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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Arsenal×Chelsea】なぜムドリクを…?サイドを制圧したアーセナル、チェルシーに5発圧勝!

74ポイントで暫定首位に立つアーセナルに対して、チェルシーは47ポイントで9位。プレミアリーグ29節の延期試合、エミレーツで開催されるロンドンダービーに、対照的なシーズンを過ごしている2チームが姿を見せています。スタンフォード・ブリッジでは、2-0からアーセナルが追いついて2-2ドロー。優勝を争うホームチームにとっては、負けられない一戦です。

アルテタ監督は、冨安健洋とトーマスを先発させています。GKラヤ、DFベン・ホワイト、サリバ、ガブリエウ、冨安健洋、MFトーマス、デクラン・ライス、ウーデゴーア、FWサカ、カイ・ハヴェルツ、トロサール。ベンチにはガブリエウ・ジェズス、マルティネッリ、ファビオ・ヴィエイラ、スミス・ロウが控えており、ここぞというシーンで投入されるはずです。

対するチェルシーは、コール・パルマーとマロ・グストを欠く厳しい布陣です。GKペトロヴィッチ、DFギルクリスト、ディサシ、バディアシル、ククレジャ、中盤センターにカイセドとエンソ・フェルナンデス、2列めはノニ・マドゥエケ、コナー・ギャラガー、ムドリク、前線にニコラス・ジャクソン。開始4分、いきなりアーセナルが先制ゴールをゲットしました。

トーマスからパスを受けたデクラン・ライスが、ボックス手前に持ち込んで外に転がすと、トロサールの鋭いシュートがニアポストすれすれを抜きました。今や最も頼れるアタッカーとなった19番は、今季プレミアリーグで10ゴール。なおも攻めるアーセナルは、ウーデゴーアが右に展開した8分にも、きわどいシーンを創っています。

サカの縦パスに走り込み、ボックス右でフリーになったベン・ホワイトのグラウンダーは、カイ・ハヴェルツに届かず。トーマスが敵陣でカットし、ウーデゴーアにつながった10分のショートカウンターは、ゴール前に持ち込んだカイ・ハヴェルツが、ラストパスをカイセドにカットされました。直後のトーマスのミドルは、バディアシルが体に当てています。

チェルシーの守備は、サカとベン・ホワイトに対してククレジャがひとりになるシーンがあるのが気になります。15分のショートコーナーから、左にまわったウーデゴーアがファーに浮かすと、冨安健洋はヘディングを打ち上げてしまいました。18分のサカのバックパスミスに、どよめくエミレーツ。ムドリクの速いCKに足を出したディアシは枠に収められず、悔しがっています。

22分、カットインから3人をかわしたサカのシュートは、ククレジャが必死に着いてブロック。左にまわったボールがボックス手前のデクラン・ライスに渡ると、強烈なフィニッシュはクロスバーぎりぎりを抜けていきました。縦パスをインターセプトした冨安健洋が上がったのは23分。カイ・ハヴェルツをポストに使ったSBは、最初の折り返しをウーデゴーアに通しました。

キャプテンは打てず、冨安に戻すと、ゴール前に入ったきわどいボールにサカは触るのが精一杯。直後、左サイドでサリバをかわしたニコラス・ジャクソンは、折り返しをガブリエウにカットされました。26分に右サイドで奪ったベン・ホワイトは、迷わず中央のカイ・ハヴェルツへ。左足のシュートは、左に飛んだペトロヴィッチが外に弾き出しています。

立て直したかったチェルシーは、左サイドからの縦のフィードをベン・ホワイトにカットされ、サカの高速グラウンダーが中央のトロサールに通ります。シュートはディサシに当たり、オウンゴールかと思いきや、ペトロヴィッチが何とか体で弾き飛ばして失点を回避しました。猛攻をしのいだチェルシーが決定機を創ったのは、29分です。

ワンツーから冨安をかわしたノニ・マドゥエケがファーに転がすと、ククレジャがフリー。左足のシュートはベン・ホワイトがブロックし、拾ったSBが中央に送ると、エンソ・フェルナンデスのダイレクトショットは左のポストの脇に外れました。奪われた後、寄せが速いガナーズに対してブルーズは速攻を仕掛けられず、外にまわしている間に4-4-2の守備網が完成しています。

43分、サカを後ろから倒したククレジャにイエローカード。前半のポゼッションはチェルシーが57%ですが、シュート数は13対5、オンターゲットは3対0でアーセナルが優勢です。後半開始からしばらくはチェルシーの時間でしたが、49分にデクラン・ライスが敵陣でパスをカットし、右から上がって8番にリターンをもらいました。

強烈なシュートは、ニアを締めていたペトロヴィッチがビッグセーブ。51分にウーデゴーアの超絶スルーパスで右から抜けたカイ・ハヴェルツも、好調の守護神にコースを切られました。直後のショートコーナーから、サカが流したボールをデクラン・ライスがダイレクトで叩くと、ディサシが触ったボールがベン・ホワイトの足元に入ります。

冷静だったSBの左足シュートが決まって2-0。今日のアーセナルから3発は、厳しいミッションです。57分、ガブリエウがノニ・マドゥエケをつぶしてカウンターが発動。左にいたウーデゴーアが、センターサークルの手前から出した長いスルーパスは完璧でした。ククレジャを腕で押さえてゴール前に出たカイ・ハヴェルツは、GKの動きを見てゴールの上に突き刺しました。

60分のトロサールの単独突破を止められた後、サイドに出たボールを冨安がインターセプト。ファーでクロスを受けたカイ・ハヴェルツが後ろに送ると、ウーデゴーアとトーマスの連打はいずれもブロックされました。4点めは65分、トーマスが右に展開し、カットインしたサカが中のカイ・ハヴェルツに優しいパス。右のポストに当てたシュートに、GKは動けませんでした。

ポチェッティーノ監督は、何もできなかったムドリクとエンソ・フェルナンデスを66分に下げ、スターリングとトレヴォ・チャロバーを投入。右サイドでキープしたサカがウーデゴーアに預け、絶妙な浮き球に走り込んだベン・ホワイトがフリー…70分の右サイドからのアタックは、今季のアーセナルの定番となった崩し方です。

いつもと違ったのは、精度の高いクロスを入れられるベン・ホワイトのミスキックと、それが左のサイドネットに収まったことでした。両手を広げるデクラン・ライスに駆け寄ったSBは困惑の表情で、集まったチームメイトにいじられているようです。5-0となったエミレーツは、弛緩した空気が漂っています。

72分にカイ・ハヴェルツ、トロサール、トーマス、冨安健洋が下がり、ジェズス、マルティネッリ、ジョルジーニョ、ジンチェンコ。アルテタ監督の4枚代えは、勝ちましたよと宣言するかのようです。82分にサカと代わったファビオ・ヴィエイラとマルティネッリが3本を積み上げ、シュート数は27対7。オンターゲットは10対1で、アーセナルは文句なしの圧勝です。

シンプルで直線的な左サイドと、緻密でロジカルな右サイド。アーセナルが十全に強みを発揮し、予想外の大差でロンドンのライバルを沈黙させました。ターニングポイントは、ハーフタイムだったのではないでしょうか。守備でまったく機能していなかったムドリクを、早期に外さなかったポチェッティーノ采配が、後半のゴールラッシュを手伝ってしまった感があります。

中盤で唯一、戦う姿勢を見せていたコナー・ギャラガ―を左にまわしてでも、サカ、ウーデゴーア、ベン・ホワイトの連携を止めにいくべきでしょう。経験値が低いギルクリストは、トロサールと冨安に制圧され、デュエルで劣勢だったエンソ・フェルナンデスは反撃の起点という役割を果たせずに終わっています。4-0となってからのチェンジは、あまりにも遅すぎました。

GKに考える暇を与えず、ニアを射抜いたトロサールはさすがのひとこと。冨安健洋は攻撃における貢献度が高く、ワンツーでノニ・マドゥエケに裏を取られたシーン以外は納得の出来でした。トーマス、デクラン・ライス、ウーデゴーアの中盤は、どこからでも前線を動かせるのが魅力です。トーマスとジョルジーニョが残ってくれれば、来季も中盤センターは盤石でしょう。

アーセナルの次戦は、ノースロンドンダービー。ニューカッスルに4-0で敗れたばかりのポステコグルー監督に、サカ、ウーデゴーア、ベン・ホワイトのサイドを封じる策はあるのでしょうか。アルテタ監督のチームが勝てば、「アウェイの直接対決で勝った日が、トッテリンガムデー」なんですね…。私の注目ポイントは、スパーズの左サイドの守り方です。楽しみですね!


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