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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

偽9番、偽SB…変幻自在のニセモノだらけのプレミアリーグTOP3!

一瞬、マンチェスター・ユナイテッドがディスられたのかと思いましたが、「今季プレミアリーグの優勝チームは、現在のTOP5から出ると思うか?」と誘導されれば、余計なことに気をまわさないペップ・グアルディオラはイエスと答えるでしょう。「それについては疑いはない。彼らは強い」。開幕前から一騎打ちといわれていたマンチェスター・シティとリヴァプールが勝ち点23で並び、下馬評が低かったチェルシー、補強ゼロのトッテナム、TOP4フィニッシュは難しいといわれていたアーセナルが2差で続く混戦模様。4位に勝ち点7差をつけられているプレミアリーグ10位のクラブは、彼らの背中に触れるポジションに上がらなければ、頂点に立つ候補には入れてもらえません。

5強が鎬を削る戦いはおもしろいのですが、ノースロンドン勢は一段落ちるのではないでしょうか。アーセナルは守備の不安が解消しておらず、トッテナムは主力のコンディションとCLで見せた勝負弱さが気になります。デル・アリとフェルトンゲンが負傷離脱し、ソン・フンミンには昨季の鋭さが見られず、ハリー・ケインとルーカス・モウラが調子を落とせば、オプションの乏しさが露呈してしまいます。

ペップの独走を阻むとすれば、リヴァプールかチェルシーでしょう。プレミアリーグ史上最強チームが今季も抜け出すか、あるいは三つ巴の争いになるか。3チームの戦いぶりを見ていておもしろいのは、いずれも「偽者」が機能しているところです。ペップ・グアルディオラがジョルディ・アラバやフィリップ・ラームに託した役割が、インサイドに絞って中盤の厚みを構築する「偽SB」ですが、昨季のマン・シティでは左のデルフだったそのミッションは、右サイドを担う2人にスイッチしています。

カイル・ウォーカーとジョン・ストーンズ。サイドが左から右に変わったのは、縦に速いバンジャマン・メンディの復帰と、タメを創れるマフレズの加入に起因しているのではないでしょうか。昨季は激しく上下動を繰り返していたカイル・ウォーカーは中盤に参加する頻度が上がり、彼の留守を預かるジョン・ストーンズに縦への突破は見られません。右サイドからのアタックは、ボールをキープして味方が上がる時間を創れるマフレズ、クロスが正確なベルナルド・シウヴァ、シュートレンジに入るタイミングがいいスターリングらに託され、SBはクロスよりも中盤からパスを送る役割を重視されています。

前線の選手が空いたスペースに入ると、フェルナンジーニョや偽SB、CBからすかさず楔のパスが通り、落としを受けたダヴィド・シルヴァやデブライネからボックス脇にスルーパス。バンジャマン・メンディが5アシストでランキングTOPにいるのは、ペップの戦術が機能しているからにほかなりません。この攻撃を止めるためには、サラー、マネ、フィルミーニョらの厳しいプレスでパスコースを限定するか、カンテとジョルジーニョで受け手となる前線をチェックするか、レッズやブルーズのような機能的な守備戦術が必須となります。月曜日にペップと戦うスパーズは、偽SBがフェルナンジーニョをフォローするチームにどう対応するのでしょうか。ルーカス・モウラに気の利いたチェックまでは要求しづらく、エリック・ダイアーとデンベレは相当忙しくなりそうです。

リヴァプールのニセモノといえば、プレミアリーグ最強の「false nine」ロベルト・フィルミーノですが、私は「影のニセモノ」サディオ・マネも得がたいキャラだと思っています。左右中央どこでもOK。ストライカーもトップ下もこなせるマネは、フィルミーノとのポジションチェンジやロバートソンを前にいかせるプレイが冴えており、ワイナルドゥムやミルナーのインターセプトを誘発するコースを切る動きも秀逸です。クロップ監督のチームは、4-3-3というより、「ワントップが右サイドにいる変態4-3-2-1」と捉えたほうがいいのかもしれません。3-2のポジションが近いのが、前で奪ってショートカウンターという切れ味抜群の刀を抜ける最大のポイントです。

チェルシーのニセモノは、ワールドカップロシア大会でオンターゲットゼロだったオリヴィエ・ジルー。トッティ、セスク、メッシのような伝統的な偽9番の定番だった「中盤に下がって仕切る動き」はありませんが、アザールやペドロにフィニッシュをまかせるプレミアリーグ屈指のポストプレーには、誇り高きニセモノの称号を授与してもいいのではないでしょうか。今季プレミアリーグで8試合ノーゴール4アシスト⁉アクロバティックなゴールを決めるストライカーから、「決めなくても重宝される偽ストライカー」という新境地へとシフトしつつあるジルーにとっては、アザールやペドロ、ロス・バークリーのゴール数がクオリティを評価するKPIとなるのかもしれません。カンテをアンカーに置かないサッリ監督も、ペップやクロップに勝るとも劣らない相当な変態です。

マンチェスター・シティ、リヴァプール、チェルシーは、いずれも従来のプレミアリーグの常識を打ち破る新機軸を打ち出しており、欧州での躍進も期待されます。ぶっちぎりの優勝を決められるポテンシャルがあるチームが、同じシーズンに3つも集まってしまったのは、もったいないとしかいいようがありませんが、プレミアリーグのレギュレーションでは優勝は1チームです。ニセモノを駆使する本物たちの素晴らしいフットボールを毎週堪能できるのは、極上の幸せではあるのですが…。(ペップ・グアルディオラ 写真著作者/ФК ШАХТЕР)

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“偽9番、偽SB…変幻自在のニセモノだらけのプレミアリーグTOP3!” への4件のフィードバック

  1. Macki より:

    更新ご苦労様です。
    偽9、偽sb面白い考察ですね。チェルシーはジルーの存在って大きいと思います。どうしてもFWは得点がクローズアップされてしまいますが、前線での彼の存在は脅威でポストプレー一つで展開を変えることが出来る存在だと思います。今のサッリのチームには欠かせないピースでしょう。レッズ・シティ・チェルシーの3つ巴か、マンデーナイトのゲーム次第でスパーズがどうなるかですね。今年は例年になく面白いシーズンですね。

  2. エミリー より:

    ちょっと前までは、4-4-2とか3-2-3-2とか聞くと、大体チームの戦術が解ったし、そこにいかにもなタレントが据えられたものですが、特に最近のプレミアリーグでは、個々の選手のユーティリティ性が素晴らしいので、フォーメーションだけでは戦術が読めなくなっていますよね。
    選手の適正と才能を見極め、そう戦術をあてがうのですから、監督も選手も新世代だなあという印象です。
    偽という表現はどうかと思いますが、たしかにそれによって相手を欺いているので、やっぱり偽か(笑)
    ただ、適材適所の究極みたいになってるときの、レアルであったり、バルセロナだったりと対峙した時、それで勝てるかは微妙かもしれません。
    国内リーグとCLの両立って、本当に難しいですよね。

  3. アイク より:

    変態4-3-2-1、気に入りました笑
    レッズの攻撃はかなり対策されていると思いますが、それをさらに乗り越えるクロップの変態ぶりに期待してます!

  4. 4 より:

    毎日楽しく読んでいます。
    この3人の監督は凄いですね。プレミアでも同じように楽しいチームを創るとは。グーナーですが負け続けてもうちのfootballが1番楽しいと思って我慢してますが、ベップ、クロップ、サッリ、3氏とも最高です。プレミアが更に面白くなりました。
    makotoさんのとこの監督さんもキャラは好きです(^^;

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