偏愛的プレミアリーグ見聞録

「私たちは、本日発表されたメディアインタビューにおけるジョー・アンダーソン市長のコメントについて、クラブとして認識し、失望しています。今回のような主張を裏付ける証拠はなく、アンダーソン市長が関わった最近の無観客試合の可能性に関する議論についても、同様に指摘したいと思います。私たちは、街全体を通じて主要なステークホルダーが引き続き関与し、協力を図ることが重要であると結論付けています。

ここ数週間、私たちは、ソーシャルディスタンシングの措置を尊重する決意を示したサポーターグループと密に連携しています。サッカーの再開が発表された際には、私たちは彼らや他のステークホルダーと協力してそれらに取り組みます。この重要な目的を達成するのが、私たちの共通の願いです。

継続的な運営の一環として、私たちは市長と彼のオフィスとは定期的に連絡を取り合っており、これらの会話が継続できることを願っています。

この間にフォーカスすべき主題は、展開される人道的危機に対応し続けること。私たちは、さまざまなNHSのイニシアティブや、食糧不足と社会的孤立に悩む人たちへの継続的なサポートを実施しています」

リヴァプールが、公式サイトでジョー・アンダーソン市長のコメントに対して抗議の意を表するステートメントを発表しています。「BBC」によると、エヴァトニアンの市長が懸念しているのは、プレミアリーグ初制覇を遂げる試合におけるサポーターの振る舞いです。ゲームが中立地開催となったとしても、アンフィールドに集まってきた赤いシャツがソーシャルディスタンシングをわきまえない狂喜乱舞を展開する可能性があるとコメント。プレミアリーグの再開について、「non-starter（無謀）」「farcical（滑稽）」といった言葉を使って嘆いたことに対して、クラブは黙っていられなかったようです。

「たとえ試合が閉ざされた空間で行われたとしても、アンフィールドの外には何千人もの人々が集まってくるだろう。私たちのいうことを尊重し、グラウンドに近づかない人は多くないはずだ。祝福したい人が大挙して押し寄せてくる。無謀と考えざるをえない」（ジョン・アンダーソン/「BBC」の4月30日付記事「Premier League restart: Liverpool mayor fears ‘farcical’ situation」より）

ニュートラルな会場でプレイする効果があるかと問われても、「それでも多くの人々が、アンフィールドの外に集まって祝おうとする。警察の懸念はわかるよ。われわれにとって、相当な困難だ。彼らがそうするつもりなら、警察が引き離し、ソーシャルディスタンシングを守るのは難しいと思う。無茶苦茶だからね」と、見解は変わりません。

「天気がよければ、公園に集まる人々、特に若者を止めるのは難しい。彼らが静止を無視するのを恐れている。警察が心配するのはもっともだ。公衆衛生局も心配している。プレミアリーグと政府には、われわれが抱いているすべての懸念を考慮してほしい」

リヴァプール市長は「健康、安全、人々の営みが最優先でフットボールは2番め」と強調。リーグアンのようにシーズンを終了させ、地元クラブを優勝とする案を勧めたいと語っています。抗議したクラブが主張しているのは、「サポーターとは重要なテーマや思いをともにしている」「市長やスタッフとも密にコミュニケーションしているではないか」ということです。「平たくいえば、「アイツらヤバいからやめようぜ、とはどういうことだ」。クラブと市民を信じてほしいといいたいのでしょう。

再開後、2試合めでレッズが優勝し、サポーターが熱狂の渦を巻き起こせば、プレミアリーグ2019-20シーズンはそこで終わってしまいます。周囲の人たちと一緒に叫びたい気持ちはわかるだけに、「今は何とかガマンしましょう」といった弱腰な言葉しか出てきませんが、再開に漕ぎ着けた際には、最終節まで全うしていただければと切に願っております。史上最も静かな優勝と、最も遅いシーズンの閉幕は実現するでしょうか。「アンフィールドに集まらない」のは、クラブが優勝を認められるための必須条件と考えればいいのでは…。