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意外とイケる!?ビッグ・サムに託されたEU離脱的イングランド代表!

今季のプレミアリーグで指揮を執ると思われていた2人が、同時にクラブを去ることになりました。ひとりはイングランド代表監督就任が発表された元サンダーランド監督のサム・アラダイス。そしてもうひとりは、イングランド代表監督候補だったハル・シティのスティーヴ・ブルースです。前者の話は早晩発表されるものと待ち構えていたのですが、後者にはびっくりしました。オフィシャルには「双方合意のうえ」とだけ伝えられている契約解除は、クラブ売却の話がもつれて新戦力獲得がままならず、下部リーグから2人の選手を連れてきただけのハル・シティに、ブルースさんが不信感を抱いたからといわれています。おそらく、どちらかのクラブでデヴィッド・モイーズさんがプレミアリーグ復帰を果たすのではないかと思います。補強が遅れている両クラブは、監督選びから始めなければならず、厳しいスタートを強いられそうです。

さて、ビッグ・サムです。FAは、サッカーの世界でもEU離脱を図ろうとしているのでしょうか。61歳になったイングランド人の新監督は、ボルトン、ニューカッスル、ブラックバーン、ウェストハム、サンダーランド。選考レースに敗れたブルースさんはウィガン、クリスタル・パレス、バーミンガム、サンダーランド、ハル・シティ。両者とも他国の代表監督はおろか、プレミアリーグのトップクラブを率いた経験すらありません。中盤でイニシアティブをとり、パスをまわして攻めるスタイルを捨てて、クラシックなイングランドサッカーに回帰しようとしているかのような人選。マヌエル・ペジェグリーニやローラン・ブランなど、プレミアリーグを知る外国人監督がフリーだったにも関わらず、直近は噂にもなりませんでした。

「プレミアリーグのサンダーランドで成功した後、アラダイス氏は2年の契約にサインしました。イングランド代表チームを率いるアラダイス監督の最初のゲームは、9月1日にウェンブリーで開催される予定です」(FAの公式声明より)

ビッグ・サムは、初めて率いるワールドクラス揃いのチームを仕切れるのか。2005-06シーズンのUEFAカップのみという乏しい国際大会経験でもロシアで勝てるのか。ロングボールを多用する古典的な戦術でワールドカップを戦えるのか。われわれ外野から見ると、いかにも不安です。地元のファンももちろんブーイング…と思いきや、賛否両論ありながらも賛成派が意外と多いようです。イギリス紙「メトロ」のアンケートでは、75%がアラダイス支持と回答。「FAは、どこから降格しないようにしたいんだ?」と、”ミスター残留”であることを揶揄する声もありますが、「選手の実力の足し算以上にチーム力を向上させてくれる」「美しくないが堅実。勝てるチームを作ってくれる」などといった意見も多いようです。

ラシュフォード、デル・アリ、ロス・バークリー、ジョン・ストーンズ…。10代後半~20代前半の世代にいい選手が出てきているだけに、ボールが中盤の頭上を飛び交うサッカーをしてしまうのはもったいないと思うものの、「2年後のロシアワールドカップでイングランドを上位に持っていく」という短期的な目的には、プレミアリーグ流・弱者のサッカーは悪くないかもしれません。支持層は、ユーロ2016のポルトガルやウェールズの姿とビッグ・サムの戦術をオーバーラップさせているのかもしれません。堅守&サイド攻撃、ときどきカウンターというサッカーをイメージしながら、私なりに「ビッグ・サムあるあるフォーメーション2018」を考えてみました。

あるあるその1(4-3-1-2)
GK/バトランド
DF/ナサニエル・クライン、エリック・ダイアー、スモーリング、クレスウェル
アンカー/ファビアン・デルフ
インサイドMF/ヘンダーソン、デル・アリ
トップ下/ウェイン・ルーニー
FW/ハリー・ケイン、アンディ・キャロル

あるあるその2(4-4-2)
GK/バトランド
DF/カイル・ウォーカー、エリック・ダイアー、スモーリング、ルーク・ショー
MF/デル・アリ、ファビアン・デルフ、スターリング、マイケル・アントニオ
FW/ハリー・ケイン、スタリッジ

セットプレーでCB2枚のヘッドを頼りにすべく、エリック・ダイアーを下げてみました。トップは2枚、中盤はロングボールを出せる選手としつこく守れるタイプ。4-4-2のサイドには縦に勝負にいけるアタッカーを置いてみました。いかがでしょうか。

「イングランド代表監督に任命されたことをとても誇りに思う。私がずっとそれを望んでいたことは隠さないよ。イングランドのサッカー界において絶対的に最高の仕事だ。わが国に、そしてわが代表チームのサポーターに値する成功をおさめるためにベストを尽くすつもりだよ。国全体、そこに住む人々に誇らしく思ってもらいたい」(サム・アラダイス)

ドイツ代表のハイプレスからの速い攻撃や、スペイン、フランスのコレクティブなサッカーなどの欧州最先端に背を向け、後ろを人数で固めつつロングボールをサイドやトップに集めて、ひたすらクロスとポストプレーでアタックするプレミアリーグ中堅クラブ流のサッカーを徹底すれば、意外といいところまでいけるかもしれません。EU離脱を越え、EU解脱ともいうべき超然とした戦術で、欧州の強豪を困らせるイングランドを観てみたい気がしてきました。サム・アラダイス新監督の健闘を祈ります!

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“意外とイケる!?ビッグ・サムに託されたEU離脱的イングランド代表!” への3件のフィードバック

  1. おハム より:

    アラダイスは結果を残しますよ

  2. ぐら より:

    サンダーランドにモイーズだそうですね
    こちらも注目です

  3. makoto より:

    おハムさん>
    代表は、クラブといろいろ違いますからね…。ここぞというところでの胆力も求められますし。楽しみではあります。

    ぐらさん>
    ですね。主要人物続々参集、です。

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