イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「給与カットは国のサービスに害を及ぼす」プレミアリーグの提案にプロ選手協会が反発!

「プレミアリーグ2019-20シーズンは、政府の全面的なサポートがあり、医学的な指導によって許される場合にのみ再開される」「2019-20シーズンが中断されたことによる実質的かつ継続的な損失に直面しているプレミアリーグのクラブは、全体の雇用を守るために、選手たちの年間報酬の30%削減を協議することに全会一致で合意した。このガイダンスは、状況の変化に対応して常に見直しが行われる」

金曜日に発表されたプレミアリーグのステイトメントを受けて、LMA(リーグ監督協会)とリーグ関係者が電話会議を実施。その数時間後に、PFA(プロサッカー選手協会)とのサラリーカットに関する協議が行われましたが、合意に至らないまま、1時間足らずで閉会となりました。「BBC」によると、PFAは2日にサラリーの減額を要求したマット・ハンコック保健相に反発しているとのこと。「プレミアリーグのすべての選手が、社会における自らの役割と責任を充分理解しており、前例のない時代において重要な経済的貢献をするという役割を果たしたいと考えている」と前置きしながら、政府の要請はNHS(国民保健サービス)に害を及ぼすと主張しています。

「プレミアリーグが提案した12ヵ月の給与からの30%カットは、5億ポンド(約665億円)以上となり、政府にしてみれば2億ポンド(約266億円)を超える税収損失に相当する。これは財務省にとって大きな負担であり、NHSと他のサービスに弊害をもたらすだろう。選手たちに要求する際に、プレミアリーグやマット・ハンコックはこれを考慮したのか?」

PFAは、「プレミアリーグと協議する機会があるのを歓迎し、今後も話し合いを続ける」としながら、「金曜日に発表されたNHSへの2000万ポンド(約27億円)の支援は、もっと大きな額にするべき」と指摘。下部リーグを救うための1億2500万ポンド(約166億円)についても、「当面のキャッシュフローを向上させるが、彼らが長期的に資金を増やす方法を模索する必要がある」と抜本的な改革の必要性を説いています。PFAの肩をもって、彼らの言い分を整理すると、以下のようなお話なのではないかと思われます。

「政府は、クラブがスタッフを一時解雇しているのに、選手は給与を全額もらっているのがおかしいというが、それは感情論であり、妥当ではないのではないか」
「リヴァプール、ニューカッスル、トッテナム、ボーンマス、ノリッジがノンプレイングスタッフを一時解雇したが、政府のコロナウイルス対策の雇用維持スキームによって、給与の80%は支払われ、クラブは残りの20%を補填しようとしている。これは国の政策に則った対応である。ただし、これを活用すると政府の財布からお金が出ていく」

「一方、選手の給与が削減されると税収も下がる。削減した分を下部リーグのクラブとNHSへのサポートにまわすというが、それぞれ額が小さく、一時的なものにすぎない。プレミアリーグのNHSへの支援は2000万ポンド、税収ダウンは2億ポンドだが、それでいいのか?」
「われわれは、プレミアリーグがステートメントを発表する前から適切な支援について検討していた。政府のやり方にこれだけの疑義があるなかで、選手たちが高額のサラリーをカットしないと悪者扱いされるのは納得できない」

「BBCラジオ」の「フライデー・フットボール・ソーシャル」に招かれ、憤慨していたダニー・ローズの言葉が、PFAの気分を代弁しているのではないでしょうか。「給与をカットしろとプレッシャーをかけられていた」「背中から、大きな壁がのしかかってくるように感じられた。われわれがコメントする前に、サッカー関係者以外の人々が話してしまっている」「ジョーダン・ヘンダーソンと電話で話したけど、彼は何かをなすためにハードワークしている」「フットボールに関わっていない人々が、選手たちが自分たちのお金で何をすべきかを語るなどというのは、大きなお世話だ。変な話だね」。

NHSをサポートするのが善であるなら、「給与をカットして税収を減らすよりも、選手たちがお金を出し合って多額の寄付をしたほうが貢献度は高いかもしれない」ということですね。クラブの経営の問題、医療の問題など、さまざまな要素が絡み合うお話なので、どれが正しいとはいいづらいのですが、感情論で選手に金を出せというのではなく、物事を多角的に見てベストなアプローチを決めることが重要だと気づかされるお話でした。日本でも…いやいや、それは別件ですね。プレミアリーグとEFLのクラブ、PFA、LMAが、それぞれ納得のいく結論が導き出されることを願いつつ、この稿を締めさせていただきます。


おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


コメントを残す