イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「2020‐21シーズンが無観客になったら…」プレミアリーグのクラブに及ぼす影響をチェック!【前篇】

Premier League 2020-21 without fans? Eight charts on the impact(プレミアリーグ2020-21シーズンにファンがいなかったら?影響を示す8つのチャート)」。コロナウイルスの感染拡大によるパンデミックが、来年まで収束しなかった場合の経済的なリスクについて、「BBC」がさまざまな関連データを紹介しています。現在のフットボールクラブの収益源は、試合のチケット代やメガストアでのグッズ販売などの「マッチデー収入」、プレミアリーグやCL、ELなどの「テレビ放映権料」、ユニフォームやスタジアムに広告を入れる「コマーシャル収入」の3本柱です。「BBC」の記事は、マッチデー収入にフォーカスしてプレミアリーグ全体とクラブ別の数字を掲載しています。

フットボールファイナンスに精通したキーラン・マグワイア氏のレポートでは、3番めだったデータから紹介させていただくのがわかりやすいのではないでしょうか。「Matchday as share of total income by year」。プレミアリーグ創設以来、年度ごとの総収入におけるマッチデー収入のシェアの変遷を辿った数字です。1992-93シーズンは、全収入におけるマッチデーの割合は43%。この年にパンデミックが襲来していたら、大半のクラブが経営難に陥っていたでしょう。初めて30%を切ったのは、2001-02シーズン(28%)。アーセナルのエミレーツスタジアムがオープンした2006-07シーズンには30%台に戻りますが、テレビ放映権料の高騰とスポンサーの増加によって2013-14シーズンには18%となり、昨季は全体の13%です。

全20クラブのマッチデー収入の総額は、6億7700万ポンド(約900億円)に伸びているのですが、テレビとコマーシャルの増加が大きく上回り、フットボールクラブはスタジアムにおける収益に頼らずとも運営できるようになっています。2018-19シーズンにおけるチケットやグッズの売上ランキングを見てみると、1位はマンチェスター・ユナイテッドで1億1100万ポンド(約148億円)。2位のアーセナルが9600万ポンド(約128億円)。3位リヴァプールと4位トッテナムが8000万ポンド台で続き、チェルシーが6700万ポンド(約89億円)、マンチェスター・シティは5500万ポンド(約73億円)に留まっています。

7位のウェストハムが、マン・シティの半分に満たない2700万ポンド(約36億円)しか稼いでいないと聞けば、驚く方が多いのではないでしょうか。今季躍進のレスターは、ニューカッスル、ブライトン、サウサンプトンに次ぐ11位で1500万ポンド(約20億円)。コンパクトなグディソンパークで戦うエヴァートンはその次で、ウルヴスとクリスタル・パレスはかろうじて1000万ポンドを超えています。バーンリーは600万ポンド、ボーンマスは500万ポンド。プレミアリーグの中小クラブは、マッチデー収入だけではインターナショナルクラスの選手ひとりすら買えないというのが現実なのです。

1試合あたりに直すと、マンチェスター・ユナイテッドは426万ポンド(約5億7000万円)、2位アーセナルは332万ポンド(約4億4000万円)。200万ポンド(約2億7000万ポンド)以上は5位チェルシーまでで、10位セインツになると79万ポンド(約1億円)、最下位ボーンマスは23万ポンド(約3100万円)しか入ってきません。

ここまでは、マッチデー収入の絶対額を見てきました。次に紹介されているのは、総収入に対するマッチデー収入の比率です。1位のアーセナルが24.3%で突出しており、2位はトッテナムとマンチェスター・ユナイテッドが同率で17.7%、4位リヴァプールが15.8%、5位チェルシーは14.9%。マン・シティはハマーズ、ニューカッスル、ブライトン、セインツより低く、10.3%で10位となっています。バーンリーとボーンマスは10%を切っており、巨額のテレビ放映権料への依存度が高いクラブです。マッチデーに関する数字を見ると、無観客のシーズンが最も痛いのはアーセナルということになりそうです。

キーラン・マグワイア氏のレポートには、上記以外に4つのグラフが掲載されています。「プレミアリーグのクラブに及ぼす影響をチェック!」の後篇では、手持ちのキャッシュや選手の賃金、前期決算の損益などの数字を見ていきましょう。


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