偏愛的プレミアリーグ見聞録

ジョン・マッギン、ドゥグラス・ルイス、ブバカル・カマラ、ユーリ・ティーレマンス、ジェイコブ・ラムジー。プレミアリーグ12試合で8勝1分3敗と絶好調で、首位マン・シティに3ポイント差に迫るアストン・ヴィラの中盤を支えるクインテットは、移籍金総額が1750万ポンドだそうです。

「テレグラフ」のジョン・パーシー記者が立てた見出しを見た瞬間、「マジか！」と叫んでしまいました。チェルシーがモイセス・カイセドとエンソ・フェルナンデスに2億2000万ポンドを投じ、高額の選手をスルーしてきたアーセナルでもデクラン・ライスの1億500万ポンドにサインするご時世です。一人あたりではなく、5人トータルって…！

驚愕のレポートを読みつつ、それぞれの移籍を報じた記事を探してみました。2018年の夏にハイバーニアンから獲得したマッギンは250万ポンド。当時のヴィラはチャンピオンシップに所属しており、今のように移籍金を払えるクラブではありませんでした。ダービ・カウンティとのプレーオフ決勝で勝利を決するゴールをゲットしたMFは、クラブの年間MVPに選ばれています。

プレミアリーグに昇格してからは、インサイド、セントラル、サイドでプレイできるユーティリティーを強みとしてリーグ戦146試合13ゴール17アシスト。今季は4-4-2の右サイドを主戦場として、公式戦19試合5ゴール3アシストと好調をキープしています。精度の高いフィードと統率力を評価されているキャプテンのお値段として、250万は言葉を失うバーゲン価格です。

2019年にマンチェスター・シティから移籍したドゥグラス・ルイスは、5人の中では最高額の1500万ポンド。ペップとチキ・ベギリスタインがお買い得価格を了承したのは、2年以内なら3000万ポンドで買い戻せるオプションを付けたからです。初年度からレギュラーに定着したセントラルMFは、プレミアリーグ152試合16ゴール14アシストという戦績を残しています。結局買い戻しは立ち消えとなり、ただのお得なディールとなりました。

2023-24シーズンはPKを3発決め、12試合5ゴール1アシスト。入団してから4シーズンで、4試合以上の連続欠場が1度もないのは高付加価値です。アーセナルからの誘いを3回断ったヴィラは、ドゥグラス・ルイスとの契約を2026年まで延長しており、8000万ポンド以下のオファーには耳を傾けないでしょう。

昨年の夏にマルセイユから加わったブバカル・カマラは23歳。フランスのユースの各年代でバリバリのレギュラーだったエリートで、マンチェスター・ユナイテッド、アトレティコ・マドリード、ミラン、ニューカッスルから注目を集めていました。フリーエージェントでヴィラ入団という快挙は、スティーヴン・ジェラードの最高の置き土産です。

今季はプレミアリーグで全試合出場。ドゥグラス・ルイスとの相性は抜群です。タイロン・ミングスがシーズンアウトとなった最終ラインが何とか守れているのは、中盤の底をカバーしてくれる彼がいるからでしょう。今年の夏にレスターから引き入れたティーレマンスも、本命視されていたアーセナルがデクラン・ライスに1億ポンド超を支払ったため、フリーで獲れました。

22歳の新鋭ジェイコブ・ラムジーは、今季は負傷で出遅れましたが、昨季プレミアリーグで35試合6ゴール7アシストを記録した逸材です。6歳のときにヴィラのユースチームに入り、19歳でプロデビュー。当然、移籍金はゼロです。ガラタサライからローン移籍のザニオーロのレンタルフィー430万ポンドを加えても、総額2000万ポンド強の安上がりなスカッドです。

ウナイ・エメリとともに快進撃を続ける選手たちは、チャンピオンズリーグ出場権を手に入れることができるでしょうか。こんな記事を読むと、スターティングメンバーが発表されるたびに金額を計算してしまいそうです。週末はトッテナムですね。あちらも結構お買い得な選手が…いや、お金の話はこのぐらいにしておきましょう。3日後には再開ですね！