・サールに斜めのパスを通すと、強引なグラウンダーはレルマに当たってニアに浮きました。ジェームズ・マディソンのキックの狙いは、ファーのリシャルリソンだったはずです。中央に入った速いボールに対応したウォードはクリアできず、脛にヒットしたボールがネットを揺らしました。

0-1としてからも、攻めあぐむスパーズ。右のペドロ・ポロ、パペ・マタル・サール、クルゼフスキのパスワークはまずまずですが、左サイドは機能していません。ポステコグルー監督は、64分にリシャルリソンとイヴ・ビスマを諦め、ブレナン・ジョンソンとホイビュルクを投入。この采配が当たったのは、66分でした。

パペ・マタル・サールのサイドチェンジが左サイドのブレナン・ジョンソンへ。ヘッドで縦に送った22番はボックス左にスプリントし、サイドに出たジェームズ・マディソンにパスを要求しています。右足アウトで転がしたボールは完璧なタイミング。フリーになったブレナン・ジョンソンは、ニアでエースが空いているのに気づきました。

折り返しを受けたソン・フンミンが、左足で冷静にプッシュ。今季プレミアリーグ8発めは、この試合で唯一のオンターゲットです。クリスタル・パレスにとって、0-2は絶望的なスコア。むやみにラインを上げないファン・デ・フェンとロメロは、ビルドアップも丁寧で、リスキーなパスで前進を急ぐシーンはありません。

右サイドのペドロ・ポロが上がると、「偽MF」のパペ・マタル・サールはSBのように背後をカバーしています。CK以外に希望がないホームチーム。89分にクルゼフスキとジェームズ・マディソンが下がり、ブライアン・ヒルとベンタンクールがピッチに入りました。2月に前十字靭帯損傷という重傷を負ったベンタンクールは、8ヵ月ぶりのプレミアリーグです。

クリスタル・パレスが1点を返したのは94分。ヨアキム・アンデルセンが右からクロスを上げると、ペドロ・ポロが頭上を越されてしまい、落ち着いて胸でトラップしたジョルダン・アイェウがゴール右に蹴り込みました。縦の浮き球をマテタが頭で左に送ったのは102分。フランセのボレーが左に外れると、間もなくタイムアップの笛が鳴り響きました。

ブレナン・ジョンソン投入という采配が的中したゴールシーン以外、決定的なシュートがなかったプレミアリーグ首位チームは、最終ラインを安定させた3人をリスペクトするべきでしょう。ロメロのパス成功141本は、プレミアリーグにおけるスパーズのレコード。先読みに長けたファン・デ・フェンも、97本中96本のパスを味方に通しています。

ペドロ・ポロの攻撃力を活かすために、右サイドのバランスを取り続けたパペ・マタル・サールも安定感抜群。ポステコグルーのコンセプトを体現した後方の選手たちと、左サイドの活性化という期待に応えたブレナン・ジョンソンが印象的な勝利でした。出せるスペースがなく苦しんだジェームズ・マディソンも、2つのゴールのトリガーとなっています。

プレミアリーグ開幕前の優勝予想のオッズは50倍だったスパーズは、8勝2分という予想外の快進撃。ジェームズ・マディソン、ファン・デ・フェン、ヴィカーリオという大当たりの新戦力、イヴ・ビスマ&パペ・マタル・サールの抜擢、ソン・フンミンのCFコンバートといったあたりが躍進の原動力でしょう。

彼らの懸念は、キーマンが不在のゲームでクオリティをキープできるかどうか。中盤センターは5枚でまわせるとしても、ソン・フンミン、ジェームズ・マディソン、ファン・デ・フェン、ロメロ、ヴィカーリオという背骨が1枚でもはがれれば、一気に苦しくなりそうです。ポステコグルーのチームは、どこまで走るのか。次節はチェルシーとのロンドンダービーです。


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