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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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ゴールが遠い…プレミアリーグ16位に転落したエヴァートン、不振の理由

プレミアリーグ8節のブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン戦は、82分にクノッカールに決められてしまい、90分のルーニーのPKで何とか追いついてドロー。エヴァートンが勝てずに苦しんでいます。マンチェスター・シティにアウェイで引き分けた後、チェルシー、トッテナム、マンチェスター・ユナイテッドに3連敗しましたが、ここまでは「強豪4連戦という酷なスケジュール」を理由にクーマン監督を擁護する報道もありました。しかし、私は負け方が悪すぎるのが気になっていました。昨季、マンチェスター勢に一度も負けず、アーセナルとも互角に戦っていたチームが3戦連続ノーゴールの完敗は元気がなさすぎます。その後、6節のボーンマス戦を2-1で制してひと息ついたエヴァートンは、ホームのバーンリー戦を0-1で落とし、昇格クラブに敗戦寸前のドローで2勝2分4敗。プレミアリーグ16位は、彼らのポジションではありません。

最大の誤算は、獲得寸前に迫っていたオリヴィエ・ジルー移籍が破談になったことでしょう。スウォンジーからやってきたシグルズソンが、2016-17シーズンに9ゴール13アシストという出色の数字を残せたのは、持ち前の正確なクロスを決めてくれるフェルナンド・ジョレンテがいたからでした。高さで勝負でき、ポストプレーにも長けたジョレンテやジルーのようなタイプのストライカーは、セインツ時代にグラツィアーノ・ペッレを最前線に置いていたクーマン監督にとっては必須アイテムでしょう。相手ボールになった際にプレスをかけてすぐ奪い返そうとせず、一旦引いて守備網を整えるスタイルのチームにとって、前線で楔となって中盤の上がりを促してくれる存在がいなければ獲った後のボールを失うリスクが高まります。最後方のアシュリー・ウィリアムズに自陣でのパスミスが目立つのは、攻めに転じる際に明確なターゲットがいないのも理由のひとつなのではないかと思います。

「ルカクがいなくなることを3月にわかっていたエヴァートンは、なぜ早期に代役となるストライカーを獲らなかったのか」。ルーニーの3発とニアッセの2発しかゴールがないチームを咎める一部の現地メディアに対して、クラブとしては「ジルーは獲れなかったが、ルーニー、サンドロ・ラミレス、ヴラシッチが加わった」といった反論もあるでしょう。しかし、逆にこうもいえるのかもしれません。「なまじルーニーを獲れてしまったがために、ターゲットマンへのアプローチが甘くなった」と。

フェルナンド・ジョレンテはデッドラインデーにスパーズに移籍し、フィンセント・ヤンセンは9月8日まで開いていたトルコのマーケットで動きました。チチャリートを獲ったハマーズにはアンディ・キャロルがおり、セインツにはガッビアディーニの活躍でワントップの3番手になったチャーリー・オースティンがいます。サンドロ・ラミレスの将来性よりも、ラス・パルマスがフリーで獲ったロイク・レミーのプレミアリーグ経験のほうが短期的には価値が高かったかもしれません。彼らすべてが可能性があったわけではないと思われるものの、打てる手はあったように思います。

ルカクがいたポジションなので、ストライカーにばかり目がいきがちですが、ボラシェ、ロス・バークリー、アーロン・レノン、ジェームズ・マッカーサーの不在とミララスの不振も痛かったはずです。昨季プレミアリーグでのべ107試合に出ていた5人は、今季8試合で途中出場4試合に留まっています。クラーセンやシグルズソンがフィットするまでの時間を、今までの主力がフォローできればよかったのですが、2列めより前で昨季と同じようにプレイしているのはカルヴァート・ルーウィンのみです。シュナイデルランは今季プレミアリーグでインターセプト数No.1、グィエもタックル数で5位に入っており、セントラルMFはまずまずやれているだけに前が誤算だらけなのが残念です。

とはいえ、逆に考えれば、ボラシェやコールマンの復帰、ミララスやレノンの復活、ルックマンの台頭、シグルズソンとクラーセンの適応など上がり目はあります。現状は、指揮官を代えてもよくなるとは思えず、何とか勝ち点を拾いながら熟成させていくよりほかはないでしょう。そして1月に念願のターゲットマン獲得に走れば、昨季のプレミアリーグ7位は充分めざせるのではないでしょうか。エヴァートンが元気なプレミアリーグがおもしろいので、ぜひ巻き返していただければと思います。

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