2020.05.05 チームの話題(全体・他クラブ)
「2020‐21シーズンが無観客になったら…」プレミアリーグのクラブに及ぼす影響をチェック!【後篇】
「『2020‐21シーズンが無観客になったら…』プレミアリーグのクラブに及ぼす影響をチェック!【前篇】」では、「BBC」の記事が掲載していたマッチデー収入関連のデータを紹介し、プレミアリーグのクラブがチケットやグッズでどれだけの収益を得ていたかを解説しました。後篇でも引き続き、フットボールファイナンスの専門家であるキーラン・マグワイア氏のレポートをチェック。マッチデー収入以外の数字も加味しながら、パンデミックの影響について考察していきたいと思います。
マッチデー収入ランキングの1位と2位は、マンチェスター・ユナイテッドとアーセナル。前者は世界3位の売上高を誇り、後者はチケットやグッズ販売の比率が24.3%でぶっちぎりのトップです。「BBC」のレポートには、彼らがワンツーのランキングがもうひとつ掲載されています。「Cash reserves summer 2019」。2019年の夏に、マンチェスター・ユナイテッドが持っていた現金は3億800万ポンド(約401億円)。アーセナルが動かせるキャッシュは、1億6700万ポンド(約222億円)だったそうです。3位マン・シティは1億3000万ポンド、4位トッテナムが1億2300万ポンドですが、アーセナルの流動的な資金はこの1年で大きく目減りしてしまったため、TOP4の順位は大きく変わる可能性があります。
5位はサウサンプトンで4700万ポンド(約63億円)、リヴァプールとチェルシーは4000万ポンドに届かず、バーンリーよりも下で7位と8位です。マンチェスター・ユナイテッドとアーセナルが手元のキャッシュが多いのは、スタジアムのキャパシティが大きく、前金で入ってくるシーズンチケットの売上が高いからでしょう。ここでもボーンマスとブライトンが下位に沈んでおり、ボーンマスが銀行に置いているキャッシュは1000万ポンド(約13億円)。ブライトンはその1/10の100万ポンドしか持っていない自転車操業です。
次に紹介されているデータはやや難解なのですが、「賃金1ポンドに対するマッチデー収入」という設定です。選手に払った給料など固定費の総額をベースに、チケットやグッズを値付けして利益を創出するのが本来のフットボールビジネスなのですが、そういった構造にはなっていないのが現実です。1位のトッテナムは、1ポンドの給与に対してマッチデー収入は46ペンス、すなわち46%。2位アーセナルは42%、3位マン・ユナイテッドは33%、4位リヴァプールは27%となっています。最下位ボーンマスは、1ポンドの賃金に対して4ペンス!こういう数字からも、フットボールがスポンサーやテレビ放映権料あってのビジネスと化しているのがわかります。
プレミアリーグにおける選手の給与総額は、31億2000万ポンド(約4150億円)。1992‐93シーズンから現在までの物価上昇率は108%ですが、選手の給与は2811%UPと暴騰しており、パンデミックにより収入が減少した際には重い足枷となります。前期の決算を見ると、プレミアリーグ20クラブのトータルで3億8400万ポンド(約510億円)の赤字を計上。9600万ポンド(約128億円)の黒字決算で締めたトッテナムを筆頭に、マンチェスター・ユナイテッド、バーンリー、ウルヴス、ニューカッスル、リヴァプールが利益を出している一方で、マン・シティは2200万ポンド(約29億円)、アーセナルは2800万ポンド(約37億円)の損失計上。19位のエヴァートンは1億1700万ポンド(約155億円)、最下位チェルシーに至っては1億3500万ポンド(約180億円)の赤字を出しています。
「売上はとにかく早くもらい、支払いはできるだけ後ろに倒す」のがビジネスの基本です。最も早く手に入るマッチデー収入を失ったクラブは、固定費を目いっぱい圧縮し、まとまった支払いを猶予してもらうなどの手を尽くして、金庫が空になるのを防がなければなりません。ビッグ6は、1年なら何とかなりそうですが、中小クラブは耐えられるでしょうか。「2019‐20シーズンは再開できるのか」という目先のテーマもさることながら、クラブの財政のほうも大いに気になるのであります。マグワイアさん、興味深い記事をありがとうございます!
マッチデー収入ランキングの1位と2位は、マンチェスター・ユナイテッドとアーセナル。前者は世界3位の売上高を誇り、後者はチケットやグッズ販売の比率が24.3%でぶっちぎりのトップです。「BBC」のレポートには、彼らがワンツーのランキングがもうひとつ掲載されています。「Cash reserves summer 2019」。2019年の夏に、マンチェスター・ユナイテッドが持っていた現金は3億800万ポンド(約401億円)。アーセナルが動かせるキャッシュは、1億6700万ポンド(約222億円)だったそうです。3位マン・シティは1億3000万ポンド、4位トッテナムが1億2300万ポンドですが、アーセナルの流動的な資金はこの1年で大きく目減りしてしまったため、TOP4の順位は大きく変わる可能性があります。
5位はサウサンプトンで4700万ポンド(約63億円)、リヴァプールとチェルシーは4000万ポンドに届かず、バーンリーよりも下で7位と8位です。マンチェスター・ユナイテッドとアーセナルが手元のキャッシュが多いのは、スタジアムのキャパシティが大きく、前金で入ってくるシーズンチケットの売上が高いからでしょう。ここでもボーンマスとブライトンが下位に沈んでおり、ボーンマスが銀行に置いているキャッシュは1000万ポンド(約13億円)。ブライトンはその1/10の100万ポンドしか持っていない自転車操業です。
次に紹介されているデータはやや難解なのですが、「賃金1ポンドに対するマッチデー収入」という設定です。選手に払った給料など固定費の総額をベースに、チケットやグッズを値付けして利益を創出するのが本来のフットボールビジネスなのですが、そういった構造にはなっていないのが現実です。1位のトッテナムは、1ポンドの給与に対してマッチデー収入は46ペンス、すなわち46%。2位アーセナルは42%、3位マン・ユナイテッドは33%、4位リヴァプールは27%となっています。最下位ボーンマスは、1ポンドの賃金に対して4ペンス!こういう数字からも、フットボールがスポンサーやテレビ放映権料あってのビジネスと化しているのがわかります。
プレミアリーグにおける選手の給与総額は、31億2000万ポンド(約4150億円)。1992‐93シーズンから現在までの物価上昇率は108%ですが、選手の給与は2811%UPと暴騰しており、パンデミックにより収入が減少した際には重い足枷となります。前期の決算を見ると、プレミアリーグ20クラブのトータルで3億8400万ポンド(約510億円)の赤字を計上。9600万ポンド(約128億円)の黒字決算で締めたトッテナムを筆頭に、マンチェスター・ユナイテッド、バーンリー、ウルヴス、ニューカッスル、リヴァプールが利益を出している一方で、マン・シティは2200万ポンド(約29億円)、アーセナルは2800万ポンド(約37億円)の損失計上。19位のエヴァートンは1億1700万ポンド(約155億円)、最下位チェルシーに至っては1億3500万ポンド(約180億円)の赤字を出しています。
「売上はとにかく早くもらい、支払いはできるだけ後ろに倒す」のがビジネスの基本です。最も早く手に入るマッチデー収入を失ったクラブは、固定費を目いっぱい圧縮し、まとまった支払いを猶予してもらうなどの手を尽くして、金庫が空になるのを防がなければなりません。ビッグ6は、1年なら何とかなりそうですが、中小クラブは耐えられるでしょうか。「2019‐20シーズンは再開できるのか」という目先のテーマもさることながら、クラブの財政のほうも大いに気になるのであります。マグワイアさん、興味深い記事をありがとうございます!
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