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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

予想外のプレミアリーグ7位…一見堅守、実はちょっと危険なバーンリーのデータがおもしろい!

どのタイミングで書かせていただこうかと、ずっと考えていたのですが、7勝4分4敗でトッテナムと並んだ今がチャンスなのではないかと思いました。今季プレミアリーグ最大のサプライズ、バーンリーのお話です。2016-17シーズンは11勝7分20敗でプレミアリーグ16位。ホームでは10勝3分6敗と上位クラブのような戦績を残したものの、アウェイの1勝4分14敗がひどすぎました。夏の補強は、元マンチェスター・ユナイテッドのGKリンデゴーア、ストークのSBフィル・バーズリーとウォルターズと他クラブで居場所がなくなったベテラン中心。スウォンジーのMFジャック・コークとリーズから来たFWクリス・ウッズは楽しみではありましたが、チームを変えるというほどのインパクトはありません。

片や放出リストを見ると、最終ラインを束ねていたマイケル・キーンとプレミアリーグ9ゴールのアンドレ・グレイの離脱は激痛で、戦力的な収支は一見マイナスです。私は、バーンリーは今季も降格争いに巻き込まれるはずと高をくくっておりました。開幕戦でスタンフォード・ブリッジでチェルシーに勝ったときも、昨季プレミアリーグ王者のほうに問題があったとしか考えませんでした。

今季の彼らがなかなかいいチームなのではないかと初めて思ったのは、トッテナムと1-1で引き分けた3節でしたが、次のクリスタル・パレス戦で守護神ヒートンがリタイアしてしまいます。代役のニック・ポープはプレミアリーグでの出場経験ゼロ。やはり厳しいか…とさしたる期待をせずに見ていると、アンフィールドのリヴァプール戦で1-1ドロー、エヴァートンに勝って、10節からは3試合連続のクリーンシートで3連勝です。苦手だったアウェイ戦を4勝2分2敗と克服。ダイク監督は、チームにどんな魔法をかけたのでしょうか。試合とスタッツをチェックすると、驚愕のデータが浮かび上がってきました。プレミアリーグで3番めに少ない12失点という数字は、守備力の向上を如実に表しているのですが、1試合あたりの被シュ―ト数16.9は何と1位。バーンリーは、「ボコボコにシュートを打たれながら守り切っているチーム」なのです。

守備の強化のポイントは、急激な成長でマイケル・キーンの穴を埋めきったCBタルコフスキーと、安定感が増したデフール&新戦力ジャック・コークのセントラルMFコンビです。タルコフスキーのシュートブロック数26はプレミアリーグ1位、2位はコンビを組むベン・ミーの24。シュートの瞬間に足元に入ることをさぼらず、経験の浅いGKポープに負担をかけないハードなチェックが1-0勝利4回という結果につながっています。タックル数14.9が下から4番めなのは、無理に当たりにいかずにスペースやシュートコースを消しにいっているからでしょう。1試合あたりのオフサイド獲得数3.3もリーグTOP。「的確なポジショニングによるシュートブロック」「統率されたライン」が実現しているのは、ロートン、タルコフスキー、ベン・ミー、ウォードの4人を完全に固して連携の精度を高めているからだと思います。開幕から13試合は同じ4人。直近の2試合は、ロートンの膝のケガでバーズリーが出ていますが、週末のワトフォード戦からは元の4人に戻るはずです。

一方、攻撃のほうは昨季が15試合15ゴール、今季は14ゴールで変化なし。アンドレ・グレイの後釜クリス・ウッドは11試合4ゴールとまずまずですが、アシュリー・バーンズとサム・ヴォークスは前年よりいいとはいえません。ロングボール1109本はプレミアリーグNo.1、ロビー・ブレイディのクロス123本も個人TOPといかにもイングランドサッカーらしい数字が目立ちますが、オンターゲット46本は15位。ドリブルでの仕掛けが1試合あたり6.1とエヴァートンの次に少なく、「自陣で奪ったらターゲットマンにめがけてロングボールを入れ、落としをブレイディにつないでクロスで勝負」というスタイルを徹底しています。

なるほど、178cmのアンドレ・グレイをワトフォードに売って、191cmのクリス・ウッズを獲ったのは戦術的補強だったわけですね。「できることだけ徹底してやりきる」弱者のサッカーがときに大きな成果を挙げることは一昨年のレスターが教えてくれたわけですが、バーンリーはどこまで粘ることができるでしょうか。野球でいえば「打たせてとる」。リアリティを追求するダイク監督のちょっと危険な堅守のサッカーに、引き続き注目してまいります。(ショーン・ダイク 写真著作者/Kelvin Stuttard)

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“予想外のプレミアリーグ7位…一見堅守、実はちょっと危険なバーンリーのデータがおもしろい!” への2件のフィードバック

  1. グッチ より:

    仰っている打たせて取る野球やレシーブの強いバレーチームみたいで「こういうのもアリだな」と思わされます。ボール・主導権・ゴールを奪うプレッシングも大好きですが、このように打てるけど点にならないというのは中々アタッカーにはストレスだと思います。これでGKが慣れてきたら…

  2. makoto より:

    グッチさん>
    凄いですよね、CBコンビ。生え抜きなのもいいです。

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