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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

2014-15シーズン現地観戦記~(7)チャント高らかスウォンジー!マスコットはサッカー界No.1⁉

「偏愛的プレミアリーグ見聞録」特派員現地観戦レポート第7弾。今回は、よほどのスウォンジーファン、ウェールズ周遊の「ついで観戦」、あるいは偶然アウェイゲームのチケットが取れたなどということでもない限り足が伸びないであろう、リバティ・スタジアム。リヴァプールとの一戦はシブイ試合でしたが、スタジアムの雰囲気はほっこりしており、これもまたプレミアリーグのベースにあるひとつのカルチャーなんだなと、あらためて思いました。アーセナルサポーターの特派員は、スウォンジー持ちで観ていたようですが…では、どうぞ!

Bathを車で出発すると、市内は何となく渋滞気味。それを何とか脱出して、高速道路M4で西に進むと、Cadiffの手前のNew Portあたりでまた渋滞が始まってしまいました。車通勤の帰宅時間帯に当たってしまったのでしょうか。ウェールズの高速道路では、すべての標識で英語のほかにウェールズ語が併記されていて、読まなくていいんだけどそれが目に入るだけで集中力をそがれ、ますます落ち着かない気分になります。しかし何とかその渋滞も通り抜け、googleナビの予測によると到着予定は19時15分ごろ。あとはうまく駐車場に入れられさえすれば……最後までドキドキです。

リバティスタジアムには、目の前に大きな駐車場があると聞いていましたが、スウォンジの公式サイトによるとそこに停められるのは事前にシーズン契約をしている一部の車だけ。その他の車は、少し離れた駐車場(価格は£6)に停めてPark and RideかPark and Walkを使うことになります。ちなみに今回は使いませんでしたが、電車を利用した場合は、駅近くからバス利用で7分とのこと。こちらのページからリンクされている”Traveline Cymru”からは、どのバス停から何番のバスに乗るか、地図付きで事細かに知ることができ、初めてでも非常に安心感があります。バー○ンガムとは大違いだ……。

高速道路でスタジアムに近づくと、Park and Ride式駐車場向けの出口(高速出口からはこちらが近いので、車でスタジアムに行くだけならおそらくこちらが便利)の道路標識が出始めますが、筆者はスタジアム周辺を少し歩いてみたかったので、敢えて高速の出口からは遠いPark and Walk式駐車場を選択。標識に出るのよりは1つ手前の出口から出てみました。

オールドトラフォードのときと違って駐車場の場所も分かっているし、あとは余裕!と思いきや、こちらでは駐車場手前からかなりの渋滞につかまる羽目に。マンチェスターと比べるとずっと小さな地方都市スウォンジ、片道1車線の道路はマッチデー向けのキャパシティには欠けるようです。「田舎だから大丈夫だろう」というのは甘かったですね。

それでも19時20分ごろには何とか駐車場に到着。少し離れたところにスタジアムが見えるので、何となくそちらの方向に向かって歩いていくと、10分足らずでスタジアムです。途中よく揺れる吊り橋を通り過ぎたりするのはさすが港町。周囲に囲いがあるわけでもなく、道路の脇に突然スタジアムが建っている様子は、ちょっとサウサンプトンのセントメアリーズを思い出させる田舎風な作りです。

常設の売店はもちろん露店も少ないので、試合前にいろいろ見て回る楽しみは少なそう。ただし売店のホットココアはちょっと安い。ほかは£2.2だったけどここでは£2です。そして、スタジアムの中の雰囲気は最高でした!

今回の席は、メインスタンドややコーナー寄りのほぼ最上段。ギリギリの到着だったので、席に着くとすぐに選手の入場となりました。そこで流れるプレミアリーグアンセムの実によく響くこと!もう何度も試合開始前のこの曲を聴いているはずなのに、あまりの響きの美しさに改めて現地観戦の喜びが込み上げてきて、何だか涙が出そうになりました。間に合ってよかった!(笑)当然チャントも双方非常によく響きます。アウェイ席がかなり多そうなせいもあってか、対戦相手のリバプールサポの独特の歌が大きく響けば、負けじとスウォンジーの太鼓まじりのチャントがメインスタンドから堂々と響きます。

とはいえアッパーということもあってか、比較的おとなしい筆者の席の周りには、オールドファンと思しきおじいちゃんおばあちゃんがいっぱい。そういえばここまで来る間にも、マッチデープログラムを売っていたのはいかにも親切そうなおばあちゃんだったし、Turnstileで「ペットボトルはダメなんだ。捨てるか飲んじゃうかしてね」と生真面目に説明してくれたのもおじいちゃんでした。なんでしょうこのホンワカした雰囲気

サッカー=若年~壮年男子がメイン層というのは事実そうなのかもしれないけれど、こういう世界もあるのだなあとしみじみ感じます。しかし試合中となるとそのおばあちゃんが、もたつくプレーに“Don’t stop!!!”と怒鳴りつけるなどなかなかのもの。いいねこの雰囲気!地方の小クラブならではの、これもまたプレミアリーグの一つの表情なのでしょう。

前半はイマイチ攻めて来ないリヴァプールに対し、スウォンジーが押せ押せという雰囲気。古巣対戦で実力的にも頭一つ抜けた感のあるシェルヴィ(マッチデープログラムの表紙は当然この人)と、1月には移籍の噂もあったゴミスが試合を引っ張る形です。しかしなかなか得点にはつながらず。目の前に元アーセナルのGK、ファビアンスキがいたこともあってバシバシ写真を撮っていたので、ハーフタイムに入った瞬間、隣の奥様連れのおじいちゃんに「いい写真撮れた?」と話しかけられました。

「どこから来たの?」と聞かれてJapanと言ってもピンときていなそうだったのに、Tokyoと言うと「へえ!」みたいなリアクションだったのはちょっと意外。そんなに日本人がここで独りで試合を観ているのが不思議だったのか、「スウォンジーに住んでいるの?」とも聞かれました。そうだよなあ、在住でもなければ、こうしてリバティスタジアムのホーム席に座り、スウォンジーがチャンスを逃すたびに残念がる日本人はいないのかもしれません。(本当はリーグテーブル上リヴァプールに勝ってほしくないだけとは言えない)

後半、ファールの多い何だか荒っぽい展開になってきたところでリヴァプールはジェラードを投入。最近は出場機会も少なく、正直この人の姿を生観戦で見る機会はないかもなあと思っていたのでこれはラッキーでした。

驚いたのは、彼がピッチに入った瞬間、キャプテンマークまで彼に渡ったこと。たとえばアーセナルでは、キャプテン=アルテタ、副キャプテン=メルテザッカーですが、アルテタが途中交代で出てきたとしても、キャプテンマークがメルテザッカーからアルテタに移ることはない……はず。投入と同時にキャプテンマークまで移るなんて、ジェラードの存在の大きさを改めて感じます。前半、ジェラードがアップに出た瞬間彼のチャントが響き渡った(そしてそのチャントを、アーセナルファンの私ですら知っている)ことともあわせて、この人がいなくなる来季、リヴァプールはどうなるんだろうなあと思わずにはいられませんでした。

そうこうするうちにリヴァプールが本領を発揮し始めた、というかスウォンジーの勢いが止まってしまったようで、たった1つのラッキーゴール(と筆者の場所からは見えた)で試合は決まってしまいました。終了後、隣のおじいさんに筆者が思わず、「前半はいい試合だったのにね」と話しかけると、”First half,yeah. We should have scored in the first half.”という返事。その”We”がまた何だか素敵なんだよね。最後に「スウォンジーを楽しんで」と言ってくれたその方のおかげで、ますますこのスタジアムに愛着がわく思いがしたものです。

さて、スタジアムの雰囲気の素晴らしさを語りすぎて大事なことを忘れていましたが、このスタジアムといえばマスコットの”Cyril the Swan”、(筆者の中での)通称シリル君です。席に着くのが遅かったので試合前はチェックできませんでしたが、ハーフタイムにチビッ子のキックターゲット風お遊びに登場した姿を激写いたしました!サポーターがPK風にゴールを狙うこの手のお遊びはほかのスタジアムでもよく見られ、その際マスコットは賑やかしに現れるだけの場合もありますが、自らGKを務めるケースも(アーセナルのガナザウルスはGKをやります)。シリル君は後者なんですが、その動きの何ともやる気なさげなこと!というか、こう下を向いていてはどうしたってやる気ありそうに見えません。何というかこう、微妙極まりない姿のシリル君ですが、以前は、腿から下はレガースをつけた普通の人間の脚というもっと凄いいでたちだったことを考えると、ずいぶん洗練されたといえるのかもしれません。背番号は1。よく見るとそのわきに小さな文字で、no.「1」Mascotと書いてあります。”Cyril the swan,NO.1 football mascot”…そこまで言われると何だかいろいろ許しちゃうよ。Lovely Swansea,Lovely Premier League!

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