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プレミアリーグ脱出は正解!最終戦で1ゴール2アシストの香川真司、いざカップ戦ファイナルへ!

プレミアリーグより1日早く全日程を終了したブンデスリーガより、日本人選手の爽快なニュースが入ってきました。香川真司は、マンチェスター・ユナイテッドを離れて正解でした。 いや、むしろ、こういう表現のほうが適切かもしれません。「香川真司を復活に導けたクラブは、ドルトムントだけだった」。2014-15シーズンの開幕前に香川真司をマタの控えと既に見切っていたファン・ハール監督の下では、トップフォームに戻ったとしてもスタメン出場はなかったでしょう。それどころか、ディ・マリア、ファン・ペルシ、ファルカオらがベンチにいる時間が長かったチームでは、遠征に帯同させてもらえなかったかもしれません。自分の適性を活かしてもらえるポジションすらなかったチームを離れる決断をした日本代表MFは、2年ぶりにドルトムントに帰還。9月13日のフライブルクとの復帰戦でさっそくゴールを決め、クロップ監督のサッカーなら当然のようにトップ下でゴールを量産するものと思われました。

しかし、ここからがひどかった!ドルトムントも、香川真司も自らのストロングポイントをすっかり忘れて泥沼にはまってしまいました。香川の不調の2大要因は、レヴェンドフスキがいなくなっていたことと、自らのメンタルコンディションの悪さだったのではないでしょうか。プレミアリーグにチャレンジする前の香川真司は、強引なシュートが多いながらも前線でタメが作れて周囲が使えるレヴァンドフスキがいたからこそ、自信を持ってゴール前に飛び出していたのだと思います。今季、序盤戦で前線にいたアドリアン・ラモスやインモービレは、縦を急ぎ過ぎてつぶされることが多く、香川が上がってきたときには既に相手にボールが渡っているシーンが目立ちました。

前で待っていてもボールが来ないため、下がってつなぎに入ると、この動きを狙われてボールロストする場面が増え、香川真司の評価は日を追うごとに下降します。いいプレイができていないという自信のなさは、ただでさえ少なかったゴール前でのチャンスで冷静さを奪い、決定機にシュートを外してサポーターのため息を誘います。前線の弱体化に加え、負傷者だらけだった守備陣の不安定さも手伝い、チャンピオンズリーグでは強かったドルトムントはまさかの最下位まで経験することになりました。

プレミアリーグでもブンデスリーガでも、他のクラブであれば、香川真司の出番はなくなっていたでしょう。ところが、クロップ監督は香川への信頼を失うことなく、我慢して使ってくれました。終盤戦の3ゴールは、待ってくれた指揮官のおかげ。相変わらず好不調の波は激しく、悪いときはまったく何もできずに終わる課題は残るものの、ようやく彼は自分のスタイルを取り戻したのではないかと思います。オーバメアンがトップに固定されてゴールを量産し始めたのが大きいですね。今の形になってからは、香川がチャンスに絡むシーンが確実に増えています。最終戦の1ゴール2アシストは見事。左足のゴールシーンよりも、軽いタッチのダイレクトパスでオーバメアンを走らせて決めさせたアシストのほうに香川らしさが出ていました。

かくして、ドルトムントは7位フィニッシュ。ヨーロッパリーグ出場権は6位までで、もう1枠はカップ戦の優勝クラブとなりますが、プレミアリーグでいえばFAカップにあたるDFBポカールでドルトムントは決勝進出を果たしており、相手はチャンピオンズリーグ出場権を保持しているヴォルフスブルク。ファイナルで勝てばカップ戦勝者として、負けてもリーグ7位の繰り上げ出場となり、来季の欧州行きを手に入れました。2月に最下位を脱出したクラブが、10チームごぼう抜きでヨーロッパリーグ出場権をゲットするという奇跡的な巻き返し。最後に貢献できた香川は、自らのゴールで国内カップのタイトルを手に入れられれば、納得のいく形でシーズンを終えることができそうです。来季から就任するトゥヘル新監督にどう評価されるのかは未知数ですが、単年で見れば、日本代表の10番のドルトムント復帰は大成功でしょう。

ブンデスリーガ最終日には、清武弘嗣も素晴らしい仕事をしました。12月中旬のアウグスブルク戦以来、16試合勝利なしという泥沼にはまったハノーファー96は、先週、「お得意様」アウグスブルクから貴重なアウェイ勝利を奪うと、勝てば残留というフライブルクとの直接対決を制しました。前半3分に左からのクロスをダイビングヘッドで叩き込んだ清武の今季5ゴールめが、クラブにとって最も重要なゴールだったのは間違いありません。

マンチェスター・ユナイテッドを追われるようにドイツに戻った香川が気になっており、ドルトムントだけはずっと観ていたこともあって、プレミアリーグがなかった昨日はこちらで盛り上がってしまいました。シーズンが終わりましたので、武藤のマインツ入り、クロップ監督の新天地、岡崎慎司のプレミアリーグ移籍話などが再燃します。サポーターがすぐ近くに見えるイングランドのスタジアムで、チャントに背中を押されてゴールを決める岡崎慎司、観たいです…。(香川真司 写真著作者/Ultraslansi)

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“プレミアリーグ脱出は正解!最終戦で1ゴール2アシストの香川真司、いざカップ戦ファイナルへ!” への3件のフィードバック

  1. アスピ(ry より:

    いつもプレミアメインですが、香川選手だけは毎回ハイライトでチェックしていました。シュートも二つのアシストも香川らしく最高の形でシーズンを終えることが出来てみていて感動しました。 

  2. Uボマー より:

    モイーズは何故にサイド起用に拘ったのか…。ファンハールは馬鹿正直な人なので、残っていたらベンチ外になっていたことは間違いないでしょう。ただ怪我人続出の今シーズンを考えると場合によってはユナイテッドでのチャンスがあったかも…という思いはあります。ただ常時トップ下で起用されたからこその今シーズンの結果でしょうし、移籍は互いにとって良い結果になったことは嬉しく思います。来季は好調を持続してほしいですね。

  3. makoto より:

    アスピ(ryさん>
    よかったですよね。空間認識力が高い香川らしいプレイが満載でした。

    Uボマーさん>
    負傷者が多かった時期に、ファン・ハールさんに起用してもらえる機会はあったかもしれませんが、フェライニより評価が高くなることはなかったでしょうね。おっしゃるとおり、お互いハッピーなのだと思います。

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