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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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吉田麻也&ファン・ダイクは鉄壁!「ベジェリンの穴」を突かれたアーセナルはセインツに完敗!

そこまでやりますか、ヴェンゲル監督!プレミアリーグ13節のボーンマス戦から、エルネニーを除く10人を総入れ替えです。EFLカップ準々決勝、アーセナルVSサウサンプトン。プレミアリーグ10位と何とかTOP10には引っかかっているものの、13試合で13ゴールと貧攻に悩むセインツは、ショットコンバージョンレート(シュートに対するゴール率)が最も低いチームです。しかし、それにしても…。GKマルティネス、DFジェンキンソン、ホールディング、ガブリエウ、ギブス、MFエルネニー、コクラン、ラムジー、ジェフ・レーヌ=アデレード、イオビ。トップには負傷が癒えたルーカス・ぺレスです。リーグカップを1回も優勝していないヴェンゲル監督は、今後のタイトなスケジュールを考えれば敗戦もやむなしと考えているのでしょうか。マンチェスター・ユナイテッドやリヴァプールとの激突を楽しみにしている者としては、胸騒ぎがおさまらないキックオフです。

ホームチームが、おそるおそるこの日の戦い方を確認しているかのような序盤戦。13分、セインツがあっさり先制します。起点は、吉田麻也の素晴らしいロングフィード。これを受け、左から上がったバートランドのクロスに合わせたブファルのシュートはDFの足に当たりますが、リバウンドをダイレクトで叩いたクラーシが見事でした。ガナーズは全体的にもらう動きが少なく、自陣に引いて対応するセインツの守備を攻めあぐんでいます。可能性が感じられるのは、イオビです。ルーカス・ぺレスら前にいる選手をポストに使ってシュートを打とうとしているアタッカーが一発はまれば、リードを許した急造フォーメーションに自信をもたらすかもしれません。

アウェイのセインツは、前線のシェーン・ロングを長いボールで走らせるカウンターに徹しています。ポゼッションを取りながらも危険なボールロストが多いガナーズは、エルネニー、イオビと後手にまわったMFがイエローカードを積んでいます。37分、ジェンキンソンが自陣で強引なドリブルを仕掛けてボールを奪われ、クラーシがすかさずSBの裏のスペースに展開。ブファルが中に入ってきていたバートランドにグラウンダーを通すと、クロスに放った一撃はマルティネスの指先を抜けてネットを揺らしました。43分、エルネニーは負傷したのでしょうか。グラニト・ジャカがピッチに送り込まれます。前半は0-2で終了、ガナーズの枠内シュートはゼロ。サイドを崩せず、単調な攻撃に終始する今日のサッカーでは、このギャップは絶望的に見えます。

ところが後半、アーセナルは別なチームに生まれ変わったようです。46分、イオビが敵陣でインターセプトし、ラムジーにつなぐと左に流れたルーカス・ぺレスのシュートはフォースターがキャッチ。2分後、ジェンキンソンがクロスをラムジーに合わせたシーンは決定的でしたが、ボレーのコースが甘く、フォースターの正面でした。フィニッシュは決まらず、ホームチームのラッシュはここまで。50分を過ぎると、守り切ったセインツが自分たちのペースを取り戻し、負けじと反撃します。51分のシェーン・ロングのミドルはマルティネスがかろうじて手に当て、54分に最前線に飛び出したブファルの左足も、右に切れていきます。CKを触りにいったマルティネスは、大きく弾かなければいけません。ルーズボールを叩いたマックイーンのシュートは、惜しくも右ポストの外に抜けていきます。

62分、ヴェンゲル監督はジェフ・レーヌ=アデレードを下げてチェンバレンを投入。ルーカス・ぺレスの強烈なミドルをファン・ダイクがカットすると、さらにジェンキンソンを諦めてメートランド=ナイルズです。ピュエル監督は、よく戦っていたブファルをシムズにスイッチ。ルーカス・ぺレスが左サイドでパスを受け、イオビ、コクランとつながった68分のチャンスは、枠に届くコースが塞がれており、ミドルは左に外れます。78分、セインツに決定機。スティーブン・デイヴィスのスルーパスでシェーン・ロングがマルティネスと1対1になりますが、ガブリエウが必死に戻ってプレッシャーをかけ、左足インサイドは左に逸れていきます。直後、右からのグラウンダーをジャカがチェンバレンに落とすも、フィニッシュを枠におさめることはできません。80分、ロングクロスにファーサイドで競り勝ったルーカス・ぺレスのヘッドは、吉田麻也が体を投げ出してクリアし、これも決まりません。

追加タイムにチャンスを創っていたのは、守っていればいいはずのセインツのほうでした。途中出場のホイビュルグの強烈なシュートをマルティネスがセーブすると、その後はセインツがガナーズ最後の攻撃を抑え、やがてタイムアップ。エミレーツにはブーイングが鳴り響きます。プレミアリーグ開幕節のリヴァプール戦で敗れて以来、19試合負けなしだったガナーズが止まりました。

勝者にふさわしかったのは、セインツでした。CBの差、セントラルMFの差、そして最も大きかったSBの差。吉田麻也とファン・ダイクのコンビは完璧でした。日本代表CBは、先制点をお膳立てし、さらに巧みなバックヘッドでゴールを狙うなど、攻撃面での貢献度も高かったと思います。エルネニーとコクランがバイタルエリアへの侵入を許していたのに対し、クラーシを中心としたセインツの中盤は、ミドルに対するプレッシャーが的確。バートランドとジェンキンソンのマッチアップは、アウェイチームの圧勝でした。例年停滞する11月を、今季も1勝3分1敗という冴えない数字で終えたガナーズの最大の発見は、「今やベジェリンの抜けた穴はカソルラよりも断然大きい」ことではないでしょうか。若手やサブの選手主体で、普段のプレミアリーグにおけるクオリティまでは望めないものの、右サイドさえ何とかなっていれば、別な結果もあったのではないかと思います。

敗戦覚悟の布陣で戦ったアーセナルは、気持ちを切り替えて週末のプレミアリーグを勝ちきることが大事です。守備に不安があるウェストハム相手に、ノーゴールに終わることはないでしょう。そしてセインツもまた、この勢いをプレミアリーグに持ち帰っていただければと思います。トッテナムの次に失点が少ない堅守に攻撃力が加われば、2季連続のEL出場は充分狙えます。…もしかして、EFLカップ準決勝のドローが決まりましたか?どうやら、セインツはリヴァプールと当たるようです。こちらも、楽しみです。

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“吉田麻也&ファン・ダイクは鉄壁!「ベジェリンの穴」を突かれたアーセナルはセインツに完敗!” への3件のフィードバック

  1. ひろと より:

    無敗記録が途絶えたこともショックですが、それは監督自身が「負けてもやむなし」と考えておられたようなので、仕方ないと出来ます。しかし、試合を見ていてそれよりもショックに思ったのは筆者様と同じで「ジェンキンソンが想像以上に頼りない・・・(ベジェリンの変わりがいない)」ということでした。
    そして、今のところ代案は無さそうなので、シティ戦までの下位順位チームをどれだけしのげるか、が大事なのかなと思います。
    エルネニーは怪我ではなく腹痛だと聞きましたので、本当なら一安心ですが。

  2. しん より:

    右サイドバックはジェンキンソンではなく、ガブリエルのほうがいいかもしれませんね。ジェンキンソンのままで行くと苦戦が続きそうです。
    セントラルはエルネニーが腹痛だったらしく、ジャカもフィットし始めてるので、さほど心配はしていませんが、シティ戦までにはカソルラに戻ってきて欲しいですね。
    とにもかくにもこの敗戦を引きずらず、プレミアで連勝街道を突き進んでほしいです。あくまでファンが切望するのはリーグタイトルです。

    —–
    2失点決められた時点で寝ようかと思ったのですが、ずるずると見てしまいました
    正直、あんまり収穫がない試合だったという感想です。
    ジェンキンソンには悪いんですけど、アーセナルでやっていくにはテクニックも判断スピードも不足してる感じですね。
    ラムジーもところどころ魅せるんですけど、パスなのかシュートなのか分からないボールだったり、独りよがりだったり、ガッカリですね、、

  3. makoto より:

    ひろとさん>
    ジェンキンソンは、ユース代表では、凄いSBだったんですけどね…。残念なプレイぶりでした。

    新参さん>
    SBガブリエウは、攻撃はあまり期待できませんが、守備は安定しますよね。

    しんさん>
    今後も期待したい選手と、厳しいかも…と悩んでしまう選手の差が如実に出ましたね。

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