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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

美しい3強の混戦を制するのは…?レッズ、マン・シティ、ガナーズの強みと弱点を数字でチェック!

これほど美しい「3強」を見られるチャンスは、なかなかないでしょう。プレミアリーグ2023-24シーズンは、リヴァプール、マンチェスター・シティ、アーセナルが2ポイントのなかに収まる混戦となっています。彼らが競っているのは、順位とポイントだけではありません。総得点は最多のマン・シティが56で、少ないアーセナルは53。失点は逆でガナーズが22、マン・シティは25です。

勝ち点もゴールも失点も3差以内で、得失点差はリヴァプールの32に対してマン・シティとアーセナルは31。過去5シーズンの得失点差は、常にペップが1位だったのですが、今季はクロップの後塵を拝しています。ここまで読んで、こう思った方もいるでしょう。「1試合消化が少ないマン・シティが、すべての指標で隠れ1位なのではないか?」。いえ、事はそう単純ではありません。

おっしゃるとおり、20日に開催される18節の延期試合、ブレントフォード戦でペップが勝てば首位に躍り出ます。ただし彼らは、ビッグ6との対戦の消化が少ないのです。アーセナルは3勝3分、リヴァプールは1勝4分2敗、マン・シティは1勝3分1敗。強豪相手の戦績と残り試合を見ると、アルテタ、クロップ、ペップの順でフィニッシュとなってもおかしくありません。

さて、三つ巴の激戦を制するのはどこでしょうか。過去のデータから残り試合の結果を割り出したOptaの「予想順位テーブル」は、マン・シティを本命としています。1位の可能性は65%、2位は25%、3位10%。リヴァプールは25%、46%、27%で対抗馬とされており、アーセナルは10%、29%、53%で3番手です。

スケジュールを見ると、やばいのはペップの3月です。CLを戦いながら、マンチェスターダービー、リヴァプール、ブライトン、アーセナルの4連戦を乗り切らなければなりません。アルテタの懸念は、最終盤にノースロンドンダービーとマンチェスター・ユナイテッドという2つのアウェイゲームがあるぐらい。敵地でのビッグ6がテン・ハフのみのレッズが有利に見えます。

ここからは、それぞれを後押しする事実と弱点を確認しましょう。ペップ就任以降のマン・シティは、プレミアリーグの12連勝以上が5回もあり、後半戦に強いチームです。ハーランドは18戦16ゴールと相変わらず猛威を奮っており、デブライネは復帰以降の4試合ですべてアシストを記録。ブレントフォード戦でハットトリックのフォーデンの好調も、心強い要素のひとつです。

彼らの最大の不安は、今季公式戦で最初に許したオンターゲットからの失点が13もあること。直近のプレミアリーグ6連勝のうち3つは逆転勝利で、強者に先制を許してポイントを落とす可能性は低くはなさそうです。TOP10が相手のクリーンシートは2つしかなく、全勝のCLも相手をゼロに封じた試合はひとつだけ。4連覇を達成するためには、守備の改善が必要でしょう。

リヴァプールの強みは、ターンオーバーが機能していることです。今季プレミアリーグで15試合以上出場している選手を数えると、マン・シティは11人、ガナーズは10人、レッズは7人。ロバートソン、マティプ、チアゴ、ジョッタらが長期離脱となっても、首位をキープできたのは、サブの選手を投じてもクオリティが落ちないからです。

そしてもうひとつ、「過去20年、アンフィールドでマン・シティに敗れたのは1回だけ」というのも心強いデータです。5人のFWの39ゴールは、ハーランド、フリアン・アルバレス、グリーリッシュ、ジェレミードク、オスカー・ボブ、フォーデンの6人で38ゴールを上回っており、逆転勝利5回は攻めに集中した際の破壊力を証明しています。

弱点を挙げるなら、90分を通じてよかった試合が少なく、「ダイレクトアクション(=後方からパスをつないで15秒以内に敵陣のボックス内でシュートかタッチを記録)を許した回数が76もあること」です。これはワーストのニューカッスル、エヴァートンに次ぐ下から3位で、アリソンがいなければ順位テーブルの頂点には立てなかったでしょう。

アーセナルの最大の強みは堅守で、サリバとガブリエウが注目されがちですが、「オープンプレーでディフェンシブサードに持ち込まれる比率がリーグ最少の32.1%」という数字が示しているのは、ウーデゴーア、デクラン・ライス、カイ・ハヴェルツ、ジョルジーニョ、ジンチェンコらのプレスとチェックの素晴らしさです。

セットピースからの16ゴールとPK7発もリーグTOPで、ボックス内に持ち込む頻度が高いからこそ実現する数字です。対してウィークポイントは、「前線のゴールが30しかない」「レギュラーとサブのクオリティに差がある」。冨安健洋、ファビオ・ヴィエイラ、スミス・ロウ、キヴィオルらをうまく活用できなければ、プレミアリーグとCLの両立は困難です。

最後に笑うのは、4連覇をめざす絶対王者か、指揮官のラストイヤーを勝利で終えたい名門か、復活を託された若きチームか。外野で盛り上がるしかない者としては、この美しい3強のデッドヒートが最後まで続くことを願うばかりです。何度も見たペップの誇らしい表情より、クロップのガッツポーズやアルテタの笑顔を見たい気持ちが多分にあるのですが…。


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