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降格圏まで勝ち点2差!危機感募らせるラニエリ監督は「レスター対策」をはね返せるか!?

チャンピオンズリーグは5戦4勝、プレミアリーグでは13戦3勝。片やで「欧州16強」に堂々と名を連ねながら、もう一方では「イングランドで21位以下」にはみ出ようとしています。昨季王者のレスター・シティに何が起こっているのでしょうか。13節を終えて、降格ゾーンと勝ち点2差の14位。欧州では3勝1分と負けなしだったこの2ヵ月、プレミアリーグでは1勝3分4敗という苦境に陥っており、唯一の勝利は6連敗とレスターより泥沼のクリスタル・パレス。守備が崩壊しているチーム同士がぶつかり、軽症だったほうが勝った一戦でした。ちなみにレスターは、チャンピオンズリーグ出場クラブのなかで、最も国内での戦績が悪いクラブです。

降格ゾーンが眼下に像を結び始めたこのタイミングで、プレミアリーグのディフェンディングチャンピオンの不振について、現地記者がさまざまな主張をし始めています。「UEFA.com」は、「レスターが欧州の舞台で好調な理由」と題したレポートを掲載。サイモン・ハート記者が挙げているのは、「チャンピオンズリーグでは、選手たちのモチベーションが高く、相手に警戒されていない」ことです。ポルト、コペンハーゲン、クラブ・ブルッヘと戦うチャンピオンズリーグをご覧になった方は、「僕らは恐れていない。ワクワクして試合に臨んでいるんだ」というオルブライトンの言葉に深くうなずくのではないでしょうか。そこで展開されているサッカーは、昨季プレミアリーグの勝者のサッカーです。得点7失点1、クリーンシート4回は、これぞレスターの数字。グループステージ突破を決めたクラブ・ブルッヘ戦の5分、オルブライトンとフクスで左サイドを崩し、自陣からスプリントした岡崎慎司が決めた先制ゴールは、彼ららしい見事なカウンターでした。

件の記事の指摘が当たっているとすれば、国内における不振の理由はその裏返しとなります。選手も監督も、それを裏付けるような証言を残しています。彼らの声を拾ってみましょう。

「プレミアリーグのチームは、僕らを警戒するようになった」(アンディ・キング)
「昨シーズンではなく、2シーズン前を思い出すべき。何とか残留を果たしたときの粘り強さが必要だ」(クラウディオ・ラニエリ)

アンディ・キングが語る「警戒」とは、具体的にはどういうことでしょうか。ひとつは、中堅・下位クラブによく見られる「ゴール前に引いてスペースを与えない守り方」。これによって、マフレズの突破やヴァーディのカウンターが抑えられ、人数を足して攻めようとしたところで逆襲を喰らっています。もうひとつは、ペップ、コンテ、クロップ、ポチェッティーノら名将が流れを創った「厳しいプレスで敵陣でボールを奪取し、ショートカウンター」。今季プレミアリーグでメインストリームとなりつつあるこの戦術によって、ドリンクウォーターやフクスがパスコースを制限され、ヴァーディや岡崎慎司にいいボールが届かなくなりました。

数字を見てみましょう。ヴァーディは、4節のリヴァプール戦でルーカスのプレゼントパスを決めた後、プレミアリーグ9試合ノーゴール。1年前は、11試合連続ゴールというプレミアリーグレコードを達成したストライカーは、公式戦トータル15試合連続で沈黙という真逆の記録を更新中です。マフレズがヴァーディほど話題にならないのは、プレミアリーグにおける彼のスタッツのゴール欄に「3」という数字があり、チャンピオンズリーグでも4ゴールを決めているからですが、プレミアリーグでの3つはいずれもPK。得意のドリブルからのフィニッシュは1本もありません。チームのPKキッカーがヴァーディなら、タブロイド紙で槍玉に挙げられたのは、公式戦7ゴールのうち5つまでがPKのマフレズだったでしょう。まとめると、「ヴァーディとマフレズのファインゴールは、プレミアリーグ1発(ルーカス除く)、CL2発の計3発のみ」となります。

「Goal.com」にコラムを寄稿したトム・マストン記者は、前年のレギュラーメンバー9人を起用して快勝したクラブ・ブルッヘ戦をふまえて、「CLが再開する2月までは、勝っていたときのようにレギュラー固定で戦うべき」と主張。マフレズとスリマニが、1月にアフリカ・ネーションズカップ参加でいなくなることも視野に入れ、岡崎慎司とヴァーディの2トップをキープしたほうがいいといっています。うーん、これはどうでしょうか。今季のヴァーディは、枠内シュートがわずか4本です。多くのチームにレスター対策を施されているなかで、今までのやり方を愚直に通すだけでは、さらに窮地に追い込まれるだけにならないでしょうか。

4-4-2の骨格は変えないほうがいいと思いますが、「ヴァーディをおとりに使って岡崎慎司が決める」「横からのクロスを増やし、ニアで岡崎がつぶれた後ろからスリマニやウジョアが決める」「アーメド・ムサを再度トップ起用」といったオプション開発をすることによって、状況を変えていかなければ、「チャンピオンズリーグで決勝トーナメントに進みながら降格」という前年とは違う奇跡に近づいてしまうだけではないかと思います。そして1月には、守れるセントラルMFの補強が必要です。復帰間近といわれるナンパリス・メンディが機能するならいざしらず、ドリンクウォーターの負担を減らす存在がいなければ、最近増えてきた失点は減らないでしょう。

厳しい状況ではありますが、いちばん変えてはいけないのは、「明るく戦うこと」ではないかと思います。負けて気分が沈み、テンションが上がらないから負けるという悪循環は、ライバルクラブのレスター対策に勝るとも劣らない大敵です。「デイリー・ミラー」が、ダニー・シンプソンの「クリスマスパーティーはできないかも」というコメントを紹介しておりましたが、ここはひとつ、気分転換と結束力強化を図るべく、昨年出かけた縁起がいいコペンハーゲンに足を運んではいかがでしょう。キングパワーのサポーターも、「Jamie Vardy’s Having A Party!」と歌っております。チームの魅力である明るさだけは変わらぬまま、戦い方のディテールを工夫しながら、難局を乗り切っていただければと思います。大丈夫、欧州で見せる守備は相変わらず堅く、戦力的にはもっと勝てるはずです。がんばれ、チャンピオン。

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“降格圏まで勝ち点2差!危機感募らせるラニエリ監督は「レスター対策」をはね返せるか!?” への2件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    今シーズンレスターが研究されてくることは彼らも理解していただでしょうが、PLにおいてここまで苦戦するとは思っていなかったと思います。
    CL再開まで時間はあるのでチームを立て直しEL圏内まで復活して欲しいものです。ここからが勝負だと思います。

  2. makoto より:

    Mackiさん>
    ヴァーディの絶不調にびっくりしてます。カウンターからシュートゼロとは…。

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